最終話

  静まる一同


健志「(琴子に)なあ。『心のクリニック』って確か……」


琴子「うん……。……横浜にある病院の名前…………精神科の……」


凛「精神科……?」


秀人「何で忍が精神科に? 弘毅は、知ってたのか?」


弘毅「いや、俺も今知った……」


凛「忍ちゃん、何か心の病気ってこと?」


琴子「それは……」


健志「いや、それは分からない。何か悩み事があって、カウンセリングぐらいの気持ちで通う人もいるから。こればっかりは本人に聞いてみないと……」


秀人「本人に聞くって、『お前心の病気なのか?』って聞くのか? そんなの——」


桐江「じゃあ私が聞いてあげようか?」


秀人「え?」


桐江「みんなが聞きにくいなら私が聞いてあげる。私はみんなと違って最近このサークルに入ったし、これで関係が悪くなって最悪辞めることになっても、ダメージはみんなほど大きくない。ね? それでいいでしょ?」


凛「でも桐江ちゃん——」


桐江「みんな知りたいんでしょ? 忍が何で精神病院に通ってるのか」


凛「それは……」


桐江「だから、ね? 私に任せて」


  と、忍が部屋に入って来る


忍「戻りましたー。何? みんな静かになって。あ、私がいない間にまた誰かの秘密がバレちゃったとか?」


弘毅「うん……。まあ……」


忍「えー居たかったなあ。で、誰のどんな秘密がバレたの?」


弘毅「それは……」


桐江「ねえ忍」


忍「?」


桐江「忍ってさ——」


弘毅「待って」


桐江「……」


弘毅「いい。俺が言う」


忍「何? どうしたの?」


弘毅「……忍。聞きたいことがある」


忍「私に? 何?」


弘毅「さっき、忍のスマホに電話が来た」


忍「え、そうなの? でも、出てないんだよね? 確かそういうルールだったよね?」


弘毅「うん。出てはいない。でも、留守電になって、それで、悪いとは思ったんだけど、伝言をスピーカーにして聞いちゃったんだ」


忍「……え? ……誰からだったの?」


弘毅「……『心のクリニック』っていう、精神病院からだった」


忍「(固まる)……」


弘毅「ごめん。勝手なことして」


忍「ううん。どうせ戻って来て掛け直すルールなんだから、どっちにしろバレてたってことでしょ」


弘毅「……」


忍「そっか……。バレちゃったか……」


弘毅「なあ、教えてくれないか? 何か悩み事があるのか、それとも——」


忍「待って!」


弘毅「……」


忍「(大きく息を吐く)……。まあ、どうせ隠しきれないことは分かってたし、ちょうどいいタイミングなのかな。じゃあ、話すね」


  少しの沈黙


忍「私ね、病気なの。性同一性障害っていうんだって」


  驚く一同


弘毅「性同一性障害……」


忍「まあ、今はあんまり病気っていう言い方はしないみたいなんだけどね。心と体の性が一致しない人のことなんだけど、私の場合、体は女だけど、心はどっちなのか分かんない、みたいな……」


桐江「分かんないっていうことは、心は男って訳じゃないんだ?」


忍「それもよく分かんないの。ただ、女ではないってのは分かるって感じ」


凛「じゃあ、いつもズボンを履いてて、髪が短いのも……」


忍「そう。このことに気付いたのは小学校のときなんだけど、その頃から女の子っぽい格好に違和感があって、それが原因でいじめられたりもしたんだけど、まあ何とか今までやって来れたって感じ。まあ、お母さんは悪い病気だって決めつけて、変な宗教に頼って治そうとしてるみたい」


凛「そうだったんだ……」


忍「お母さんはお母さんで、私のことを思ってくれてのことだから、気持ちはありがたいんだけど、それが変な方向に行っちゃってるっていうか……。家族も無理に辞めさせられなくて……」


健志「そうか……」


忍「それで、もう成人もしたし、ちゃんと自分のこと分かりたいなって思って、先月ぐらいから病院に通い始めたの。(弘毅に)ごめんね。今まで弘毅とエッチとかしなかったのは、それが原因」


弘毅「いや、いいんだ。……嫌われてる訳じゃなくてよかった……」


忍「嫌うなんて、そんな……。(感極まる)……むしろ……私が弘毅に嫌われるんじゃないかって……ずっと不安だった……」


弘毅「忍……」


忍「(涙を流しながら)病気のこと言ったら……別れるって言われるんじゃないかって……。昔からいじめられて、仲間はずれにされて、周りの人間も、自分のことも大嫌いで……。でも、弘毅と出会ってから、嫌いだった自分をちょっと好きになれて……。それで、弘毅のことはもっと好きになって……、初めて人を好きになったの……。これが、恋愛の好きなのか、まだ分かんないし、もしかしたら一生分かんないかもしれない……。でも、私は今、弘毅と一緒にいたい……!」


弘毅「……忍……」


忍「……」


弘毅「俺も、忍と一緒にいたい」


  忍、声をあげて泣きながら、弘毅に抱きつく


  弘毅、忍を抱きしめる


秀人「お、おお……」


  秀人、拍手する


秀人「おめでとう、でいいのか?」


凛「(涙を拭いながら)うん。私感動して泣いちゃった」


琴子「(涙を拭いながら)私も。忍ちゃん、私たちもいるからね」


忍「うん。ありがとう」


弘毅「(笑いながら)お前、鼻出てるよ。誰かティッシュちょうだい」


桐江「あ、あった。これ使って」


  桐江、ティッシュ箱を弘毅に渡す


弘毅「ありがとう。(忍に)ほら、チンして」


忍「うん……」


  弘毅、忍の鼻にティッシュを当てる


  忍、鼻をかむ


弘毅「はい、よくできました」


  弘毅、ティッシュをゴミ箱に捨てる


忍「(鼻声で)偉そうにすんなバカ」


弘毅「バカってお前……」


  弘毅と忍、見つめ合って笑う


秀人「はいはーい。これ以上イチャイチャするならよそ行ってくださーい」


弘毅「あ、ごめんごめん」


凛「完全に二人の世界に入ってたね」


忍「みんな、ごめんね。今まで隠してて」


琴子「ううん」


凛「そうだよ。そんな簡単に打ち明けられないことぐらい、私たちにだって分かるし」


秀人「おう。別に俺たちは忍を性別で判断して仲良くなったんじゃないからな」


桐江「そうだよ。気にしないで」


健志「隠し事ぐらい、みんな持ってるしな」


秀人「間違いない」


忍「みんな、ありがとう」


秀人「だからいいって」


健志「そういえば、今って何時なんだ?」


桐江「確かに。いろいろあって時間忘れてた」


  凛、スマホの画面を見る


凛「えっと……うわ、もう0時だ」


秀人「え! もうそんな時間!?」


琴子「ほとんどノンストップだったもんね」


弘毅「さすがに疲れたな」


健志「確かに」


秀人「じゃあキリもいいし、次のでこのゲームは最後にするか」


弘毅「うん。そうしよう。みんなも疲れてるだろ?」


凛「そうだね。もう眠くなって来ちゃった」


健志「どうせここは明日の朝まで使えるし、ゲームが終わったら眠い奴は寝よう」


琴子「うん。私も疲れちゃった」


忍「そういえば、ここの寝室のベッド、すっごい寝心地良さそうだったよ」


凛「本当に!? 私絶対一番!」


健志「心配しなくても、ベッドは人数分あるよ」


凛「あ、そうなの?」


弘毅「俺はあんまり食事ができなかったから、みんなの食べ残しを片付けてからにしようかな」


忍「私も付き合う」


弘毅「忍は休んだ方がいいよ。いろいろ疲れただろ?」


忍「いいの。弘毅と居た方が落ち着く」


弘毅「そ、そうか……」


秀人「そこ! 隙あらばイチャイチャしない!」


凛「いいじゃん! 今日は特別でしょ!?」


桐江「そうだよ。好きにさせてあげなよ」


秀人「ううん。まあ仕方ないか。今日だけだぞ!」


  弘毅と忍、笑って同時に頷く


  と、スマホの着信音が鳴る


秀人「お、ラストは誰だ?」


  健志、スマホを持ち上げる


健志「うわ、俺だ」


桐江「誰から?」


健志「健太郎だ。弟」


弘毅「そういえば長いこと会ってないな。デカくなってんだろうな」


秀人「お前ら兄弟は昔から仲良いよな。ちょっとキモいぐらい」


健志「誰がだよ。じゃあ出るぞ」


  健志、電話に出てスピーカーフォンにし、スマホをテーブルに置く


健志「もしもし?」


健太郎の声「あ、もしもし兄貴?」


健志「どうした? こんな時間に」


健太郎の声「いやさ、家に帰って来たら、母さんが元気なくって。何かあったの?」


健志「ああ。まあ、さっき電話でちょっとな。ちゃんと俺が話したから、お前は心配しなくていいよ」


健太郎の声「そうなの? まあ兄貴がそう言うなら分かったよ。あ、そういえば、今日ってサークルの人たちで集まってんだっけ?」


健志「ああ、そうだけど」


健太郎の声「弘毅さんとか秀人さんとか、久しぶりに会いたいから、今度俺も呼んでよ」


健志「ええ?」


  健志、弘毅と秀人を見る


  微笑む弘毅と秀人


健志「二人ともOKだって」


健太郎の声「やった! あと、兄貴の彼女もサークルに入ってたよな? 名前何だっけ?」


健志「おいおい、忘れんなよ。こと——」


健太郎の声「ああ、思い出した! 桐江さんだ!」


  固まる一同


健志「(少し焦る)何言ってんだよ。琴子だよ、琴子。桐江は同じサークルの——」


健太郎の声「ああ、そっか。桐江さんは浮気相手の方だ」


  静まる一同


桐江「(複雑な表情)……」


琴子「(固まって健志を)見つめる……」


健志「(焦る)ば、馬鹿なこと言うなよ。浮気なんて——」


健太郎の声「え? でもこの前も——」


  健志、電話を切る


  しばらく沈黙


健志「(琴子に)……あいつ、何変なこと言ってんだろ……。本当訳分かんね——」


琴子「本当なの?」


健志「……?」


琴子「さっきの話、本当なの?」


健志「(俯く)……」


琴子「……何で何も言わないの? ねえ? 本当なの? ねえ?」


健志「(俯く)……」


桐江「本当だよ」


琴子「(絶句する)……」


桐江「全部本当」


琴子「……いつから……?」


桐江「前の旅行のとき。人狼ゲームで、私と健志が罰ゲームで買い出しに行ったでしょ? あの時から」


琴子「……全部嘘だったってこと?」


  琴子、健志の腕を掴んで何度も揺さぶる


琴子「ねえ……。ねえ!」


健志「(俯く)……」


琴子「さっき、私のこと本気で好きだって言ったじゃん! あれも全部嘘なの!?」


健志「……離せよ……」


琴子「(泣きながら)何でよ……! ねえ……!」


健志「……離せって……」


琴子「(泣きながら)何で嘘つくの……! ねえ——」


健志「(怒鳴る)離せって言ってんだろ!」


  健志、琴子を突き飛ばす


  琴子、床に倒れこむ


  忍、琴子に駆け寄る


忍「琴子! 大丈夫?」


健志「(琴子に)じゃあお前は俺に何してくれたんだよ!?」


琴子「……え?」


健志「俺がお前といるためにどれだけの努力してると思ってる! お前はデートのとき一銭も出さないから、俺は毎日バイトして、空いた時間に勉強して、お前との時間も作って……もう限界なんだよ! なのにお前は俺の気持ちなんてこれっぽっちも気付かずに、奢ってもらうのは当たり前、飯作ってもらうのも当たり前、会う時間作ってもらうのも当たり前、LINEにはすぐ返事くれるのが当たり前! ずっと言いたかった……。俺はな、お前みたいな甘ったれてぬくぬく育った、ボンボンの自己中女がこの世で一番嫌いなんだよ! それでも、お前は医者の娘だし、母さんのためにも、顔も性格も何一つタイプじゃないお前と我慢して付き合ってきた……。こんな気持ちで付き合うのもお前に悪いと思ったから、何とかお前を好きになろうって努力もした! でも、付き合ってる時間が長くなればなるほど、お前の嫌なとこばっかり目について、どんどんどんどんお前のことが嫌いになって、何で俺こんな罰受けてんだろうって、最近はそればっかり考えてた……! ……お前は、俺といるために何か努力したことあんのかよ!? 


琴子「……」


健志「お前には悪いけど、お前を騙したこと、俺は一切後悔してないから……」


琴子「(泣く)……ああ!」


  琴子、立ち上がり、健志に飛びかかる


  健志、琴子を突き飛ばす


  琴子、床に倒れ込み、涙を流す


琴子「……最低……!」


健志「悪かったな」


琴子「あなたじゃない。……私! 何でこんな人のこと、ずっと……。自分が情けない……!」


忍「琴子……」


  と、スマホの着信音が鳴る


  琴子、スマホを手に取る


  電話に出て、スピーカーフォンにする


男の声「もしもし。悪いな、こんな時間に」


琴子「……ううん、大丈夫。どうしたの、お父さん?」


琴子の父の声「ああ……。実は、お母さんが……今、危篤状態になってる」


琴子「……え……?」


琴子の父の声「少し前に容体が急変して、今治療にあたってるが……もしかすると……」


琴子「(絶句する)……」


琴子の父の声「……悪いけど、今かタクシーでこっち来られるか?」


琴子「うん、分かった。……すぐ行く」


琴子の父の声「ありがとう。あと、今日は健志君も一緒にいるんだろう? できれば彼も一緒に——」


琴子「健志は——。健志は、今日は風邪引いて、家で寝てる……」


健志「……」


琴子の父の声「……そうか。分かった。じゃあ悪いけど、一人で来てくれ。なるべく気を付けてな」


琴子「……うん」


  琴子、電話を切る


  静まる一同


琴子「……ごめん。私、出るね」


忍「琴子、大丈夫? 一緒に行こうか?」


琴子「ううん、大丈夫。一人で行けるから」


忍「……そう……」


琴子「うん、ありがとう」


  琴子、奥の部屋からカバンを取り、玄関へと向かう


  部屋の出口の前で立ち止まり、振り返る


琴子「(健志に)……さよなら……」


健志「(目を逸らす)……」


  琴子、部屋を出る


  健志、その場に倒れるように座り込む


  静まり返る部屋


  桐江、笑いを吹き出す


桐江「はは、あはははは!」


忍「桐江?」


凛「桐江ちゃん?」


秀人「おい、何笑ってんだよ」


桐江「何でって、おかしいからに決まってるじゃん」


秀人「(苛立つ)おかしい? この状況の何がおかしいんだよ!」


桐江「だって、こんなに上手くいくなんて思わなかったんだもん!」


秀人「上手くいく?」


忍「どういうこと?」


桐江「ううん、どこから説明したらいいのかな。私ね、昔から、上辺だけの甘ったるい人間関係とか見ると、イライラしてぶっ壊したくなるのよね。よくいるでしょ? 恋人でも友達でも、自分が独りになりたくないからってだけの理由で、馴れ合いで付き合ってる奴ら。ああいうの見ると、本当虫酸が走るの」


弘毅「……何を言ってるんだ?」


桐江「だから、あんたたちがそうだって言ってんの。恋人や幼馴染だって仲良くしてるけど、その実何の中身もない薄っぺらい関係——」


凛「そんなこと——」


桐江「じゃあ何で弘毅は裏アカのこと隠してたの?」


凛「……それは——」


桐江「忍は何で性同一性障害のこと黙ってたの? 琴子は何で元彼と連絡取ってることを隠してたの? 健志は何で病院を継ぐことが目的で琴子を付き合ってたことを黙ってたの? そして、何で私が誘っただけですぐ浮気しちゃうの?」


  少し沈黙


桐江「(秀人と凛に)あんたたちだって、今回たまたまバレなかっただけで、本当は隠してることの一つや二つあるんでしょ?」


凛「そんなこと——」


桐江「絶対無いって言い切れる?」


凛「それは……」


秀人「(複雑な表情)……」


桐江「だから、このサークルの人間関係をめちゃくちゃにしてやろうと思ったの。それが、今から3ヶ月前」


弘毅「桐江がサークルに入ったときか……」


桐江「そういうこと」


健志「……じゃあ、俺に言い寄って来たのは……」


桐江「あんたが一番簡単に落ちそうだったから。さすが元チャラ男。ちょっと誘ったらすぐ乗って来たもんね」


健志「(悔しがる)……」


  と、忍が立ち上がる


忍「気分悪い。帰ろう、弘毅」


弘毅「あ、ああ」


  忍と弘毅、奥からカバンを取る


忍「じゃあね」


  忍と弘毅、部屋から出て行く


桐江「あの二人だけは、上辺だけじゃなかったみたいだけど……」


健志「……俺、病院行って来る……」


桐江「行ってどうすんの?」


健志「琴子に謝る」


桐江「謝ってどうすんの?」


健志「……それは……」


桐江「琴子のお母さん、危篤なんでしょ? あんたの謝罪なんて聞いてる場合じゃないでしょ。ちょっとは琴子の気持ちも考えなよ。そんなんだから上辺だけの付き合いしかできないんじゃない?」


  と、健志、立ち上がる


健志「俺は、お前の思い通りにはならない……!」


  健志、奥からカバンを取り、部屋を出て行く


凛「(秀人に)……えっと、私たちも帰ろっか……?」


秀人「あ、ああ。……先、行っててくれるか? ちょっと桐江と話したいことがあるから」


凛「……うん、分かった。外で待ってるね」


秀人「ああ」


  凛、奥からカバンを取り、部屋を出る


  少し沈黙


桐江「……何? 話って」


  と、秀人、首のネックレスを外し、桐江の手に持たせる


秀人「(怒りを抑える)これは返す」


桐江「せっかく誕生日にプレゼントしてあげたのに」


秀人「健志とも繋がってたとはな」


桐江「本当は、自分とのこともバラされるんじゃないかって、内心ハラハラしてたんでしょ?」


秀人「……もう連絡してくんな」


桐江「その言葉、そっくり返すわ」


秀人「(睨む)……」


  秀人、奥からカバンを取り、部屋を出て行く


桐江「……ふふ」


  桐江、床に座り、テーブルの料理を食べ始める























○登場人物


・琴子…某大学3年生。旅行サークルに所属。弘毅、秀人、健志とは高校からの付き合いで、健志とは2年生のときから恋人関係である。実家が大病院で、これまで何の苦労もなく暮らして来た。




・健志…某大学3年生。旅行サークルに所属。秀人、弘毅とは小さい頃からの幼馴染。容姿もよく、医学部に現役合格するほどの学力もあり、中学から彼女を取っ替え引っ換えするほどモテていたが、高校2年生から琴子と付き合い始める。しかし、それは琴子の家の病院を継ぐことで、琴子に対して愛は無かった。前回のサークル旅行で桐江に誘われ、それから何度か関係を持っている。




・凛…某大学3年生。旅行サークルに所属。大学に入ってから秀人と付き合い始める。「THE 平均点」と揶揄されるほど、ごく普通の女子大生。ちなみに、「凛」という名前は2019年出生児の名前ランキング女子部門1位。




・秀人…某大学3年生。旅行サークルに所属。弘毅、健志とは小さい頃からの幼馴染。いつも明るく、みんなのムードーメーカー。大学に入ってから凛と付き合い始める。桐江に誘われ、何度か関係を持ったことがある。桐江から誕生日にネックレスをプレゼントされ、桐江と会うときはそれを付けるという約束を律儀に守っていた。




・忍…某大学3年生。旅行サークルに所属。大学に入ってから弘毅と付き合い始める。性同一性障害を持っており、それが原因で母親が宗教に入信する。障害の影響もあり、いつもパンツスタイルで、髪もベリーショートにしている。




・弘毅…某大学3年生。旅行サークルに所属。健志、秀人とは小さい頃からの幼馴染。常に冷静で、みんなのリーダー的存在。大学に入ってから忍と付き合い始める。趣味は映画とアダルトビデオ鑑賞で、Twitterの裏アカウントで同じ趣味の仲間と交流している。何度か桐江から誘われたが、頑なに拒否していた。




・桐江…某大学3年生。旅行サークルに所属。街を歩けば誰もが振り向くほどの美人。人間関係に対して破壊衝動のようなものを持っており、上辺だけで付き合っている恋人や友人を見ると、仲を裂きたい衝動に駆られる。弘毅たちの旅行サークル以前にも、2つのサークルを崩壊させている。




・吉岡…秀人、弘毅、健志、琴子と同じ高校の友人。中でも秀人とは仲が良く、今でもたまに遊んでいる。




・健太郎…健志の弟。健志と違って勉強は苦手だが、愛想がよく、健志と同様母親思い。




・健志の母…若くして健志と健太郎を産み、その後すぐに父親と死別するも、女手一つで2人の息子を育てた。




・凛の母…ごく普通の母親。




・綾音…桐江の高校生の妹。姉に負けず劣らずの美人で、中学の頃からずっと同じ男子と付き合っていたが、妊娠したことをきっかけに別れることに。子供は、綾音は産みたいと主張したが、両親の説得により、泣きながら堕胎した。




・綾音の彼氏…綾音と何年も付き合っていたが、綾音が妊娠、堕胎したことで別れを切り出す。実は桐江から誘われ、何度か関係を持ったことがある。綾音と性行為をするときは必ず避妊をしていたが、桐江にそそのかされ、避妊せずに綾音との性行為に及ぶようになった。




・琴子の父…大病院の院長。体の弱い妻を自分の病院に入院させていたが、突然容体が急変し、必死の治療も虚しく、琴子と共に妻の最期を看取った。

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