「いいえ、あの方は何も盗らなかったわ」
そう言いながら、読み終わる頃に読者はにんまりと色んなものを掻っ攫われているはず。
国王の一人娘、美しい姫君が迷宮の悪魔に攫われたところから物語はスタートします。勇者も戦士も失敗し、為す術もない国王は破格の褒美とともにおふれを出して——。
さぁ、そこに現れたのは国にとって悪党である、稀代の大盗賊。
ここにどう第六感が絡むのか。
その手腕も、ストーリーも流石の一言。
読み終わる頃には「やられた〜」と痛快に朝焼けに向かって微笑んでしまうはず。
まるで映画を見ているような、思わず続編の期待すらしてしまう……。そんな臨場感のある素敵なストーリーです。