第9話 追憶 その5

 リュウゲンの部屋にはグレン、アカシア、レオンがリュウゲンの前に座り魔法について話を聞いており、大人達は広間で雑談をしていた。



「ほっほっほ。魔法とはのうーー」


 魔力を使いこの世の事象を変えることができる力。


 また魔力は生を持ったものなら少なからず体に流れている。


  魔法には大きな枠で捉えると、4つの枠に当てはまる。


  1つ目は自然魔法。魔力を火、水、風、土、光、雷、氷、木、花など自然にある存在している事象に魔力を変える魔法。

  多くの魔法使いと言われる者は、ここに入った。



  2つ目は具像魔法。魔力を剣や、矛、盾、弓、魔道具などに変える魔法であり、実際に魔力で作ったもので、魔力が消えても消滅しない魔法。

  ちなみに炎の剣や氷の剣などの武器など、供給している魔力が消えるとそのもの自体が消える魔法は自然魔法に入る。



 3つ目は相乗魔法。魔力を身体や武器、魔道具に何かしらの効果を与える魔法。

 身体強化魔法、その対象の生命力を引き出したり、中には術者の生命力を対象に渡すような回復魔法のみしか使えない回復術師、付与術士などはここにいる。


 回復魔法に関して、自然魔法での回復魔法が主にである。

 自然魔法枠の回復魔法は術者の属性によって効果が増減しその対象との相性でも変わってきてしまう。

 しかしこの相乗魔法枠の回復魔法は属性た相性での効果の増減はなく、左右されるのは術者の技術だけである。



  4つ目は特殊魔法。3つの枠の中に入らない魔法であり歴史の中でも数少ない魔法。

  今までで発見されたもので、幻術師、召喚士、鑑定士など。何かを操ったり、視る魔法。また結界師、空間魔法、魔眼などもここに入る。


  枠に当てはめると村の一族の宝具は具像魔法に入りそうだが、具像魔法は作る物に制限はない。しかし宝具はその術者1人に対して、生涯に1つである。また化現させたり、消したりと扱い方も特殊であるため特殊魔法に入る。



  魔法は、それぞれ個人が持つ魔力によって、4つの枠の1つしか扱えない。

 自然魔法が使えるものは具像魔法は使えなく、逆も然りである。


  より細分化すると枠の中でも特性があり、自然魔法であれば、生涯火魔法しか扱えない者もいるし、火と風どちらも使える者もいる。


  自分の扱える魔法を見つけるために色々な種類の魔法を知ることや魔法を学ぶことが必要であった。魔法の種類はいくつもあるため、自分の扱える魔法が分からず生涯を終えてしまう者もいる。


  昔は魔道具など、純粋な魔力を供給すれば火がついたり水が出るような物は流通していなかった。しかし近年、魔道具士や付与術士などの活躍で魔道具が今は世界に流通しているため、昔よりもぐんと生活は豊かになっていた。



  「ーー。ほっほっ、大体はこんな感じかのう」


 とお茶を啜りながら一息ついた。


  「へえ〜魔法って凄いね〜!いっぱいあるだね〜!ねっグレン兄〜」


「ああ、凄いな。そして宝具も魔法だったんだな」


  キラキラした目でグレンの顔を見るアカシアをそっと撫でるとアカシアは目を細めながら喜んだ。



  「そうじゃ。してな特殊魔法の中でも特に特殊なもので、魔力自体が事象を待つことがあるのじゃ」


  ん?と首をかかげるグレンとアカシア、そしてレオン。


  「ほっほっ。自然魔法は話したが、体に流れる純粋な魔力自体が火や水なになってしまう者がおる。難しい考えになってしまうが体内に火や水が流れてると思った方がよいのかのう。そのため魔道具も使えんのじゃ」



  ビクッと体を震わすグレン。


「え?」


 と誰にも聞こえない声で呟いた。グレンは村にある魔道具はどれも全部使えななかったからだ。



 リュウゲンはグレンの様子を見て頷くとまた話し始めた。


「この者達は、魔道具を使えないのじゃが、普通の魔法とは比べもんにならん程の力を持つと言われておる。呼吸をするように魔法を使うのじゃからのう。ほっほっ、実は村の一族でも昔、宝具を化現した者で魔道具を使えなかった者もおってのう。何世代か前の長で、それはもうとてつもなく強かったらしいのう。ほっほっ」


 顔をくしゃくしゃにして笑うのだった。



 村の一族でも、グレンと同様の人がいることにグレンは安堵した。それは宝具を化現させることが出来ないわけじゃないと分かったからであった。



「とても勉強になりました!リュウゲン様! 学校でも習っていないこともあって、びっくりしました!」

 満面な笑みでリュウゲンに言うのであった。



「ほっほっ、それは良かった。したらいい時間じゃのう。広間でご飯を食べようかのう」

 3人を連れて広間に向いレイが作った夕ご飯をみんなで食べるのであった。



 その夜、みなが寝静まった中、グレンは裏庭を見れる部屋から夜空を眺めていた。

 すると廊下から足音がしたためそちらに目を向けると、大柄の男がグレンに近寄ってきた。


「グレン、寝れんのか?」


「ラインハルトさん。んー少し目が覚めてしまって」


「そうか。なあグレン、少しおじさんと話しをするか」


 ラインハルトはグレンの横に座った。


「グレンは3年前よりもっと強くなったなあ。びっくりしたぞ?そのどうだ鍛錬は?」


「ありがとう。けどまだまだだよ、。もっと強くならないと」


「グレンまだ9歳だろう?そんな急がなくてもお前はちゃんと成長しているぞ?その何だ、例え宝具が無くてもな、!」


 グレンはブンブンとゆっくり首を振る。少し目に涙を溜める。


「宝具がないとダメなんだ......。もうすぐ10歳になる。けど、もし宝具が出なくても時間を取ってもらうつもりなんだ。俺は一族の長の子供なんだ、例え長にならなくても宝具は出さないといけないんだ」


 悲痛の顔を見せるグレン見て、ラインハルトも悲痛な面持ちになる。


(これほどの、周りの重圧にも負けずに、諦めないグレンを生まれた場所が違ったらと何度思ったことか。精神的にも、ましてやこの大きな魔力、戦闘センスがありながら......)



「そうか、。グレンよ、世界はとてつもなく広い。宝具だけでその人の価値や人生が決まるわけではないのだ。目の前のものだけに囚われてはいけない。わかるな?それでもまだ頑張ってもし、もしどうしようもなくなった時、うちに遊びに来なさいグレン」


 グレンはラインハルトの言葉をどこか少しだけスッキリした顔で聞いていた。


「ありがとう。もしそうなった時、ラインハルトおじさんの所に遊びに行こうかな?」



 そうして2人は夜空を見る。そこには星々が悠然と輝いていた。

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マジシャンズ・キャラバン〜一族の異端児、雷光魔法を使って世界を駆ける〜 瑛尋 @pinky33

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