第2話

腕の中で動かなくなった娘。

隣で泣き崩れる妻。

プレゼントの白いワンピースは真っ赤に染まり拓海は声にならない声で何度も娘の名前を叫んだ。


遠くでなりびくサイレンに拓海はハッとして周りを見渡した。


野次馬のように集まる人。


泣く子供。悲鳴をあげる大人。


戦隊モノのヒーロー達は無力にただその光景を見ているだけだった。


その人々視線の先に拓海は更なる衝撃を受けた。


そこには血のついた包丁を持った少年が膝を着いて俯いていた。

まだ高校生にもならないような、まだあどけなさの残る少年だった。


駆けつけた警備員に抵抗することなく、ただ無気力に押さえつけられる少年。


「おい、おい。何してんだよ。おい!」


震える声で拓海が叫んだ。


拓海の方を向く少年。


その目は恐ろしい程冷静で無気力なものだった。

そして落ち着いた声でこう言った。


「ごめんなさい」



到着した救急車に乗り込むみ病院へ向かう途中、愛する娘真夏は息を引き取った。





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@taisei_natume

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