第3話 後
早朝、青年達は少女が書いた地図を頼りに少女の家を目指して出発した。いつどんな獣が出るか分からない山の中を登っていく。
数十分登った先に家が見えた。
「あれが私の家です!」
見つけて嬉しかったのか家へ走り出す。
「危ないぞっ!」
山の上から猪が物凄い速さで駆け降りて来た。速さを緩めず向かってくる猪が進む先に少女が立っている。すぐさま青年は猟銃を構え。
稲妻のような銃声が響いたーーーー
*
少女が目を覚ますと、そこは見慣れた暖炉やキッチンが目に入る。
「ここは………?」
「あなたの家よ」
横たわる自分の傍に母が座っていた。母の顔を見て、安心する少女。そしてふと思い出した。
「あの人達は?」
「あの人達って青年達のことよね。彼らはあなたをここまで連れて来てくれたのよ」
「私、まだお礼も言えてないし、借りた服も返せてないわ」
「なら、今度お礼をしに青年達に会いに行きましょ」
「それに彼に言いたいこともあるの」
青年に思いを馳せる少女。
見事に二つの的を射抜いた青年であった。
獣と恋 織宮 景 @orimiya-kei
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