epilogue
部長「じゃあ無事に公演終わったということで!」
皆々「「「カンパーイ‼︎」」」
公演が終わり、バラシや後片付けも済んだ日の翌日、部員全員で飲み会が行われた。
レンタルスペースを貸し切っての会場、閉め切っていればどれだけ騒いでも周りに怒られない有明月御用達の場所だ。お酒は未成年もいるので、成人者のみの二次会から出てくる。
各々、公演の思い出を話していく。
後輩「いやーっ! まさか……楽ステで小屋が燃えるとは」
破壊「あれは見事だった」
百合「小屋主さん、ちょービックリしてたもんねー」
厨二「
後輩「開き直ってみんなでキャンプファイヤーしたもんね。楽しかった!」
制作「3ステの時に、落ちてきた灯体にぶつけた頭はもう治ったんですか?」
嫌味「ははは、治ったように見えるかい?」
イヤミの頭部は包帯でグルグル巻きにされていた。
モブ「2ステで間違ってキスしたお客さんには謝ったの?」
着包「実はね。あの後、付き合うことになりまして」
制作「おぉ! おめでとうございます!」
着包「みんな、ありがとう」
主役「……相手は70のおじいちゃんだけどな」
着包「ちゃんと大切にするよ」
主役「何があって同期と俺のじいちゃんが付き合うことになるんだよ」
部長「うん、全然無事じゃなかったな‼︎」
制作「先輩、そういえばオペ二人は?」
制作(長)「あぁ、今北海道でライブ」
◇ ◇ ◇
照明「先輩!」
音響「なにー⁇」
照明「こんな極寒の地でアイドルいるんですか」
音響「いるよー。ほらあそこ」
照明「わぁ……アイドルって、自分たちを照らしてくれる太陽みたいな存在ですね!」
音響「でしょー? じゃあ応援するよー」
照明「はい‼︎」
◇ ◇ ◇
破壊「よっしゃ、集合」
イヤミはじめ、制作の何人かが瞬時に集まる。
嫌味「なんですか総長!」
破壊「アタシ焼きそば食べたいんだよな。でも、あれじゃん。一人当たりの配分決まってんじゃん。つまり、何言いたいか分かるよな?」
嫌味・制作「「「イェス、マァム!」」」
盛り上がる会場を見渡すヒロイン。
一人、オレンジジュースを飲んでいた。
花形「あははー、ほんとみんなキャラ濃いよなぁ。役者ってほんと変な人ばか──」
制作(暑)「腹筋背筋スクワットォ‼︎」制作(寒)「ボクの名前には括弧を必ず付けるように。その方がカッコが付くからね!」制作(審)「今の温度は25度……いや、27度……24度に下がった!」制作(病)「ゲホッゴホッ‼︎ 野菜ジュース飲みた、あ、捻挫した」制作(豚)「ブヒーッ‼︎」制作(嬢)「オーホッホッホッ‼︎ もっと惨めに泣くといいですわー‼︎」制作(機)「ガガガ、ビー、ガソリン注入、クォー」制作(酔)「アッヒャッヒャ‼︎ オレンジジュースをっ! ガソリンって、えっえっ、アヒャヒャー!」制作(婆)「若い子はみんな元気いっぱいじゃのぉ、はて、この子誰じゃっけ」
花形「うちの部活変な人しかいなーい……‼︎ ……あれ、そういえば先輩いない。もしかして、外かな……」
激クセ強の部員たちが盛り上がる中をすり抜けて、ヒロインはベランダの方へと向かった。
◇ ◇ ◇
義妹「──部長」
部長「ん?」
義妹「撤回。やっぱりあの話無かったことにしてくれませんか」
部長「ああ分かった! なんの話だ?」
義妹「退部。わたしが部活を辞めることです」
部長「ほんとか⁉︎」
義妹「……はい。もう少しやってみようかなと」
部長「良かった。また演劇を続けてくれるんだな」
妹はコクリと頷く。
部長「みんないい仲間だろ」
義妹「強烈。癖は強いです」
部長「そうだな! ──なぁ、青春の色って何色か分かるか?」
義妹「青春。の色?」
部長「それは、楽しく笑い合った黄色、我を忘れて怒り狂う赤色、泣き崩れる青色、絶望して沈む黒色、恋する桃色……それぞれの色が混ざった虹色こそが青春の色だ」
義妹「はあ……」
部長「これはあくまで俺の答えだがな! まぁ、なかなか彼女が答えを出してくれないからね。だから君にこっそり答えを言うことにした!」
破壊「焼きそばパンまだかー!」
義妹「青春」
部長「これから愛妹後輩は色んな色を心に色付けていくんだ。次の公演が楽しみだな!」
義妹「次回。わたしも楽しみます。これを最後にしなくてよかった」
◇ ◇ ◇
花形「先輩」
先輩「おぉ。どうしたんだよ」
花形「寂しそうかなと思って。喫煙者。部で一人だけですもんね」
先輩「身体に悪いぞ、中に戻っとけ」
ベランダに設置された簡易喫煙所にて、一人煙草を吸っていた先輩。
花形「……ありがとうございました。あの時は本当に」
先輩「まだ言ってるのか? その後のステージはすごく良かったじゃないか」
花形「初ステで先輩が励ましてくれたからですよ。あの言葉、意外と心に響きましたから」
先輩「意外とって」
花形「先輩と舞台にもう立てないんだなって思うと、意外と寂しいですね」
先輩「冗談で言ってんのか?」
花形「本気ですよ。頼れる先輩だと思ってましたから」
先輩「そうか、俺も生意気な後輩たちだと思ってたよ」
花形「うわ、そんなこと思ってたんですか。サイテー」
先輩「あのなぁ……。てかよ、お前──」
義妹「あ、ここにいた」
部長と話を終えた妹も、兄を探してベランダに現れる。
花形「あ、愛ちゃん」
先輩「そういや愛と仲良くなったんだよな。よかったじゃないか、月部のこと慕ってるみたいで」
花形「あー……まぁそういう捉え方でいいと思います」
義妹「どうしてわたしを呼んでくれないの? お義姉ちゃん」
先輩「おねえちゃん?」
花形「あー! そうだわたしたち仲良いからあっちで二人で話そうかー! ここ寒いしー!」
ヒロインは妹を連れて部屋の中に入った。
花形「先輩が変な勘違いするでしょ!」
義妹「別に勘違いでも、いずれ本当のことになるもの。好きじゃないの? お兄ちゃんのこと」
花形「いや、その、好きだけど、この好きってのは、その尊敬というものであって……」
義妹「早く二人には結婚までしてほしいの」
花形「結婚⁉︎ そ、そういうのはお付き合いの時間を経てからであって……!」
義妹「ちゃんとプロポーズの時間はわたしが何とか作るから、それまでに言葉考えておいてよ」
花形「えぇ⁉︎」
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