superfluous


 後輩「あ、自分トイレ行ってきます!」

 百合「心配だから私も行く〜」

 変態「じゃあ僕も〜」


  突如、二人の前からクソリプオジサンが現れる。


 後輩・百合「「ギィヤァァア‼︎」」

 変態「ァァァアア!」

 後輩・百合「「ギィヤァァア‼︎」」

 変態「ァァァアア‼︎」

 後輩・百合「「ギィヤァァア」」

 変態「ァァァアア‼︎」

 後輩・百合「「…………」」

 変態「ァァァアア‼︎‼︎ あ、終わった?」


 後輩「何でこんなとこに⁉︎」

 百合「不審者よ! みんな逃げて‼︎」

 変態「不審者じゃない。れっきとした関係者」

 嫌味「部長、あいつどうにかして追い出せよ」

 部長「そうだな、まずは警察に電話するんだ!」

 モブ「もう相手ボコボコにされてるけど」


  破壊神が先手でクソリプオジサンをボコボコにしていた。


 変態「痛い痛い痛い、でもそれがいいっ!」

 破壊「ダメだ、アタシが一番苦手なタイプだ」


 主役「……あれ? 安東教授じゃないですか」

 変態「やー真中くん」

 部長「むむ、真中後輩知り合いなのか」

 主役「はい、今度安東先生のゼミに入るんで」

 後輩「安東先生? ……あれ、どっかで聞いたような……」

 主役「うちの顧問ですよ」

 皆々「「「顧問⁉︎」」」

 百合「キモッ」

 変態「えぇ⁉︎」

 後輩「あ! だから照明を直せたんですね!」

 変態「まぁ、昔照明をかじってたからねぇ。僕くらいになるとね、手を叩いた衝撃波で配線をいじって照明直せるから」

 後輩「え、凄いですね」

 嫌味「そんなわけあるか」


  そこに騒ぎを聞きつけ、この場にいなかった先輩が戻ってくる。


 先輩「え、こいつ」

 部長「顧問だ!」

 先輩「え、この人が⁉︎」

 変態「そうだよー」

 先輩「顧問の先生が来るのは初めてですよね。どうかなされたんですか?」

 後輩「わっ! まさか面白かったことをわざわざ伝えに来たんですよ!」

 百合「絶対女の子を口説きにきたわよ」

 厨二「クラスアップ!」

 破壊「差し入れ?」

 変態「小屋、燃やしたよね?」


  一同黙り込む……。


 変態「全焼だよ。小屋主やその近所に住む人からはクレームの嵐。そして僕が大学からめっちゃ怒られた。そりゃそうだよ。だって燃やしたんだもーん! 跡形もなく小屋消えてるもーん! ……で、誰がやったの」

 破壊「そんな仲間を売るなんて非青春みたいなことできるわけないだろ!」

 嫌味「こいつです」

 破壊「すみません」

 変態「お前か……」

 破壊「いや、違う。あれは電子レンジが悪い。楽ステが終わって、お腹空いたなーってなったから焼きそば温めただけだ。そしたら爆発して、小屋燃えた」

 変態「立派な犯人じゃん。え、どうしてくれんの? どう責任取るわけ、どうお金を返すわけ」

 百合「はっ……! 絶対この男、春菜ちゃんの身体を狙ってるわよ! どこかの闇社会に売り捌くつもりなんだわ」

 厨二「闇の売買人ブローカー……!」

 百合「そんなこと絶対許さない。お願い……私に売ってくださいお願いします」

 変態「そこまでしねぇよ。ただ、呑気に飲み会なんて開いちゃって、まぁ……最近の学生はその辺のモラルが欠如してるのかな。このこと世間に知られたら炎上もんだよ、炎上したのは小屋だけどねぇ! ……ん、何だよ」


  モブはクソリプオジサンの肩を叩き、コショコショと耳打ちしだす。


 変態「え、何? ……もうお金は払った? 賠償金も? 示談は成立してる? 何で。え、あ、お前が払ったの。そんなバカなあの財閥の後継者……⁉︎ あ、どうも」


  モブから何か受け取ったクソリプオジサン。

  たぶん小切手。


 変態「……なるほど。今日は帰ります。次は気をつけるように」

 百合「よかったー」

 後輩「もう危ないとこだったね」

 破壊「腹減った」

 先輩「何だったんだよこの茶番は」

 義妹「──お兄ちゃん」


  クソリプオジサンとの茶番劇が終わった直後、妹が先輩の元に駆け寄り、ヒロインがそれを追いかけてくる。


 義理「お義姉ちゃんがお兄ちゃんに話があるって」

 花形「ちょ、ムリムリムリ!」

 先輩「……お義姉ちゃん? お、おぉ何だ?」


  さっきまでクソリプオジサンに全員注目していたから、その流れでみんなヒロインたちを見守っている。


 花形「え、あ、いやそんな大した話ではないんですけど」

 先輩「あぁ、なんだ?」

 花形「その、先輩たちってもう三回生ですよね……」

 先輩「半年ぐらい経ったけどな」

 花形「もう、引退ですよね、会えなくなるの寂しいですよ……」

 先輩「お、おい、泣いてるのか……?」

 花形「泣いて、ない……!」

 先輩「そうか。そんなに泣いてくれるのはありがたいが……だがな──」

 花形「私は先輩のことが好きです」


  盛り上がる会場。正直、みんな薄々勘付いてはいたので驚きよりも歓声に近い。妹は激しくガッツポーズをとっていた。


 先輩「そうか、ありがとう」

 花形「私が先輩とこれからどうしたいかはまだ分かりません。分からないけど……離れたくない、お別れしたくない……まだ部室にいてくださいよぉ……」

 先輩「月部……泣いてるところ悪いが、俺たちまだいるぞ?」

 花形「……先輩ったら、そんな励ましいらないですよ」

 先輩「いや、だから俺たちまだいるんだよ。次の公演も」

 花形「冗談は……ん?」

 先輩「俺ら毎日部活に来てたから、ろくに勉強してなくてだな。留年した」

 花形「先輩が……?」

 先輩「いや、全員」

 花形「全員⁉︎」


  見回すと、部長とモブ、さらには制作スタッフの何人かがピースしている。ダブったのピースである。

  それにどうやら自分以外みんな知ってるような反応である。


 花形「え、えっ、てことは……」

 先輩「だから、明日からもよろしくな。後輩」

 花形「勉強しろよ、バーカ‼︎」


  完全に時期を間違えたヒロイン。

  この告白劇は、今後部にまつわる面白い話として語り継がれていくこととなる。

  その度に、月部はひどく赤面した。


  了

  

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Funny Bunny 杜侍音 @nekousagi

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