第75話 次元の狭間

「この子ね、不思議なこと言うんです。ほらSちゃん、この人そういう話が大好きだから。聞かせてあげたら?」


店のママが、最近入ったという女の子を促す


皆さんは夜、寝ていると


突然、壁に衝突する夢などを見て、布団で体がピョン!と跳ねることがないだろうか


そのSちゃんは就寝中


突然フワッと体が浮いたかと思うと、次の瞬間フリーフォールのように落下しはじめ


「ぎゃあ〜〜〜っっっ!!!」


叫びながら数秒落ちたあと、ばうぅぅぅんと体が跳ねて着地し、そこで目が覚めたという


「その日から変なんです」


街の風景は変わらないのに、何か違和感がある


それが何か、気付くのに数日かかったという


「周りの言葉が変なんです」


これまで慣れ親しんできた言葉ではなく、地方の方言を聞いてるような、妙な疎外感があったそうだ


「えっ、周りの人はどうなの?」


「う〜ん皆、同じ人だとは思うのですが・・・」


「思う、とは?」


「なんて言ったら良いのか、例えば・・・鏡の自分と写真の自分との違和感というか」


「あ〜反転した顔?」


「はい、そんな感じの違和感というか・・・」


「その落ちた夢ってのはいつ頃のこと?」


「もう2年前ですね」


「あっそんな前なんだ?じゃあそれからずーっと、違和感抱きながら過ごしてるってこと?」


「それが、慣れてきたというか・・・当初はもっと沢山あった違和感、たとえば私、妹いたっけ?とか。自転車通勤だったのにどうして車乗ってんだろ?とか」


にわかには信じがたい・・・


「実は大きな事故とかに遭われて、頭を打って記憶障害が残ってるとか・・・」


「あ、大きな事故というか私、たぶん、誰かに突き落とされて落ちる途中だったような気はします。ビルの谷間っていうのか、落ちながら一瞬、そんな風景を見た記憶があるんです」


「じゃあ何、もしかすると貴女にとってここは、死後の世界?笑」


「私の友達に『こっち(の世界)は嘘だから痛くない痛くない、死なない死なない』って言いながら手首切って死んだ子がいるんです。死後の世界とは思わないですけど、"あっち"や"こっち"はあるような気がします。で、私にとっての"こっち"は果たして、正しい世界なんでしょうか?」


まるでウチの宮里と同じ事を言ってるな

https://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16817330655958768579


・・・いや待て?


Sちゃんと宮里を出合わせたら何かの扉が開かないだろうか?笑

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