失せ人は安寧の夢を見るか。―――何も持たずに異世界転移。
幻武
第1歩 俺はどうやら異世界に転移していたようです。
ふと、目が覚める。
俺が、目を少しこすると、いつもの少し薄暗い常夜灯の付いた自分の部屋ではなく、まるで森林の中にある小さな広場の中心に寝転がっていた。
昨日は確かベッドで眠っていたはずだ。それなのになぜこんな場所に…?
「…ってそんな場合じゃないだろ。俺」
そう少し声を出す。起き上がって服を見ると、いつもの部屋着にスリッパのままだった。
この感じだと自分のものは何もなさそうだ。そう思いつつ自分のポケットをまさぐる。…やっぱり何もないか。
「ッつーかこれ、『拉致』ってやつか…?」
そんな風に考えていると、後ろから恐ろしい唸り声が聞こえる。
『GRRRRRR…』
「ぁ…なんだ…よ…!?」
そうして俺が振り返ると、まるで茶褐色のトカゲをまるで大きく太くしたような…そうだ。ファンタジーだとよくある『ドラゴン』みたいじゃないか。それが俺に向かって涎を垂らして俺をまさしく喰わんとゆっくりと近づいてくる。
…ってそんなことを考えている暇はないか!
「に、逃げっ…!」
そう言いながら俺は全力で走ってこの場所から離れようとする。
『GRRAAAAAR!』
それに気づいたドラゴンは俺を逃さんとすべく、走ってくる。その巨体は遠目からして約2メートルか3メートルだろうか…って速い…!?
「はぁ…ッ…はぁッ…!」
息も絶え絶えになりつつ必死に逃げていると、ドラゴンが入れない大きさの洞窟が見つかった。
「クソッ…届けッ…!」
そうして顔から転がるようになんとかドラゴンに追いつく前に洞窟へと逃げ込み、奥の方へと潜む。
「はぁッ…はぁぁっ…さ、さすがにこっちにこねぇよな…?」
そうしてあいつが洞窟に突っ込んできて、前脚をまるで何かを探すかのようにこの洞窟の中に入れてひっかいてくる。…さすがにこっちに気づかないよな…?
僧予想していると、あのドラゴンは前脚を抜いて、少し一歩に引き、口を大きく開き…!?
「嘘だろ…!?」
あの感じだとドラゴンがブレスを放とうとしているのか!?こんな狭い洞窟に打たれたら確実に俺が死んでしまう…!
『KyAAAAAAAARH!』
そうドラゴンがブレスをためようとしていると別の…今度は鷹を大きくして鋭角にしたような巨大な二つの頭を持った鳥が飛行してきてドラゴンを襲い掛かる。おそらく、あいつがあのドラゴンを喰らおうと俺に熱心になっている時を見図っていたのか…?
少しの間外からは大きな炎が放たれるの音や暴風のような音が鳴り響き、しばらくすると音は止まり、そしてグチュリ…グチャ…と肉が喰われるような音が聞こえる。おそらく、この感じだとあの鳥が勝てたのだろうか。洞窟の奥で死角から観察していると少しして食べ終わったのか、その鳥はこちらの方を見つめる。
…しまった。あいつが俺を狙っている可能性もあるんだった…!
しかし、こちらに気づかなかったのか、他のほうを見て、そのまま飛び去って行った。…なんとか生き残れたのか…?俺。
そして、この光景を見てしまった俺は、ここが『異世界』であると確信するのだった。
失せ人は安寧の夢を見るか。―――何も持たずに異世界転移。 幻武 @Zombie_Genm
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