5. 本気出すところが違うと思うよ。きっと。

「こんばんは」

「こ、…んばんは」

 まさか着てくるとは思わなかった…。

「そんなに、麗しいか?」

「馬子にも衣裳」

 キレイと言ったら、間違いなく襲われかねん。こう見えても、彼は力強いオトコノコ。

 キレイだけど、キレイとは言えない…。

「目は言ってるようだけど…?」

「自意識過剰…」

 俯いて、目を合わせないようにした。きっとバレているんだろう…。

 あ。そう言えば…。

「着替え、持って来たの…?」

「勿論」

 タケが掲げた大きな荷物を見て、安心した。

「泊まる気満々だもん」

「それはそれでどうなの…?」

「襲われに来たんだもん」

「可愛く言ったって、腐男子のタケには違いない」

「おぅ。当たり前よ」

「もう少し照れたり出来ないの?」

 俺に指摘されて、恥じらうタケに笑いしか出ない。

「遅いわ」

「しまった…。俺、そういう本ばかり読んでいるのに…何一つ学習してないわ…」

「本当に、俺のこと好きなの…?」

「うん」

 その顔に偽りはないと知ってるが…。

「本当に…?」

「好きだよ」

「そう…」

「好きじゃなかったら、こんな時間に押し掛けない」

「そこ…?」

「好きだから、近付きたい」

「うん…」

「ハグだってしたいし、それ以上のこともしたい」

「よく言えました」

 タケのありのままの言葉が聞きたくて、いじわるな質問してしまったけど、完全にそれって煽ってた。

「じゃあ、レイは俺のことどう思ってるの?」

「家に上げた時点で野暮じゃない…?」

 そんなことを聞くのは…。

「何、それ…」

「その姿で襲わない方がおかしいんじゃない?」

「えぇっ?!さっきはそんなこと微塵も感じさせなかったじゃんっ」

「玄関で襲われたかったの…?」

「えっ?!襲ってくれるの?!」

「うん…」

 そう言って、タケを抱きしめた。

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回避、不能。 @tamaki_1130_2020

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