初舞台は『夫婦漫才』!

冨平新

第1話 お膳立て

 6月初旬の夕方、福祉系大学の304講義室。


 「今日の議題は『七夕フェスティバル』の企画について」


 お笑い系サークル『らふいん』のリーダー、

3年生の菊池裕太きくちゆうたは、サークル会議の議事進行をした。


 水沢愛理みずさわあいりから推される形で、

3年生の下條灯じもじょうあかり加母田光彦かぼたみつひこは  

夫婦漫才めおとまんざい』をすることになった。



 「お、俺、今まで観客要員で、

ステージでやったことないし」

 光彦がまだしり込みをしている。


 「裕太に強引にサークルに

入れられたことは知ってる。

だけど、3年なんだし、

 そろそろ初舞台踏んでもいいんじゃないの?」


 「灯とお前の漫才か。ははっ、見物だな」

 「私、ポスター作るから、2人並んだ写真撮らせて」

 灯の友達の水沢愛理に、

光彦は灯とのツーショット写真を撮られてしまった。


 「愛理ちゃん、この後食事行かない?」

 「ごめん、私バイトあるから」

 裕太はこの日も、愛理に振られてしまった。

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