推しは推せる時に推せ

43話 後日談

レンの件は、自殺として扱われた。

メンバーを殺害し、自責の念に耐え切れず自身も自殺したのではないか？

という憶測が日本中を駆け巡り

翌日からニュースや週刊誌、SNSの話題を年単位で独占することになった。

そして、アスタリスクは国民の誰もが名前を知るアイドルグループとなった。

兄の名前はアスタリスクのコウではなく、周防緋絽として世間に知られ、過去の映像も歌声も流れ

死んだ後SNSのフォロワーは一時日本で5位に入った。

事務所はアスタリスクのゴシップのお陰でバッシングを受けていた。まだ潰れてはいないが、時間の問題だろう。

他のメンバー達も芸能界に残っているのはアイだけだ。

ヒロは元々アイドルに執着があった訳じゃないからあっさりと辞めて、話題性がある内にホストになったそうだが

同僚に唆され詐欺に加担し逮捕された。

セイはあの後事件が徹底的に調べられ、Dmのメンバーからの証言もあり薬物使用で捕まった。

それもまた世間を賑わせた。

アイだけは、まだアイドルを諦めてはいないようだが、暴露目当てで小さな芸能事務所に拾われたが

メンバーから3人も犯罪者を出したグループの人間をまともに扱ってくれる所はなく

暴露系に番組に呼ばれたり、真相を究明しますと謳っている中途半端なyoutuberに企画にゲストで呼ばれたりしている。アスタリスクへの世間の関心が過ぎれば捨てられてしまうだろう。

何もしていないのにある意味1番悲惨な状況かもしれない。

私たち家族は、最初こそ世間の目に晒されたが

才能ある息子を失った可哀想な遺族として、腫れ物のように扱われるだけで後は何も変わらない。

変わった事は兄の代わりに増えた小さな家族だけだ。

今の推しはこのレンだけだ

兄残してくれたものを、大事にしたい

推しは推せる時に推さないといけないのだから。