妹と兄

ネオン

兄妹

「ねえ」

「何」

「仕事やめたい」

「ダメ」

「えー、もう疲れたんだけど」

そう言って、妹は机に突っ伏してしまった。

「あっ、じゃあ、兄が代わりにやってよ」

「無理」

兄は間髪入れずに答えた。

「けち。だってまだ、私高校生だよ?なんで、こんなおっきな会社の経営をしなきゃいけないんだよ……。学生と社長の二刀流って何?意味わからないんだけど」

「俺に言うなよ。爺さんが後継者に指名したのがお前だったから、しょうがないだろ。それに、俺も一応お前の代わりに色々とやってやってんの忘れるなよ」

「確かに少しは助かってるけど。でも、もっといろんなことやって欲しいんだけど。私が学校行ってる間以外でも、私の仕事代わりにやってよ」

「無理」

兄は即答した。

「えぇー。大体さ、仕事代わりにやってるって言っても、大したことやってないよね。兄には経済とか経営とかそういう知識ほとんどないから出来ること限られてるし。勉強する気は」「ない」兄は食い気味に言った。

「俺は秘書っぽいことやってるからいいじゃん。あと、お前が学校との両立大変そうだから、副社長さんがいろいろやってくれてるし、俺が何かする必要なくね?」

「いや、もっと働け。兄がやってることは私の伝書鳩だからね。簡単な仕事しかしてないよね。やっぱり、勉強させないと……」

「えぇー。お前が経営に必要な知識全部持ってるから大丈夫だよ。爺さんに小さい頃から教え込まれてて、小学校卒業する頃までには一人で会社設立して経営できるくらいにはなってたじゃん。それに、俺の仕事量が増えると、家事がおろそかになる恐れがあるけど大丈夫か?俺が家事やらないとゴミ屋敷になるぞ」

妹は何も言い返すことが出来ない。

「よし、この話は終わりだな。さて、今日の晩御飯はオムライスだけど食べるか?」

「食べる」妹は即答した。

兄は料理が非常に上手だ。妹はお店で食べるよりも兄の料理が好きなのである。だが、妹は兄を養うのは嫌なのだ。だから、妹は誓った。いつか家事が出来るようになったら、ほぼ無職のこの兄を追い出そうと。

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妹と兄 ネオン @neon_

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