まだ、宿題が終わってないから。

@tetunoisi

第1話 夏休み0日目

蝉が悲鳴が五月蝿い7月20日、学校の終業式も終わり家に帰る道のりで懐かしい声が聞こえた。

「おっひさー」

声のした方へ目を向けるとそこには屈託の無い笑顔でこちらを見る彼女がいた。

「ゆみ姉、帰ってきたんだ」

「どうだい、少年元気にしてたかい?」

周りの目なんか気にせずに大きく手を振りながら近づいてくるゆみ姉は3年前とは違いどこか垢抜けて、綺麗になっていた。

「ゆみ姉こそ、ホームシックで帰ってきたんじゃないの?」

ゆみ姉とは家が隣同士のこともあり、中学生の時はよく遊んでいた。勉強もできて、近所では有名な美人さんだったのに、僕なんかとも仲良くしてくれたのはいい思い出だ。

「この夏休みの間だけだけどね、大学の友達はみんな実家の方に帰るって言うから、私も帰ろっかなって」

「そーなんだ」

素っ気ない返事とは裏腹に嬉しく思い、笑みがこぼれた。

「まぁ、短い間だけどよろしくね」


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