第六感探偵 〜その探偵、推理ができない〜

真偽ゆらり

ミステリーができない探偵

「犯人は君だと私の第六感が告げている!」


 いかにもな茶色い探偵服に身を包んだ探偵が一人の男を指差し宣言したのは、事件が発覚し関係者が集まってきて捜査が始まろうとしたその時だった。


「いや、あの……推理は?」

「君、さては理系だな? 答えはあっているのに計算式やら途中式がないからペケにする悪魔達め! おかげで第六感で答えが当てられるのに数学だけ成績が低かったんだぞ」

「……それで、犯人なんですか?」

「おい、私を無視するとはいい度胸じゃあないか。いいのか私を無視して。私は不倫調査とペット探しの専門家だぞ? 君への浮気調査は格安で引き受けて、君の飼ってる猫が脱走した時は割増料金で探してやるからな? おい、聞いてる? ねぇ、聞いてないの? 泣くぞ、いい大人が泣くぞ? いいんだな? ……ぐすっ」


 刑事は泣きべそをかく女探偵の話を無視して犯人扱いされた男に問いかける。


「くそ! 俺の完璧な犯行計画が台無しだ! 第六感かなにか知らないが、どうして俺が犯人だと分かったんだ!」


「第六感は五感を超えて……こう……その……そう、ピンッと来る感じのやつだよ」


「第六感の意味を聞いたんじゃねぇ! どうして俺が真犯人だと分かったか聞いてんだ!」


「どうしてと言われても、こう……ふわっと来たからとしか」


「ピンッ、じゃねぇのかよ!?」


「ピンッでもふわっでもいいだろうに。細かい奴だな君は。いや……君も、か」

「あぁ!? だから、なんで俺が犯人だって分かったか聞いてるんだよ!」

「ふむ。なんでと聞かれても私の第六感が告げたとしか……だがマヌケは見つかったぞ?」


「「「「「「あ……」」」」」」


 

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第六感探偵 〜その探偵、推理ができない〜 真偽ゆらり @Silvanote

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