第3話
見たこともない。街のカードだった。
「ほれ、ここは地獄の一端じゃ。この街は実はな死者が集うだけの場所なのじゃ」
「死者? 私、死んだの?」
私は怖くなって、静香と両親の顔を思い出していた。
「うーむ。死んでいないようだね」
「そうでしょ。俺だけさ」
占い師は、それでもこの街からは出られないと言った。
二人だけで、この街を永遠に彷徨う。
そんなことが、有り得るのだろうか?
「お金は、少しだけあります。なんとか出られないの」
私は財布を取り出した。
私はこの街から本当に出れないのか占いをしてもらいたかったのだが、占い師は首を縦に振ったが、席を立った。腹の塩梅はどうか。ともいった。
蕎麦だけではと、まだ小腹が空いているので、占い師について行った。
今度は、異様な料理店だった。
そこで、青黒いエプロンの調理人は、得体の知れない。黒っぽい炭のような料理と炭と泥で覆われた腐った魚を出してきた。
占い師は普通に食べるが、私たちは箸にすら手を出さなかった。
「まあ、この街で生きるためには食べないといけないが、無理なら蕎麦など天ぷらなど、食べた時のあるものにせい」
私はお金を支払うと、占い師は来た道を戻れといった。
そうだ。
来た道を戻ればいいんだ!
蓮野井と別れ。
来た道を一生懸命に思い出しながら走る。
それぞれの建物から明かりが消えてきた。
柔い日差しからの日陰が戻ってきた。
私は日陰を纏い。
駅に辿り着いた。
後ろを振り向くと、建物からは異様さが消え。
日差しを被る。
食堂街の姿になっていた。
駅の周辺も道路もおぼろげに見える。
駅構内に入ると、おぼろげな姿から元通りに戻って来た静香が手を振って私を迎えた。
「よく生きて来たね。きっと、あまり悪いことをしていないんだね。あそこでは大罪人は様々な食材になり、罪人はそれを食す。あの世でも食物連鎖があるんだって……最後には神が街ごと壊すって、昔、おばあちゃんから聞いたの」
私はあまり罪のない人生を送っていたということだった。
それは、それでいいのだろう。
死者になっても、お互いに食い合うのは、性に合わない。
別に苦しくもなく。
死んでも辛いことは無い。
ただ、罪をしないだけ。
異様な料理店 主道 学 @etoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
心の癌/主道 学
★20 エッセイ・ノンフィクション 連載中 108話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます