その辺は、まあ一応忍者なので。

五木史人

その辺は、まあ一応忍者なので。

くノ一のうちは、アイドルのあかりたんが大好きです。

今日は、あかりたんの推し活の日。

うちの中で推し活とは、あかりたんの自宅警備です。


何より、あかりたんに殺害予告が届いているのです。

まあ今時殺害予告如きに、大騒ぎするのもなんですが。


推しの安全を守るのもファンの役目です。

忍者のファンとしては、せざるおえない訳です♪


うちは走っている貨物列車に飛び乗り、あかりたんのいる都会に向かった。

その辺は、まあ一応忍者なので。


真夜中の闇を突っ切る貨物列車の向こうに、街の明かりが見えてきた。

あかりたんの住む自宅は調査済みだ。

SNSに依れば、あかりたんは自宅のマンションにいるはずだ。


「ファンとして興奮しますわ」

うちは、あかりたんの住むマンションの自宅に簡単に侵入した。

その辺は、まあ一応忍者なので。ちょろい♪ちょろい♪


さて、あかりたんはもう寝静まっていた。

寝顔を拝見♪うわ!めっちゃ可愛い♪

違う違う。これはあくまで、あかりたんの自宅警備なのです。


うわ!あかりたんの御身足が!!!!!!!

ちょっと匂いを!ん!足の匂い。。。

まあ、それはそれだ。うん。


うちが変態行為をしていると、ドアが静かに開く音がした。

知り合い、もしくはマネージャー等の一般人が、そんな無音で開けたりはしない。

その不自然さに、忍びの本能に火がついた。


もしかして殺人予告の件?

有名人への殺人予告は珍しい事ではない。

一々気にしてもしょうがないレベルだが・・・


とりあえず知り合いの可能性もあるので、それが解るまで危害は加えられない。

忍法隠れ蓑で、壁と一体化して、あかりたんの寝室で見守ることにした。


侵入者は(うちも侵入者だけど)あかりたんの寝室に入ってきた。

あかりたんの寝室で、ナイフが微かに輝いた瞬間、うちは新たな侵入者の膝を蹴り、屈服させた。


そして敵が反撃する前に、忍法急速睡眠薬で意識を奪った。

拘束後、身分の解る物を探したが、何も見つからなかった。

すぐに上忍婆に連絡して、敵の身柄を引き取ってもらった。


この騒動が、あかりたんの眠りを妨げるモノではなかった。

あかりたんは、可愛い顔して眠っていた。

あかりたんは、365日24時間可愛いのだ。


うちは、それを見届けると、あかりたんの部屋を後にした。

そして玄関に、あかりたんがうちの保護下で在ることを示す、見えない印をつけた。

それを知って、危害を加えると言う事は、忍衆を敵に回す事と同義だ。


こうして、うちのあかりたんの推し活は、無事に終わった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その辺は、まあ一応忍者なので。 五木史人 @ituki-siso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ