第43話 満天

    4人は校内を掃除していた。

    そのとき一花は、晃司らしき男子の姿を見かけて走って近寄った。


園田一花「晃司さん」


岡本晃司「あ、一花、今回も無事帰ってると思ったよ」


一花「私も、前回の例があるので大して心配してませんでした」


晃司「今回のことも、しっかり記憶はあるよね?」


一花「もちろんですよ、晃司さんもそうですよね?」


晃司「もちろんよ」


一花「ですよね、それと胡桃も一緒で記憶もありますので、

   渋野さんはどうですか?」


晃司「忠和も俺と一緒に戻ってるよ、記憶もあるし心配いらないって、

   井上さんに伝えといて」


一花「分かりました。晃司さん、今週の休みは空いてますよね」


晃司「空いてるよ、例のすぐこその茶店で、朝10時に4人で

   待ち合わせしよっか」


一花「そうしましょ。胡桃にも伝えておきますね」


晃司「分かった、こっちも忠和に伝えとくよ。

   で今この状況見られたら大変よ、じゃあそういうことで宜しくー」


一花「はい、じゃあ失礼します」


    4人は掃除を終え、それぞれの寮の部屋に戻った。


一花と胡桃の部屋


一花「胡桃、今日掃除やってると、校内で晃司さんと会ってね、

   渋野さんも無事こっちに戻ってるらしいよ。

   ちゃんと記憶もあるから安心してって、晃司さんが、

   渋野さんのこと、胡桃につたえてって」


井上胡桃「良かった、本当に大丈夫だったのね」


一花「大丈夫だって、心配いらないって。それでね今週の休み、すぐそこの

   茶店で、朝10時に4人で、会う約束してるから来るでしょ?」


胡桃「もちろんよ。今週の休み、朝の10時だね、覚えとくよ」


晃司と忠和の部屋


晃司「忠和、今日校内で一花と会ったわ。井上さんも無事にこっちに

   戻て来てるらしいわ、ちゃんと記憶もあるって。

   心配いらん様なこと言うてたぞ」


渋野忠和「そうか良かった、大丈夫だった様だな」


晃司「以前にもこんな事あってな、問題なかったから心配いらんと思うわ。

   ほんでお前、今週の休み空いてるやろ?すぐそこの茶店で、

   朝の10時に、4人で会う約束したから来るやろ?」


忠和「当然だとも、行くぞ」


    そして最初の休みを迎えた。

    朝10時。すぐ近くの茶店。


一花「あ、いたいた」


胡桃「ほんとだ」


一花「晃司さん、渋野さん」


晃司「やあ、来たね2人とも」


胡桃「忠和さん、記憶はあるんですよね?」


忠和「もちろんだよ、胡桃。心配いらないよ、胡桃も問題ないね?」


胡桃「はい、全然問題ありません」


晃司「じゃここから場所を変えよう、いつものとこに移ろう」


一花「はい」


    4人は学校から少し離れた、何回か来たことのある、

    茶店へ着いた。


晃司「ここやったら誰にも見つからんやろな、いつも通り」


一花「そうですね」


忠和「しかしあれは一体何だったんだ?」


晃司「分からん、俺なんか2回飛ばされてるからな」


胡桃「そうなんですね」


一花「私もなのよ」


胡桃「それにしても忠和さん、過去の世界でお互いの恋が成就する

   なんて、ロマンチックですね」


忠和「だよね、俺たち、向こうの世界で恋が実ったんだもんね」


一花「私たちなんか、過去の世界で出会ったのよ」


胡桃「なによ、あんたたちのほうがロマンチックって言いたいの?」


一花「別にそういう訳でもないけど」


胡桃「まあいいけど、忠和さんあっちの世界じゃ、少佐さん

   だったんですもんね」


忠和「晃司なんか中佐だよ」


晃司「俺は既に少佐になってたから、今回は一階級

   上がっただけや」


一花「でもこの若さで、中佐とか少佐ってすごいですよ」


晃司「けど自衛隊入ったら、三尉からやり直しや」


忠和「そりゃそうだろ、それを言っちゃ仕方がないぞ」


晃司「まあな」


胡桃「でもお二人ならきっとすぐに、佐官にもなれますよ」


忠和「だといいけどね」


一花「それにしても、あの世界は平和になったんですね」


晃司「まあそうやね、そやけど恒久の平和なんてもんはない。

   あの世界もいつかまた、動乱の時代が来るよ」


忠和「そのうち、核兵器も作られるだろうしな」


胡桃「あの世界の延長上の日本に、私たちは生まれるん

   でしょうかね」


晃司「うーん、その辺は世界線の問題もあるし、よくわからんねえ」


一花「けど私たちあの世界で、やるべきことやったんでしょうか」


晃司「まあ、出来る事はやったつもりやし、あとは以前にも言った様に、

   あの世界のことは、あの世界の人らにまかせよ」


胡桃「でもまたまたあの世界に呼ばれたりして」


晃司「それは何回も、あの世界と行き来するのは、もう御免かな。

   しかし黒島首席参謀に、俺そのうち自由に、時を渡れる人間に

   なれるようになるんと違うかって、言われたのを思い出したわ。

   自分で渡りあるけるんやったらともかく、操られるのは勘弁や」


一花「私も疲れましたよ、もういいです」


胡桃「私たちだって苦労しましたよね、忠和さん」


忠和「俺はあの世界で、一生過ごしてもいいと思っていたよ」


晃司「俺はもうええわ、この世界の事だけ考えたい」


忠和「それはそうだけどな」


晃司「俺はこの世界で生まれ育ったんや。この世界で何かせんと

   あかんと思ってる」


忠和「それは今は、俺もだぞ」


胡桃「今のこの世界の憲法九条では、自衛隊の存在自体肯定されて

   ないんですよね」


忠和「そうだよね、今後も国防と自衛隊そして憲法九条を改正する

   方向に向いてるみたいだね」


一花「ほんと自衛隊の存在を肯定する様、憲法に明記してもらわないと

   困りますね」


晃司「俺はいっそのこともう、軍隊になってくれたらいいと思ってるん

   やけどね」


胡桃「憲法改正は、そんなに簡単には、出来ないですよ」


忠和「仮に軍隊になったとしても、もちろんこの国の軍隊には、自衛権

   があるだけだろ。

   それだったら、自衛隊とそこまでにかわないんじゃないか」


晃司「少なくとも専守防衛って言う、首輪っかだけでも

   取り外してもらいたいもんやな」


胡桃「一花、本人の前で失礼だけどやっぱり岡本さんって結構好戦的だと

   思うよ」


一花「そうなのかな」


晃司「そうかもしれんよ、この世界の日本じゃ。なんせ今となっては

   あんだけあの世界で、軍人で実戦こなしてきたんやもんね」


忠和「それだったら、俺もそうなるな」


胡桃「そうであっても、私は忠和さんが好きなことは変わらないですよ」


忠和「ありがと、胡桃」


一花「あら、私だって、どうしても晃司さんが好きなんですから」


晃司「ありがとね、一花。じゃあそろそろ外に出ようか」


一花「はい」


晃司「ここは俺と忠和がもつね」


忠和「俺もか」


晃司「そらそうや、じゃあ行こう」


    4人は夜空の見える天文台に場所を移した。


一花「わあ星が綺麗ですね」


晃司「近くに東京があるとは言え、ここは綺麗に星空が見えるね」


胡桃「本当に綺麗ですね」


忠和「だよね、こうしていると、平和だなって思うよね」


晃司「その平和を、俺らが守らなあかんのやろ」


忠和「お前ばっかり意気込むなよ」


一花「やっぱり好きな人といるときが女の一番の幸せだよね、胡桃」


胡桃「ほんと、女は愛嬌っていうけど好きな人に一番そうしたいよね、一花」


一花「私たちずっとこれからも、4人でこうして会おうね」


胡桃「そうだね、ずっと一緒に会えるようにしたいね」


一花「私たちはこれからも、ずっと仲間だよ」


胡桃「うん、これからもずっとね」


    4人は夜空を見上げた。

    夜空は星で満天であった。


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この物語は、これで完結とさせて頂きます。

最後までお付き合いして頂いた皆様、ご愛読ありがとうございました。

それと、何度か紹介させて頂いて恐縮ですが、YOUTUBE動画作成を始めたことをお知らせさせて頂きます。。

名前は シャリアちゃんねる です。

シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。

URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。

皆さんご存じと思っていて、意外と知ってられなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。

良かったらこちらもご覧ください。

主に政治系歴史系をアップしています。

小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。

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業火の第二次世界 シャリアちゃんねる @mahiruaseto

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