推しの名は？

第1話

「おまえ、推しの１人も居ないのか？」

『居るよ？』

「ほう？　名前は？」

『ツドル・マルケン・スンドラ・ペルコフ・マーカラン・クシュコフ・モッククリ・クスパス・キムーヌ・グズリコ・ゲッペンガ・マザリゴーネ』

「それ、絶対、口から出任せの出鱈目だろう？」

『はぁ？　んなこたぁねぇ〜よ』

「じゃあ、もう１回言ってみろよ」

『小関裕二』

「ちょっと待とうか」

『なんだよ？』

「もっとずっと長かった気がするって問題の前に、そんな和風の名前だったっけ？」

『おまえ、イチャモンとか付けるなよ』

「悪いけど、もう１回言ってくれない？」

『モッチョ君』

「待てーーーーーーーーーーっ！」

『騒々しいな』

「なんだよ！　そのゆるキャラみたいな名前は？」

『なにが？』

「最初はめっちゃ長い外国風の名前で、次は普通の日本人っぽい名前だったろうが！」

『はぁ？　おまえ、聞き返したってことは聞き取れてないんだろう？』

「雰囲気くらいは印象に残っとるわ！　ボケっ！」

『ツドル・マルケン・スンドラ・ペルコフ・マーカラン・クシュコフ・モッククリ・クスパス・キムーヌ・グズリコ・ゲッペンガ・マザリゴーネ』

「へ？」

『ツドル・マルケン・スンドラ・ペルコフ・マーカラン・クシュコフ・モッククリ・クスパス・キムーヌ・グズリコ・ゲッペンガ・マザリゴーネ』

「もう１度」

『ツドル・マルケン・スンドラ・ペルコフ・マーカラン・クシュコフ・モッククリ・クスパス・キムーヌ・グズリコ・ゲッペンガ・マザリゴーネ』

「言えてる」

『推しの名前ぐらい言えて当然だろ？』