42話 確認
「兄を嫌いでしたか?」
「何故嫌いでした?」
「嫌なことしましたか?」
「他のメンバーのように貴方も嫌っていたんですよね?」
「邪魔でした?」
「兄は無神経でしたか?」
「無能な貴方たちにも等しく優しくて、欠点がなくて、スマホのロックを結成日にしていて
本当は病弱なのに必死で仕事をして、体調を崩しても誰からも心配されなくても文句も言わないで
捨て猫を可哀想だと貰ってあげるような人で
その猫にメンバーの名前をつけるほど貴方達を大切に思ってて、そのせいで誤解されて
貴方達に本当の名前も呼ばれた事もないまま死んでいった
そんな兄の事が嫌いでしたか?」
「分からないんだ」
そう答えたレンは、ただ嗚咽を漏らすだけだった。
「ファンは推しの人気がなくなって根っこから腐っていく姿は見たくないんですよ。
それなら、花が咲いてる内に沢山の人に見てもらって
綺麗でなくても、誰も忘れられないくらい盛大に散った方が嬉しいです」
レンはその言葉を聞くと、フラフラとベランダ方に向かい窓を開けた。
手すりにかけた手が、震えている。
何分もそうしている彼の背中を眺めていると、兄の言葉が鮮明に思い出された
「ファンはいつも背中を押してくれる」
そうだよね、お兄ちゃん。
今、私が彼にかける言葉は一つしかない。
――レンくん、頑張って。
彼はファンの声援に笑顔で応えると
そのまま空に飛び出しました。
キラキラとそのまま空に瞬いて見えなくなる気がしたけれど
彼は本物のスターではないから
地面に落ちてしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます