俺らは世界を笑わす

夕日ゆうや

ショートコント・コンビニ

「ショートコント・コンビニ」

「どうもどうも。しんです!」「みなとです!」

「略して港です!」

「待て待て! 俺の名前どっか言ったよな?」

「そうですかー? 気にしすぎじゃないですかー?」

「うざったいな!」

「さてさて。コンビニということで」

「略称は無視かい!」

「僕、一度もコンビニに入ったことないですよ!」

「マジか! 驚きだな!」

「そこでコンビニのルールを教えて欲しいのです!」

「いやいや、ルールなんてないから!」

「まずはおでんを突き刺し食べます!」

「ルールあった! ルールあったよ。それは食べる前に会計を済ませて」

「え! 無料じゃないんですか?」

「どこの世界におでん無料するやつある?」

「えー。じゃあ、代わりに肉まんを」

「肉まん、無料ある?」

「いや、ちゃんと金は払いますよ」

「急に! 急に常識人ぶっている!?」

「しかしコンビニって色々売ってますよね?」

「あー。そうですね。急に常識人になってびびるわー」

「そんな中でも買って嬉しい、もらって嬉しいコピー用紙!!」

「いやいや、なんでそんなニッチなん? おかしくない自分?」

「えー。コピー用紙いいやん」

「まあ、悪くないけど」

「これで悪口をコピーしまくれるじゃん!」

「悪かった! 予想以上に悪かった!!」

「コピーした用紙を近所中に回すのさ!」

「最悪や。極悪人や。まるでヤクザ!」

「待て待て。ヤクザそんなに悪いわけないやろ!」

「お前、ヤクザの味方なの?」

「当たり前や、ヤクザになるのを夢見て、今は刑務所じゃ」

「コンビニの設定どこいった~!」

「コンビニヤクザのことですね」

「コンビニヤクザってなに?」

「いや~武力で納めるコンビニヤクザ、いいですよね~」

「だからコンビニヤクザってなに?」

「ふふ。それは……あれだ! そうあれ」

「なんも分かっていないやん、こいつ」

「だって、コンビニいったことないですから、残念!」

「その設定生きていたんだ……」

「まあ、港にいくとヤクザがいるんですけどね!」

「マジかー。そこがつながるかー。俺がハブられるわけだー」

「ちなみに港区にはコンビニもありますー!」

「マジか、俺だけハブられるのかー!」


「ということでしんでした」「港でした」


 俺と港はステージを去る。

 俺たちがやっていたお笑いコメディは受けたのだろうか?

 彼女を笑顔にできたのか?

 病気で車椅子に乗った彼女。もう歩けなくなって二年。彼女を笑わすためにお笑い芸人になった。

 みんなを笑顔にする。それが俺の生きる理由。この世界をお笑いでつなぐ。そうすればみんな笑顔になれる。みんな平和になる。

 俺は、いや、俺らは平和のために今日もお笑いをする。

 売れなくても、みんなに刺さらなくても。でもお笑いで食っていき、平和にする。

 そのために明日も頑張る。

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俺らは世界を笑わす 夕日ゆうや @PT03wing

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