第42話 その後の世界とそして

    この時期、ヨーロッパ戦線において、ドイツの敗北は目に見えており、

    中国では内乱がおさまり、毛沢東が勝利して近衛文麿らは逮捕幽閉

    された。

    ムッソリーニは、中国内乱終結の折り近衛文麿に殺されており、

    中国は内乱が収まってから、毛沢東は降伏の模索をしていた。


    そしてついにドイツは降伏し、ヒトラーは自殺した。


    その後、ドイツ、イタリアは、民主国家形態をとり自立し、中国に

    ついては晃司の提案の元、日本国の権限において毛沢東の命の

    安全を保障し、降伏した毛沢東はニュージーランドへ送られ、

    監視下の元におかれた。

    その後、中国は鄧小平が最高主導者となり、社会主義国として

    自立した。

    ソ連は東ヨーロッパの大半を、事実上植民地化した。


    そして戦勝各国の連合国は集まり、日本、アメリカの提案で、

    植民地の解放の提案がなされた。

   

    ソ連、イギリスはこれに反対したが、アメリカのニクソン大統領は、

    連合国の解散及び、各植民地の自主自立を説き、日本の岸信介は、

    この代表として、欧米式の植民地とは違った統治であった大東亜

    共栄圏の各国の自治化をしたのである。

    そのかわりに、ソ連が戦後取得した植民地の解放、イギリスの

    植民地の解放を要求し、ソ連、イギリスはこれに同意せざるを

    えなかった。

   

    日本は石原莞爾を筆頭にして練られていた構想は、いずれ日本と

    アメリカは世界の覇権をかけ戦争状態に入るとする戦前の構想で         

    あったが、現在はそれは終了した後であった。

    日本にとってはアジア人の為に、最終戦争を行うことになると

    いうものでありこれについて考えられたものであった。

    1929年アメリカに始まった世界恐慌の中、経済的にも資源的にも

    ブロック化するための大東亜共栄圏を構想していたものであったが、

    日本はいち早く不況を大東亜共栄圏ごと脱した。

    大東亜共栄圏は国力として経済資源としてのブロック化であったが、

    それと同じかそれ以上に、アジア諸国を解放するという本当の

    目的があったのである。

    これは日本が保護国としていたアジアの各地域も、今後各国が

    欧米から独立して各々の独自の道を目指す目的で、日本は

    大東亜共栄圏を解いた。

    アジア諸国はそれまでの欧米の統治が過酷であれば過酷で

    あるほど、その後に統治した日本に対して以来半永久的に

    尊敬と感謝の念を持つため、日本としてはブロック化を

    解いても親日国であるアジア諸国と貿易の円滑性に

    都合がよくこれが狙いでもあり大東亜共栄圏を解いた。

    なによりもアジア諸国の日本に対する好感情により

    日本の正当性が全世界に対して反映される狙いがあり

    実際その後そうなったのである。


    ソ連、イギリスは各植民地を解放し、日本は完成しつつあった、

    大東亜共栄圏各国に自治権を認め、全軍撤兵した。

    もちろん白人の植民地から、解放した国々も伴わせて。

    そして連合国は解散した。

   

    世界各国は自立しニクソン、岸の提案で、新たな国際連盟が

    設立され、ここに世界は、平和を取り戻したのである。


山本五十六「これで世界に平和が訪れたか。しかし俺たちは、またいつ

      起こるかもしれない、動乱の時代に、備えておかないと

      いけねいな」


岡本晃司「そうですね。確かに恒久の平和なんて、ありえないですもんね」


渋野忠和「自分たちの世界の日本には、憲法前文において、恒久の平和を、

     うたっていますが、少なくとも平和がただで手に入るものでは

     ないですもんね」


山本「そうだな、恒久の平和なんて、何か機動力が動かないと、それこそ

   恒久に手に入らないと俺も思うぞ。

   それもそうだが、今晩兵学校長へ連絡して、園田中尉と井上少尉を、

   こちらに来させる手配をした。

   おまえたちの正体を知っている人間も、皆晩にここの作戦室に

   集まる様にした。

   今後の事を、話しあうためだ」


晃司「そうでしたか、僕たちも、準備が出来る事をしておきます」


忠和「わかりました、自分も、なにかと準備に取り掛かります」


    そして晩を迎えた。


園田一花「山本長官、ご無沙汰しております」


井上胡桃「ご無沙汰しております、山本長官」


山本「君らか早かったな、晃司と忠和なら寝室にいる。

   係のもんをやって呼び出すよ」


    山本に命じられて晃司と忠和が寝室から出てきた。


晃司「やあ早かったね二人とも」


忠和「二人ともよく来たね」


一花「岡本中佐、渋野少佐、私たちただ今到着しました」


胡桃「お疲れ様です。岡本中佐、渋野少佐」


山本「何も俺だけの前では、かたっ苦しくせんでいいんだがなあ。

   まあ作戦室に行こう、まだ誰も来ていないはずだ」


    5人は大和作戦室で待機していた。

    続々と晃司たちの正体を、知っている各将校が集まった。

    集まったのは、山本五十六大将、宇垣纒中将、黒島亀人大佐、

    南雲忠一中将、草鹿龍之介中将、源田実中佐、山口多聞少将、

    岡本晃司中佐、渋野忠和少佐、園田一花中尉、井上胡桃少尉

    であった。


山本「良し揃ったな。晃司たちの正体を知っているもので細萱中将、

   角田少将、高橋中将は今晩は呼べなかったから、来ていない。

   これから今後の事について、話し合おうと思う」


    ・・どこからともなく声が聞こえてきた・・

    ・・今回もよくやったこれで君たちの出番は終了だ・・


晃司「またこの声。誰なんやあんた?」


一花「あなた一体誰なの?」


忠和「またこの声か」


胡桃「どうしてこんなことに」


山本「どうしたというんだ?お前ら」


晃司「やっぱり長官にも、この声は聞こえないんですね」


一花「以前の時と同じです」


    晃司、忠和、一花、胡桃は平衡感覚を失い、

    まともに立てなくなった。


晃司「山本長官、皆さん、私たちは多分消えます」


一花「今までありがとうございました、皆さん」


    4人は皆の前で忽然(こつぜん)と姿を消した。


2020年1月 防衛大学校寮


晃司「あいた!」


忠和「いて!」


    晃司と忠和は床にしりもちをついた。


晃司「ここは防大の俺らの部屋か」


忠和「防大の寮の部屋だ、どうなってるんだ」

  

晃司「おい忠和、記憶はあるか?」


忠和「今までの記憶だろ?俺はあるぞ、お前はどうだ?晃司」


晃司「俺もあるぞ、心配するな」


忠和「今はいつか聞いてくる、待っていろ」


    忠和が飛び出して行って、戻ってきた。


忠和「今2020年1月らしい、俺たちは3日間無断欠席したらしい」


晃司「まだ3日しかったってないんかあれから、助かったわ」 


忠和「胡桃と園田さんはもどっているか行って・・見れないか」


晃司「恐らく彼女たちも戻ってるやろ、前もそうやったし、

   心配いらんわ」


忠和「それならいいが」


同じく防衛大学校寮


一花「やっ」


胡桃「やん」


    一花と胡桃はベッドに、それぞれ落ちた。


一花「ここ防大の寮の、私たちの部屋だ」


胡桃「防大の寮の部屋、どうなってるのよ」


一花「ねえ胡桃、記憶はある?」


胡桃「記憶?今までの?あるわよ、一花はどうなの?」


一花「私も記憶あるよ、心配しなくていいよ」


胡桃「今はいつだろ、私聞いてくる」


    勢いよく部屋を出た胡桃は、すぐに戻って来た。


胡桃「今は2020年1月らしいよ、私たち3日間無断欠席したんだって」


一花「まだ3日しか経ってなかったのね、よかった」


胡桃「忠和さんと岡本さんの、安否が気遣われるけど」


一花「多分あの二人も、私たちと同じ様に戻ってると思うよ。

   前もそうだったんだから、大丈夫よきっと」


胡桃「それならいいけど」


    4人を待っていたのは厳しい罰であった。

    さぼったとされる3日間一日中正座をさせられ、授業が終わると

    一日グラウンド二十周、それに一か月の校内掃除当番だった。

    その間は1年生と同じ様に、扱われたのであった。

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