やっぱり中二病じゃないすか。
まず訂正しておくことがある。
一つは、漫画やラノベはとても素晴らいコンテンツであると言うこと。
様々な文学形態は、それぞれが縦一直線のヒエラルキーの形を取っているという訳ではなく、こちらが優れているからあちらはダメだ、というような事を言うつもりは毛頭ない。
もう一つ、太宰治は九州北部の出身ではなかった。
彼は青森県の出身らしい、日本列島のほぼ真反対ではないか。
私の思考回路が如何に簡素なモノであるか、静かにも赤面せずには居られなかった。
一応お空の太宰さんにも頭を下げておいた。
私もある意味、人間失格かも知れないな。
そんなわけで、今度こそ、本当に本編を少し読み進めたわけなのだが、素直な感想を言ってしまえば、太宰さんは妄想癖が酷い。私もよく頭の中で、美少女達を際どい衣装に変身させて戦わせているが、無論、彼のはそういった欲望を詰め込んだものではなかった。いわゆる被害妄想、とでも言えばいいのだろうか。
この物語の主人公である大庭葉蔵は、太宰治自身がモデルとなっている人物である。
彼はとにかく、常日頃から人間に不満を抱いていた。周りから見れば他愛のないのようなことでも、彼にしてみれば酷く神経を逆なでするものであり、人間の怒りと言う感情に垣間見られる本性は、例えるなら、草原で眠っている牛が、不意に腹に乗った虻を尻尾で打ち殺すようなものだと言っている。
私のような鈍感な一般市民からしたら、どんな例えやねん、と盛大に草を生やしたくなってしまったが、失礼だったろうか。
まあしかし、彼自身そうは言いつつも、自意識過剰なのだと、そう自分で言っているのだから、滑稽に見えてきてしまう。
また、幼い頃のエピソードで、土産は何が良いかと父親に問われるものがある。
その時彼は黙り込んでしまい、結果父親の機嫌を害してしまった為、夜中こっそりと父の手帳に、シシマイ、と書いた。
さらに、そのメモを見て大喜びしている父を、部屋からそっと聞き耳を立てていたと言うのだから、誠に恐ろしい。
成る程、確かにこれは、他の勘違い野郎とは一線を画した神経を持っている。
それで彼はこう言うのだ、人と一緒に暮らすことなど出来はしないのではないだろうか、と。
うん、ちょっと調子乗ってるね。
不覚にも私は、世紀の文豪相手に、マウンティングし始めた。
人と関わらずに生きていくことの方が不可能だろう。貧しい国でダイエットの文字を見かけないように、また、本当に世間から閉ざされた人も、人との関わりを絶とうとは言わないのではないか。結局、彼は井の中の蛙ではないか。
子供のおねだりを喜ぶ父親に、飯をたらふく食わせてくれる母親。自らを慕ってくれる級友や兄弟。
そんな中にいて彼は、本当の自分じゃない、自分は道化だ、人とはわかり合えない、そう語るのである。
待て、世に言う世界系中二病ではないか。
彼の時代にはそんな言葉や概念はなかっただろうが、違いない。
実は、ここまで散々物語に文句を垂れてきた私であるが、密かに葉蔵にシンパシーを感じたりもしていた。それがこの中二病設定の部分である。
前にも述べたように、この手の文章を読むと多くの人が自分と深く重なると思い込んでしまうが、それは彼らが一様に中二病を経験したことがあるからではないのか。
中二病とは、自我の芽生え、己という個の確立である。
それまでただ大人の言うことを聞いて、なんとなく楽しく生きていた人が、ある時、他人と異なる短所に気が付き、他人との考え方の違いに苦悩し、本当の自分を探し求めたり、、将来何をしているのか、私にも等しく死は訪れるのか、などと考え始める。
幼き日々の大庭葉蔵しかり太宰治は、まさしくそれではないか。
もしも彼が現代に生きていたら、デスノートを拾ったりしたのだろうか。はたまた異世界転生して俺TUEEEE系の主人公になったりしたのだろうか。因みに私は、黒髪ツインテールのツンデレ幼なじみと付き合っている。
しかし中には、彼は本当に頭が良くて、凡愚には理解できない苦悩があるのだと言う人もいるかも知れない。
だとしても、そんな話を聞けば聞くほど、得意気につけあがる幼い葉蔵少年の姿を想像してしまう。
私の感性が独特なのだろうか。
まあ結局の所、そう考える私も中二病……、使い方を間違えた気がする。
(P.S.私は生まれてからこの方、読書感想文ぐらいしか文を書いた経験がなく、今回も何か、読書感想文のような形になってしまった気がする。そんなことを言い出しては、この物語のテーマである、人間失格の魅力を伝えると言う事が、そもそも読書感想文に近いものであるのだが、次回以降はもう少し私オリジナルの物語ベースで行きたいと思う。)
人間失格ってなんやねん アジピン酸 @ajimi07
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