三月九日午前二時四十九分。これより、KAC20222用短編の一発書きを始める。
木元宗
第1話
三月九日午前二時四十九分。これより、KAC20222用短編の一発書きを始める。前日である三月八日午後七時過ぎからネタを考えるも、何も浮かばなかったからだ。締め切りが近い。もう構っていられない。何より超眠い。私は今日、五時起きで仕事だ。何故諦めていないんだいい加減にしろ。レリゴー。
お題が発表された日から胸騒ぎがしていた。“推し活”……。何だそれは。ここからブラジルぐらい疎遠そうなお題ではないかと。
サブカルについての情報を纏めているサイトを複数回り、“推し活”という言葉を理解するだけで結構な時間を要した。つまり自分が好きなものに対する感情と行動のパターンの総称らしい。そのパターンの膨大さを知るだけで「ア゛ァ゛ッめんどくさい」と匙を投げたくなったが、その中身は誰でも持つ身近なものだ。こんな論文でも書くような固い表現を用いている時点で、頭というより心の動きそのものにより構成される“推し”及び“推し活”を、本質から理解出来ているとは言い難いが。
理屈が通らないものは結構苦手なのだ。まるでおじさんのような内容を繰り広げているが、私はこれでも女性である。既に十七歳で受けた精神年齢の検査で、七十歳のババアという結果を叩き出しているので勘弁して欲しい。ええい、まだ応募規定の六百文字に届かんのか! 私を殺す気かカクヨム! もう脳死で書いてやる。
何なんやろね。推しって。基本的に人に興味持たんうちには分からんよ。何かに縛られない事を幸せとしているうちにとってはよ、“推し”という何らかが現れるんは脅威な訳。それにより自分の行動を変えられるんが嫌やから。それによる変化とはうちの意志では無く、単に“推し”により振り回されているだけではないのかと物思いに耽ってしまう訳よ。
たとえば人物を“推し”とした場合、その“推し”がタマネギ好きとするやん。うちはタマネギに対する感情、無なんよ。でも“推し”が好きやからって理由でタマネギへの感情に変化が起きるんが、何か癪に障る訳。いやその意思決定、ほんまにうちのもんか? って。何で赤の他人の趣味嗜好にうちが染められなあかん訳よ。“推し”が好きな気持ちとうちの価値観は全くの別もんであるべきやろ。何故ならうちとは己を個であると強く意識出来る環境が好きやから! どんな些細な事もっ、自分が決めた道やと自負と責任を持ちたい訳よ!! いつ終わりが訪れるかも分からん人生を、逃げや後悔で飾らん為にッ!!
そんなうちも最近は変わってしまった……。コロナ禍により変化した生活の中で、数年前まであんなに毛嫌いしとったネットに入り浸るようにはなるし、気付けばあるVtuberのライブには参戦するわ、参戦中はライブがよすぎて泣くわ、参戦したのにそのライブDVDも予約して買うわ、そのDVD買ってもう一年以上経ったのに、何か勿体無くてまだ開封出来てへんわ、配信も隙あらばチェックするようになってしまった……。今やもう、そのVtuberが
三時五十八分やん。寝るわ。
三月九日午前二時四十九分。これより、KAC20222用短編の一発書きを始める。 木元宗 @go-rudennbatto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます