地球が静止した日

高黄森哉

すごい! 自転が止まった。


 ある日、地球は静止してしまったが、その急激な静止に関する反作用で地上の建物が破壊されることはなかった。一瞬で停止したのにも関わらずだ。


 そして、人々はその静止に気が付かなかった。それが判明したのは、地球が静止してから一年後で、普通、遠心力による作用で楕円になっている地球が、少しずつ球形に戻ろうとしているという事実が観測されたからである。


 地球が停止しても相変わらず、太陽は東から登り、西に落ちた。そう、地球が静止しているのにも関わらずである。月もそうだ。星々もそうだ。


 どうしてなのか。


 それは、ある日のことだ。突如として宇宙は、地球を起点とする大回転を始めたのだった。そのために、太陽や月は、地球の周りを一日かけて一周し、他の星々は複雑で非常識な軌道を描きながらやはり、地球を中心に回り出すこととなった。



 地球では、もうすぐ、天動説が新常識として導入されるらしい。

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地球が静止した日 高黄森哉 @kamikawa2001

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