033 エピローグ

 わたくしの名前はカロリーヌ=ドルミート=エヴリアルと申します。

 エヴリアル公爵家の次女で、基本的にベッドで生活をしているほど病弱なただの役立たずの令嬢でございます。

 けれど、わたくしには実は秘密がございまして、古に失われたと言われている魔法が使えるのです。

 とはいえ、火を起こす、風を起こす、水を発生させる、花を芽吹かせる、といったささやかな事しか出来ないのですけれどもね。

 ただ、そのせいか、わたくしは記憶にないほど幼い頃に、国王陛下が後見について下さり、自分の好きなように人生を選んでいいと確約していただいているのでございます。

 王宮に滞在するもよし、教会に入るもよし、と言われましたが、わたくしは家で大人しく過ごす道を選びました。

 そもそも、わたくしは病弱でございまして、ろくにベッドから起きれないのでございますものね。

 そんなわたくしでございますので、下手なところに引っ越すよりも、大好きな家族の居るこの屋敷に留まることを選択いたしました。

 わたくしの選択に、お母様は静かに頷いて下さり、何があってもわたくしを守るとお約束してくださいました。

 わたくしの家族は、大黒柱であるお母様と、それを支える二人のお父様と、お兄様とお姉様の六人家族でございます。

 わたくしが病弱という事も関係しているのでしょうけれども、お兄様とお姉様はわたくしの事を良く構ってくださいます。

 お二人ともお勉強が忙しいと言うのに、ありがたいことです。

 わたくしも淑女教育を受けておりまして、お母様のような完璧な淑女になることがわたくしの目標でございます。

 お姉様も、お母様のような淑女になりたいと、そう仰っておいででした。

 お兄様とお姉様は、貴族の子女でしたら必ず通う事になっている王立の学園に今年から通っていらっしゃいます。

 わたくしも十五歳になったら通う予定ではありますが、病弱でベッドからなかなか起きれないこともあり、主に屋敷で家庭教師をつけての勉強になるのではないかとお母様に言われております。

 わたくしが魔法を使えるという事を知っているのは、屋敷に仕える者や、その他ごく一部の方々のみでございます。

 国王陛下がそのように取り計らってくださっているのだとお母様が教えてくださいました。

 具合のいい日に、お母様に連れられて国王陛下に謁見したことがございますが、立派な方でいらっしゃいました。

 お母様もそうなのですが、体から発する光の波のようなものが、他の方よりも美しいのです。

 そのことをお伝えいたしましたら、お母様と国王陛下がそれはオーラというものだと教えてくださいました。

 お母様と国王陛下は本当に物知りですごいお方なのでございます。


「やあ、僕の可愛いカロリーヌ、今日の具合はどうかな?」

「わたくしの可愛いカロリーヌ、今日は熱は出ていない?」

「はい、お兄様、お姉様。本日は体調が良いのですのよ」

「それは何よりだね」

「安心いたしましたわ」


 お兄様とお姉様は、それぞれ王族の方と婚約をなさっておいでです。

 政略婚約ではなく、恋愛婚約なのだと言われて、少し羨ましいと思ってしまいました。

 わたくしはお茶会に参加することも主宰することもほとんど出来ませんので、他の家の子息と接することもなく、婚約の申し込みは来ているのだそうですが、無理に決めなくてよいとお母様に言われております。


「お兄様、お姉様。今日あったことをお話してください」

「ああ、いいよ」


 わたくしの最近の楽しみは、お兄様とお姉様の学園での生活をお聞きすることです。


「最近、とある男爵令嬢が、お兄様の周りをうろついているのですよ、お兄様にはラルデット様という相思相愛の婚約者がいらっしゃいますのに、全く困ったものですわよね」

「その方は、お兄様の側室狙いなのではございませんか?」

「それならまだかわいらしいと思うんだけど、あろうことか、ラルデット様に嫌がらせをされているなんて言ってくるんだよ。ラルデット様に限ってそんなことするわけないのにね」

「まったくですわ。ラルデット様はクラスもわたくしと一緒ですし、休憩時間もわたくしと一緒に行動しておりますし、昼食はお兄様と一緒に召し上がっていますし、放課後もすぐ王宮にお帰りになりますのに、一体いつ嫌がらせをするというのでしょうね」

「まあ、そうなのですか」


 お母様が挿絵を描いていらっしゃる小説で読んだことがありますわ、男爵令嬢が高貴な方に見初められて幸せになると言う物語ですけれども、その他にも、実は男爵令嬢が狙っている高貴な方の婚約者をわざと悪役に仕立て上げて、最後にはざまぁされるというものもございました。

 お兄様に纏わりついているという男爵令嬢は後者の方なのでしょうか?


「今日なんて男爵令嬢如きが、婚約者の居る公爵子息にむやみに近づいたり触れたりするなと言われた、などと言って来たんだよ」

「まあ、それは普通ではございませんか?」

「ええ、当然の事ですわ。それに言ったのはわたくしでございます」

「おや、そうだったのか?」

「ええ、ラルデット様は何も仰っておりませんわ」


 お姉様は見た目は儚げな感じですのに、気がお強いですものね、本当にハレックお父様によく似ていらっしゃいますわ。

 それにしても、小説のような事が本当に起きているなんて、学園という所は本当に楽しそうなところなのですわね、わたくしも本当ならちゃんと通いたいのですが、この体では難しいですわよね、やっぱり。


「アリアーヌ様は、ブライシー王国にお嫁に行ってしまいますのよね?」

「うん、そうだよ。相手の王子が学園を卒業したらブライシー王国にお嫁に行く予定になっているね」

「隣国とはいえ、遠いですもの、国王陛下や王妃様は心配でしょうね」


 わたくしには考えられませんわ。


「うん、心配だろうね。アリアーヌ様は隣国の作法なんかを特別講師を雇って教えて貰っていらっしゃるそうだよ」

「そうなのですか、大変ですわね」


 頼りになるのは、旦那様になる王子だけだなんて、わたくしだったら耐えられないに決まっておりますわ、アリアーヌ様は良くご決断なさいましたわね。


「まあ、政略結婚だけど、何度か会って王女方の中からアリアーヌ様を選んだのだし、酷い扱いは受けないと思うよ」

「だとよろしいのですけれども」


 わたくしに出来ることと言えば、アリアーヌ様の幸せをここからお祈りするぐらいですものね。


「そういえば、ラルデット様に聞いたのですけれども、プリエマ叔母様がスタルスト王国との食料品の輸出入の話を纏められたんですって。ウォレイブ様と一緒に諸外国を回っていらっしゃって滅多にお会いできませんが、ご活躍が華々しいですわよね」

「そうなのですか。プリエマ叔母様には数えるほどしかお会いしたことがありませんが、可愛らしい方ですよね。お子様がいらっしゃいませんけれども、側妃様のお産みになったお子様を可愛がっていると仰っていたのが印象に残っておりますわ」

「そうですわね。お子様がいらっしゃらなくても、ウォレイブ様との仲は良好でいらっしゃいますものね」

「……お姉様は、バンジール様の正妃になることが決定していらっしゃいますが、バンジール様が側妃を娶る事には納得なさっておいでなのですか? お姉様はそれで幸せなのですか?」

「そうですわねえ、側妃に関しては思う所はございますが、今はわたくしを一番愛していると仰ってくださっておりますし、わたくしが第一王子を産むまでは他の側妃とは避妊をすると仰っていただいておりますので、今はそれで良いと思っておりますわ」

「そうなのですか」


 婚約をなさっても色々ございますのね。

 お兄様はラルデット様を降嫁していただくので、ラルデット様がお子様をお産みになるまで側室は娶らないとお約束なさったと聞きますし、本当に色々ございますのね。


「そういえば、噂なんだけど、隣国のレーベン王国から、第二王子がいらっしゃるらしいよ」

「あら、では学園に通う際は学年的にカロリーヌと被りますわね」

「うん、まあ、まだあくまでも噂なんだけどね」

「第二王子といえば、レーベン王国の王妃様によく似た、紫がかった白い髪とアメジストのような紫の瞳を持った美少年だと聞きますわ」

「女の子はそういう噂には敏感だよね」

「あら、だって。お母様もお美しいですけれども、レーベン王国の王妃様は絶世の美妃で男爵令嬢だったのにその美貌を見初められて、王妃にまでなったと言うロマンチックなストーリーをお持ちの方ではございませんか」

「うん、我が国でもそれを題材にした小説が出回っているよね。お母様が挿絵を描いたやつ」

「でも、第一王子は元公爵令嬢の側妃様のお産みになった方だとお聞きしますわ。宮中では肩身の狭い思いをなさっておいでなのではないでしょうか?」

「うん、それもあって、亡命ってわけじゃないけど、我が国の高位貴族の令嬢もしくは王女の伴侶になってこの国に永住するんじゃないかっていう噂なんだよ」

「まあ!」


 レーベン王国の後宮事情は複雑そうですわね、我が国とは大違いのようですわ。

 我が国の後宮は、王妃様が良く纏めていらっしゃると聞きますもの。


「レーベン王国は、国民数の割には食料の自給率が低くて、我が国からの輸入に頼っているからね、今後もそれがつつがなく続くようにって、人質、いや、生贄かな? そんな感じで側妃に追い出されるんじゃないかっていう噂もあるんだよ」

「あくまでも噂なのですよね?」

「うん。まあ、情報通の友人からの情報だから、そんなに間違ってはいないと思うけどね」

「そうなのですか」


 なんだか、その王子様がお気の毒ですわね。

 ご自分でこの国にいらっしゃるのならともかく、第一王子を産んだ側妃様の手によってこの国に送り込まれると言うのは、どのような気分なのでしょうか?

 やはり、結婚と言うのは大変な事なのでございますね。

 わたくしはこのような体ですし、結婚致しましても、子供が産めるかはわからないと典医に言われておりますし、いざとなれば、結婚せずに教会に入り女神官になると言う手もございますものね。

 神官長は代替わり致しましたが、変わらず私を熱心に女神官にならないかと勧誘していらっしゃいますもの、教会に入り女神官になりたいと言えば、すんなり受け入れていただけると思うのですよね。

 けれども、お母様もわたくしを後見してくださっている国王陛下も、無理に教会に行く必要はないと仰ってくださっておりますし、わたくしの進路に関しては体と相談しながらじっくり考えることにいたしましょう。


「そういえば、話は変わりますけれども、トロレイヴお父様が騎士団長に選考されたと言うのは本当なのですか?」

「うん、本当だよ。ハレックお父様は副騎士団長になる予定だって」

「国王陛下が近衛騎士から中々手放して下さらなくて、騎士団長と副騎士団長になるのが遅れたという話ですわよね」

「そうだね、お父様方は優秀だから、国王陛下も近衛騎士から離したくなかったんじゃないかな?」

「わたくし、バンジール様の正妃にならないのでしたら、女騎士を目指したかったですわ。お父様方のように活躍したかったものです」

「まあ! お姉様、そんなことをお考えでしたの?」

「ええ」

「シャメルはバンジール様との婚約が決まるまで、女騎士になってお母様を守るんだって言っていたよね」

「そうですわよ。今もその夢は諦めきれておりませんけれども、バンジール様の正妃になりますので、女騎士の道は諦めるしかございませんわよね」

「その割には、こっそり剣の稽古をしているよね」

「護身用の嗜み程度ですわよ」


 淑女教育と正妃教育だけでも忙しいでしょうに、剣の稽古までしているなんて、お姉様すごいですわね。

 そんな話をしていると、コレットがそろそろ夕食の時間なので、体調がいいようなら着替えて食堂で夕食を食べてはどうかと聞いてきましたので、わたくしは頷きました。

 コレットはわたくしの乳母だったのですが、わたくしがこのような体ですので、お母様が心配なさって、お付きメイドを二人にしてくださったのです。

 つまり、コレットは乳母に引き続き、わたくしのお付きメイドになってもらう事になったのです。


「じゃあ、僕達は先に食堂に行っているね」

「また後でね、カロリーヌ」

「はい、お兄様、お姉様」


 お二人が寝室から出ていきますと、わたくしはコレットに手伝ってもらって、寝着からドレスに着替えます。

 着替えてから食堂に向かいますと、既に食堂にはお母様方が揃っておいででした。


「遅くなって申し訳ありません」

「かまいませんわ、折角家族全員で食事を頂けるのですから、そのようなこと気にしなくてよいのですわよ」

「ありがとうございます、お母様」


 わたくしが席に着きますと、食事が運び込まれてきます。

 わたくしは食べる量も少ないので、シェフが特別に別メニューを考えて作ってくれておりますのよ。

 昔はそれがとても申し訳なく感じてしまって、食事が喉を通らなかったのですが、そうしましたらお母様に泣かれてしまい、今ではシェフに感謝しながら食事を頂いております。

 確かにわたくしは他の方が使えない魔法を使えますけれども、何の役にも立ちませんし、大袈裟に騒がれるようなものではないと思っておりますの。

 夕食では、お父様達が王宮で聞いた噂話をして下さったり、お兄様やお姉様が学園でのお話をして下さったりして、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 夕食が終わり、私室に戻ると、すぐに湯あみの準備に取り掛かり、コレットがわたくしの髪や体を洗ってくれます。

 湯あみの後は寝着に着替えまして、また寝室に入ります。

 今日は体調がいいので、すぐに眠りにつくことが出来ました。



『カロリーヌ、息災か?』

「まあ、神様。ご機嫌よう。わたくしを夢に呼び出したことがお母様に知られてしまったら、またお母様に怒られてしまうのではございませんか?」


 なんでも、神界にいると生命力のような物を吸い取られる気がするので、わたくしのような病弱な者が頻繁にいていい場所ではないとお母様が仰っておりました。

 確かに、神様にこうして呼び出された翌朝は、熱を出してしまう事が多いのですよね。


『グリニャックには内緒にしてくれ』

「難しいですわね。それにわたくしが言わなくても、お母様ならわかってしまうのではないでしょうか?」

『むむ……グリニャックは妙なところで勘が鋭いからな』

「ええ、お母様は素晴らしいお方でございますわ。それで、神様? 本日はどのような用件でわたくしをお呼びなのでしょうか?」

『今日、ジェレール達とレーベン王国の第二王子の話をしていただろう?』

「まあ、盗み聞きなんてよくありませんわよ?」

『そこで心配して見守っているという発想が出て来ないあたりが、グリニャックの子供だな。まあよい、とにかくそのレーベン王国の第二王子、リードリヒなのだがな』

「はい」

『私の未来視では、カロリーヌに関わる重要な人物になるとあるのだ。いや、それだけではない。カロリーヌが学園に通う頃には、各国の王子が留学してきてな、カロリーヌと深く関わるようになる。もちろん、この国の高位貴族子息もだがな』

「そうなのですか」


 わたくし、学園に通えますのね、何よりもそれが一番の驚きですわ。


『それにしても、何度も聞くが、せっかく魔法の才能が開花したと言うのに、活用しないと言うのはもったいないのではないか?』

「わたくしの魔法など、何の役に立ちましょうか? せいぜい花を咲かせる、風を起こす、火を起こす、水を発生させる程度なのですよ? もっと強い、絵本に出てくるような魔法ならともかく、この程度の魔法では皆様のお役には立てませんわ」

『ふむ、魔法の正しい使い方を伝授し教育する者がいないのが、難点だな。昔であれば、魔法の才能を持ったものは師匠に付き従い、その腕を磨いたものだが』

「おとぎ話の世界の話でございますわね」

『ほんの三千年しか経っていないのだがな』

「三千年……。十分におとぎ話の世界だと思いますわよ?」


 神様、そんなに長く生きていらっしゃるのに、お母様に頭が上がらないのですね。

 小さい頃に、お母様がお話してくださいました、理不尽なことを言ってくる神様を拳で殴ったことがあると。

 あの時は神様にお会いしたことがございませんでしたので、神様と言うのは、絵本で見るほど偉くないのだとしみじみ思ったものですわ。

 初めて神様にお会いした時にそのことをお話しましたら、四つん這いになり気落ちなさいましたので、その後は言っておりませんが、その翌朝、熱を出したわたくしをお見舞いしてくださったお母様に神様にお会いしたと申しましたら、お母様は笑顔で次に会ったら殴っておくと仰いましたわ。

 その時わたくしは悟ったのでございます、お母様に神様は頭が上がらないのだという事を。


『カロリーヌに魔法の才能が開花したことには何か意味があると思うのだが、生憎、私の未来視にもムラがあってな、そこまでの事は見えていない』

「そうなのですか。けれどもわたくしは病弱ではありますが、平凡な人生を歩みたいと思っておりますので、魔法の才能など邪魔なだけなのですけれども」

『本当にグリニャックに似ているな!』

「お母様に似ている、そう言っていただけて嬉しいですわ」

『褒めてないぞ!?』

「まあ、お母様に似ていると言われる以上の褒め言葉なんてございませんわ」

『ブラコンにシスコン、ファザコンの挙句にマザコン……。どうしてこうなったのだ』

「何かいけない事でございますか?」

『ああ、そう聞き返してくるところもグリニャックにそっくりだ』

「ありがとうございます」

『だから褒めてないからな!?』

「それで神様、他に用事がないのでしたら、熱が出てしまう前に戻りたいのですけれども」


 まあ、もう手遅れだとは思いますけれども……。


『カロリーヌの運命を決める重要な話なのだぞ? もう少し興味を持ってもいいのではないか?』

「わたくしが学園に通えると言う部分には興味がございますが、その他の王子や子息と深く関わっていくと言う部分に関しては、なんともうしますか、実感がわかないと言いますか、まったく興味が向かないと言いますか……」

『グリニャックとは別方向で難解だな!』

「お母様は思慮深い方ですから」

『あの貴腐人が思慮深い……物は言いようだな』

「ええ、お母様こそ貴婦人の中の貴婦人でいらっしゃいますわ」

『本当にマザコンだな!』

「それで神様? いつになったらわたくしを戻して下さいますの?」

『はあ、まったく。親子そろって私を何だと思っているのやら。とにかく、学園生活ではカロリーヌの運命が大きく動く事になる!』

「然様でございますか」


 お母様はお父様達が運命の相手だと仰っていましたので、お母様にお聞きしたら、運命と言うのがどのような物なのかわかりますでしょうか?


『まあ、気になることが発生したらいつでも私を呼ぶと良い。其方はグリニャックの娘、私も気にかけているのだからな』

「わかりましたわ、お兄様やお姉様、お父様達やお母様に聞いてもわからなかったら神様にお聞きしますわね」

『順位! 私の順位低くないか!? 私は神なのだが!?』

「存じておりますわよ?」


 わたくしがそう言いますと、神様は久しぶりに四つん這いになり気落ちなさっております。

 ……なるほど、これがお母様の仰っていた神様は面倒くさいと言うやつですのね。


「神様、ご用が済んだのでしたら、わたくしを帰してくださいませ」

『わかった』


 神様がそう仰いますと、視界が霞がかっていき、意識がホワイトアウトいたします。



 目が覚めた時、わたくしは体のだるさを感じ、自分の手を額にあてますと、案の定発熱しておりました。

 はあ、今日の朝食は皆様と一緒に頂けそうにありませんわね、残念ですわ。

 その後、わたくしを起こしに来たコレットからわたくしが発熱している事を聞いたお母様が朝食前にお見舞いに来て、わたくしが神様に呼び出された事と、聞いた内容をお伝えしたら、お母様がとてもよい笑顔で、「次に会ったら殴っておきますわね」と言ったのは仕方がない事なのかもしれませんわ。






※カロリーヌを主役とした物語が開始されます。

「悪役令嬢、職務放棄」こちらもよろしくお願いしますm(__)m

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