第25話 別れ25p
占いの館からの帰り道。
しつこいくらいに降り続けていた雨はすっかりと止んでいた。
俺は全身に疲労感を感じていた。
どこをどうやって帰ったのか、疲れた体を引きずって、一人暮らしのアパートに帰り付いた時には棚の上のデジタル時計が夜の九時だという事を示していた。
ベッドに、どさり、と倒れ込むと、もう起き上がれなかった。
俺の頭を今日あった出来事がレコードの様にくるくると回る。
大学に行って、大学を出て、雨の街をさ迷い歩いて。
その帰り道の星の無い空。
それから、占いの館での出来事。
俺は握りしめたままの手のひらを開く。
涙型の石が付いたネックレスが布団の上にポロリと落ちる。
俺は、それを指で摘まむと暗がりの中、眺めた。
手の中の石の感触を確かめると、ひやりとしていた。
季夜の魂を俺の体に呼び寄せる力があるという石。
「馬鹿馬鹿しい」
そう口にしながらも、俺はネックレスを離さずに、握りしめたまま目を閉じた。
眠りは直ぐに訪れた。
俺は夢を見た。
夢の中で俺は季夜と一緒だった。
前を歩く季夜を追いかけている。
季夜はのんびりと歩いているというのに俺は中々、季夜に追いつけない。
五分と三角の時間に虹 円間 @tomoko4649
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