第2話

次の日の朝、僕はベッドから手を伸ばしスマホで時間を見た。

時計は7時を指していた。

3年務めた会社員生活のタイマーが体の中でかかっていて、自然とこの時間に目が覚めるようになっていた。

会社に行かなくていい僕はそこから2度寝した。

10時に再び目を覚ました。

ベッドで寝転がりながら昨日会った『常盤まりむ』をネットで検索してみた。

はるかまりむは『つくしんぼ学園』というアイドルグループのメンバーだったことがわかった。

19歳。成城に住む大学1年生。

僕は片っ端から写真を保存し、インスタとツイッターをフォローし、ネット販売されている『常盤まりむ』グッズを買い漁った。

初恋の人にどこか似ているようで、写真を見ると胸が締め付けられるような、甘い痛みを感じた。ツイッターを見ると、明日下北の劇場でライブがあるという告知を見つけた。


「これは行かねばでしょ」


独り言を言いながら、チケットを買った。

昼ご飯のカップヌードルをすすりながら、YOUTUBEにアップされていた『つくしんぼ学園』の『星空のパスワード』をヘビロテで見ていた。

『常盤まりむ』はグループのセンターを務めていた。

ビデオを繰り返し見ても、やっぱりあの「生」の可愛さには、及ばなかった。

僕はそうやって瞬間、この「沼」にハマっていくのだった。

その先に何があるかもしらずに……。

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