第20話 最終決戦

「んぅ?」


少女はベッド横においてあるスマホが震えたことに気が付き、のそのそと体を起こしてその画面を見た。


「っ!!」


そして、画面に表示された名前に一瞬驚いたあと、顔を見るみるみるうちに赤くしていく。


「……!?」


画面を2回タップしてその内容を確認した彼女は、赤くなった顔を今度は訝しげに変えていく。


「ん……??」


不安な気持ちを胸に、彼女はベッドに飛び込んだのだった。





☆ ☆ ☆





「よく来てくれたね」


俺は、学校の校舎裏でそんな言葉を放った。


学校の校舎裏とか、初めて来たんじゃね?

こんな感じなんだ。

確かに、人があんまりいなくて告白とかするにはちょうど良さそうじゃん。


そんなことを思いながら。


「佐々木さん、今日来てもらったのは他でもない。俺と君の関係についてだ。」


「っ!!!」


俺の言葉に、佐々木さんは体を震わせる。


うつむいた顔から表情を読み取ることはできなかったが、想像はつく。

そして、俺はそれをわざわざ覗き込むほど悪趣味ではない。


「正直に言おう、」


俺はそこで大きく息を吸い込んで、ためを作る。

ふー、いっちょ、かましますか!


「俺は、君が好きだ!!」


「!!!!?」


佐々木さんは思っていた言葉と違ったのか、驚いたように顔を上げる。

その顔は少し桜色がかっていて、とてもきれいだった。


ふっ、まさか俺が校舎裏で告白なんてベタ中のベタやるなんてな。


「俺と、付き合ってほしい」


俺は畳み掛けるように、告白を続ける。


「う、嬉しいです……でも……」


俺の言葉を噛みしめるように聞き終えた彼女は、ためらうように返答する。


やわらかな拒絶の滑り出し。しかし、俺にとってそれは想定内。

想定のど真ん中どストライク。野球ならホームラン確定。


「わかっている。お兄さんのことだろう?」


「!!?」


「佐々木さんとしても複雑なものがあるのだろう。しかぁし、一つ考えてほしい。」


驚く彼女に、俺は人差し指を一本立てながら話す。


「佐々木さんは、好きな人を思って過剰に攻撃的になってしまうことはないだろうか?」


「っ!!……」


彼女は、心当たりがあるのか。……ありすぎるのか、驚いたあと、なにか後ろめたそうに顔を伏せてしまう。


なにそれ、かわいい。


「気になって夜も眠れず、聞きすぎてしまったり。また、直接聞くのは恥ずかしく、なんらかの手段で間接的に知ろうとしてしまうことは?」


かわいさに気を取られてしまいそうになるが、なんとか精神を強く持って話を続ける。


「…………あ、あります……すみません」


「あやまることではない。第一、俺は君のそんなところが好きだ。アイラブユーだ。」


申し訳なさげに懺悔する彼女を、俺は愛情の言葉で受け止める。

愛というのは、すこし重いくらいが丁度いいのさ。BY俺。


「さて、そんな佐々木さんの感情をお兄さんに当てはめてほしい。」


さぁ、ここからが本題だ。

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