第2話 中
下山をして、猟師小屋に戻った青年達。
獲物は隣の解体所で冷却を行っている。
少女は猟師小屋にて暖房をつけて青年達と一緒にいた。レンジで温めたコーンポタージュを彼女に渡し、落ち着かせる。
「どうしてあんなところにいたんだ?」
「家がさっき見つけてくれた場所の近くにあるんです。そして私が家からいたずら心で親の目を盗んで1人で散歩をしていたら迷ってしまって………申し訳ありません!」
「大丈夫だよ。それより親御さんが心配してるんじゃないのか?今日はもう遅いから明日君の家に向かおう。早く帰らないとな」
多少厚着はしているものの、この時期、この標高では無意味に等しい。身体を見たところ低温な場所で起こる症状にはなっていないようだ。
「風呂はいいるっぺか?」
おじいさんの質問に対し、少女がキョトンとした表情で首を傾げる。
「風呂入るか?だってさ」
「あっ。入っていいんですか?」
「大丈夫だよ。森の中で汚れただろうし、洗っていきな」
風呂を沸かして、少女が風呂場に入った。
「あんちゃん、いいおんなってだな。あんちゃんはどぅ思うだ?」
「何言ってるんですか?」
「ん?だがらいいおんなってだな。あんちゃんはどぅ思うだ?」
「いや、聞き取れなかったわけじゃなくて………。どうも思いませんよ」
「本当かさー?」
「狩猟の的も上手く射抜くあんちゃんなら、おんなっての心の的も射抜けるだ」
おじいさん達が青年にお節介を焼く。
「そーいば、おんなっての変えの服はどぅーする?」
「わしらの服をおんなってに着せるのはあかんじゃろ」
「なら、歳がちがいあんちゃんの服を着せたれ」
「えっ?俺の服だって?」
こうして消去法で俺の服を貸すことになった。
自分の服を少女に渡しにいく。風呂場に近づくとシャワーの音がする。本能的に青年はあの子が洗ってるところを想像してしまい、これは失礼な行為だと煩悩を消すために頭を振る。
「ここに変えの服置いとくから着てってくれ」
服を風呂場の前に置き、その場を去った。
十分以上が経って、少女が風呂場から出てきた。現れた少女はサイズが一回り大きい青年のシャツとズボンを着ていた。のぼせていたのか顔が赤くなっている。
「ごめん。その服、俺のやつだからサイズ合わないんだ」
「謝らないでください。私は助けてもらった上、色々なことを頼りすぎてすみません」
とても礼儀正しい少女に見た目の幼さとは反していておじいさん達が「おぉ」と感心する。
「寝床は狭いがここで寝てくれ」
「あの。自分の家の位置分かります!」
「そうか!なら地図で書けるか?」
「少し誤差があるかもしれませんが、書けます」
少女に紙を渡し、地図を書いてもらった。
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