【番外編】クールな女先輩と俺で

俺は、ごく普通の会社に勤めている成人の、和賀わがさとるだ。

そんな俺は、今、ファミレスに来ている。

しかも、会社の女先輩とだ。これにはある理由がある。


つい先週のこと。

俺は、後輩の宇賀うが静留しずるとこのファミレス『touching』に来た。

その時にここで食べた『とろとろグラシアスオムライス』がとても美味しかったのだ。

それで、今日もここに来ようと静留と約束していたのだが………

急用が入ったから行けないと言われて、女先輩の佐々木ささきりんさんが、「私、そこに行きたい。一緒に行く?」と誘われたのだ。なので俺は、即答で「行きます!!」と伝えたら、今日ここで凜さんとご飯を食べることになったのだ。

凜さんは、クールビューティーで綺麗でスタイル抜群な、会社では大人気な先輩だ。


「和賀、何頼むか決めたの?」

「はい、前食べたのが美味しくて。凛先輩は?」

「決まってないけど、そのメニューって、何」


凛先輩、綺麗……


「ええっと、前宇賀と食べたんですけど、オムライスです。とろとろほかほかで、美味しかったんです、すごく」

「ふうん。じゃあ、私もそれにする。和賀、注文お願い」

「はいっ!すいませーん!」


俺は凛先輩のいう通り、店員さんを呼ぶ。


「はい!ご注文は何にしますか?」

「『とろとろグラシアスオムライス』、二つお願いします!」

「承りました。少々お待ちください」


店員さんはぱたぱたと走って厨房へ行った。

凛先輩は水をごくりと飲む。


「ねえ、和賀。グラシアスって何」

「前調べたんですけど、スペイン語で『ありがとう』って意味らしいです!」

「そうなんだ。なんでなんだろ。謎のレシピだね」


凛先輩はクスクスと笑う。

凛先輩のレア笑顔!かわいい!綺麗!

しかも俺と同じこと思ってる!


「はい!お待たせいたしましたー!『とろとろグラシアスオムライス』です!」


ゴトンとオムライスがテーブルに置かれる。

前と同じ、とろとろほかほかのオムライス。

ナイフでぱかっと割れば、とろ〜っと溢れ出す卵。


「うわあ、美味しそう………!」


ふふ。先輩、心の声が漏れてます。

俺がニコッと笑っていると、ふいに先輩がこっちをみて、「な、何」と言う。


「なんでもないです!食べましょう!」

「「いただきます」」


ぱく。

美味しい!はあ、やっぱり美味しい!

先輩もいつものクールな先輩じゃなくて、無邪気で素の先輩が見られたな。

先輩、かわいい。


「美味しいわね、これ。私、ここの通になっちゃうかも」

「ふふふ。そうですよね!美味しいですよね!」


素の先輩もレアだ。


「「ごちそうさまでした」」


そして俺たちは食べ終えて店を出る。


「あの、先輩」

「ん?」

「また、来ましょうね。二人で」


すると、先輩が黙り込むので、隣を見ると先輩の耳が赤くなっている。


「……いいわよ。特別に、いい。また来ましょう。約束」


小指を差し出す先輩。


「……。はいっ!!」


俺は先輩の小指に自分の小指を絡ませ、ゆびきりげんまんをする。


約束ですよ、先輩!!

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ファミレスでオムライス 雨夏 @mirukukoka

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