第21話 ヤンデレと俺
「最愛の妹に、ある日突然男の影が見え始めた。そいつのことが気になる、しかしとうの妹は何も言ってくれず、それどころか自分を避けるようになってしまった。」
「…………」
佐々木さんは、俺の言うシチュエーションを真剣に考えてくれているのだろう。
目を閉じて、眉間に手を当てている。
そういう真面目なところもかわいいぜ☆
「お兄さんはどう思うだろうか。佐々木さんならどう思うだろうか。」
俺は指を2本立てて、それを重ねるように交差させる。
「私……わたし……!!」
何かに気がついたのか。
佐々木さんは、泣きそうな表情で俺を見つめた。
きゃわぃい。
「大丈夫だ。悔いることはない。そうでしょう!?」
俺は、彼女に寄り添ってそう述べ、仕上げとばかりに声を張り上げた。
すると、校舎の影から…………
「あぁ……。私が悪かった。お前のことだからといって感情的になり、思わず首を突っ込みすぎてしまった。すまない。」
お兄さんが出てきたではないか!!!
何という偶然!! 神の思し召しとはこのこと!!
……まぁ、俺が呼んだんですけど。
「こんな兄で良ければ、もう一度心を許してほしい。」
お兄さんは心から反省した様子で、粛々と頭を下げて佐々木さんに懺悔をする。
「お兄ちゃん……。私こそ、ごめんなさい……!」
その姿を見た佐々木さんも涙ながらにそう口にし、お兄さんの方に駆け寄る。
そして、二人は多少ぎこちなくも、抱き合う。
おぉ、素晴らしきかな兄弟愛。
愛しのマイ・ガールが他の男に抱かれている悔しさはあるが、お兄さんということで今回ばかりはゆるそう。
それに、この二人の空気を邪魔するほど俺は空気が読めない男じゃない。
「さて、お兄さん。これでいいですよね?」
ある程度二人が落ち着いたところで、俺はお兄さんに問いかけた。
「あぁ、本当にありがとう。ただ、泣かせたら末代まで呪うぞ。」
お兄さんは心からの感謝を述べて頭を下げた後、兄の顔になって俺を強く睨みつけた。
「あ、失礼。その場合、君が末代になるだろうけど。」
こっ、怖ぁぁぁぁああああああ!!!!
鳥肌立ちまくったんだけど。鳥になっちゃうかと思ったよ。
『泣かせたら末代まで呪う』というのは聞いたことがあるが、その続きが怖いよ。
そして、この人なら本当にやりかねないのが冗談に感じられなくて更に怖い。
「肝に銘じます。」
俺は胸に手を当てて、お兄さんを見つめ返して答える。
バチバチと火花が飛び散るくらいには強くお互いを見つめ合い、数秒後に互いに頷きあう。
これにて、俺の“任務”は完了。
さてと……。
こっからは、“俺の番”だ。
俺は今更ながらバクバクとなり始める心臓を、ドンッと一度強く殴ることによって黙らせ、彼女へと向かい直す。
「佐々木さん、改めて俺と付き合ってください。」
俺はストレートに、それこそベタだと笑われてしまうほどに、まっすぐ気持ちを伝えた。
あぁ、断られる可能性が低いことはわかっていても、こんなに緊張するんだな。
世の中の人ってすげぇや。まじで、尊敬するよ。
「わたし、愛が重くて、面倒くさい女だけど……こんな私でもいいなら……」
数秒か、はたまたコンマ何秒かの短い……けれども、俺にとっては果てしなく長い沈黙が流れたあと、佐々木さんが口を開く。
違うよ。
こんな私じゃない。
そんな君がいいんだ。
「よ、よろしくお願いします……!!」
その答えを聞き終える前に、俺は彼女に駆け寄って、その体を抱きしめた。
その体は、とても小さくて、それでいて暖かった。
本当に良かった……。
心の中で安堵する俺に、“ソレ”は聞こえてきた。
耳元でささやくように言われた、底冷えするように冷たく、それでいて燃えるように熱い、
「もう、離しませんよ」
そんな、彼女なりの告白が。
まったく――――
――――――――ヤンデレは最高だぜ!!!
☆ ☆ ☆
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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それでは、またどこかで出会えることを祈って。
ご贔屓に、どうも。
どうぞ、ご贔屓に。
隣の席の巨乳JKに優しくしたら、超絶病んで愛されたんだが。
―完―
隣の席の巨乳JKに優しくしたら、超絶病んで愛されたんだが。 俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き @Ch-n
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