雪花

森咲碧依

episode1.出会い

ーーピピピピ……ピピピピ……


目覚めの悪い朝が来た。もう朝かと思いながら寝癖の悪い頭をかく。カレンダーに目をやると2025年11月下旬。例年より寒い秋が終わりもうすぐ冬が始まる。


万年床になりつつある布団から体を起こし洗面所へ向かう。


「うわー、俺ってこんな顔してたっけ。」


髭の生えた冴えない自分の顔を見てボソッと言う。独り暮らしをしていると独り言が増えるものだ。


三連休、家から出ず剃らず伸び放題の髭を剃る。スッキリした自分の顔を見て少し若返ったな、と思った。俺は髭が伸びると老け顔になるのが思春期からの悩みである。


顔を洗い、歯を磨く。

今日の大学は一限からで少し早い。クローゼットから服を出し着替えバッグを持ち外へ向かう。


扉を開けると秋なのに日差しが眩しい。そして風が強く体が震える。


「さむっ……!」


体を擦りながら今日も小走りで大学へ向かう。



俺、要陽斗の朝食は大学にあるコンビニのパンひとつである。親からは仕送りを貰っているが、大学生活はそれでもカツカツだ。


空いた日は派遣の引越し作業なんかで小遣いを稼いでいるがそれでも足りない生活費を小遣いから出すと自分で使えるお金なんてミジンコ程度だった。


「親に迷惑かける訳にもいかないもんなぁ。」


朝ごはんの焼きそばパンをモグモグしながらそう呟く。俺は長男で弟と妹が居る。親にこれ以上負担をかけさせる訳にはいくまい。



学生生活の1番の出費は友達付き合いの飲み会だった。


俺は地味ななりをしているけれど、そこそこ誘ってくれる友達はいた。無論、酒は好きなので友達に誘われて断る理由がなければ参加する。そして、基本飲み放題プランなので野口が喜んで飛んでいくのだ。


そうなると、何故か、食費を削って生活すれば良いのでは、と今に至る。


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雪花 森咲碧依 @morisakiaoi

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