気が付いてしまった……俺って○刀流の大天才
真己
第1話
密かに思いをよせている女性が言った。
「投げるのも、打つのもできる彼ってかっこいいよね」
メジャーリーグの大ファンである彼女は、テレビを見ながらうっとり言う。
「二刀流で結果を出せるって、本物だと思うの」
野球はマンガでしか読んだことがない。俺は、同意するようにあいまいに、けれど下心をこめて、ぶんぶん頷く。
彼って誰だ??? 俺だって、二刀流ぐらいできるし!
そう思いながら、名残惜しくも仕事に戻る。
パソコンを睨みながら、業務を再会すれば閃いた。
俺、仕事でパソコン使うし、タブレットで小説書くし、二刀流じゃね? と。
なら、あとは結果さえ出せば、あの人にアプローチできるんじゃ!
そう思い立ったら、俺は素早い。サービス残業を一時間で切り上げた。
帰宅して、ベッドに寝転がる。タブレットの電源を立ち上げる。
まあ、俺にかかれば大傑作が書き上がるだろう。
数時間後、俺は頭を抱えた。
「ああああああああああああああああああああ」と打ち込んでは、削除キーを連打して、コンボを決めたり。
「我が輩は猫である。トンネルを開けたら、そこは雪国であった。下人の行方は誰もしらない」とか、もうぐっちゃぐちゃのトリプルアクセルみたいなパロディを掻いてみたり。
まあ、色々と試行錯誤しながら、作品を書き終えた。書き上げたこと自体がえらいのだ。そうだ。Webに上げれば、ヒットするかもしれない!
パソコンを立ち上げて、カクヨムを開く。新規作品を投稿し終えた! 心地よい充足感を得る。
最後に、スマホでの見え方を確認する。
その途中で、はたと気が付いた。
あれ、俺、スマホも使ってるから、なんなら三刀流じゃね?
どこぞの野球選手に打ち勝ち、安らかに眠りにつく。俺は才能溢れる天才だった、すでに。
後日、誤字が見つかったし、スマホからは見にくかった……。
気が付いてしまった……俺って○刀流の大天才 真己 @green-eyed-monster
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