魔王軍の㍉飯

 なんかすっごい可哀そうな子を見る目で見られた……。


「お、おう。美味かったなら何より……半分食うか?」

「頂きます!」


 あ、ヤバイ反射的に貰っちゃった。


 きっと、あとで濃いぃぃぃプレイを強要されるに違いない──!

 あーんなことや、こーーんなことを……。


「また、えらい子が来たね……普段何を食べてるんだか」


 む……!

 そ、そりゃちょっと大げさに言ったけど…可哀そうな子扱いは心外。


「う、うちの軍営は比較的物資に恵まれていて──その、おいしいご飯が出てましたよ」

「……メニューは?」


 う……。


 お、おいしいのは事実だけど、その──。


「ま、マッシュポテト……」

「ふむ?」

「ベ、ベーベコン入りの……マッシュポテト……」

「ほう?」

「く、クルミ入りの……ま、マッシュポテぉぉ……」

「うん?」

「ほ、ホウレンソウ入りのぉぉ……ま、マッシュなポテェイト……」

「……マッシュポテト以外は?」


 ……う。


「ざ、ザワークラウト?」

「と?」


 …………え。


 ……あ。


「………ない、です」


 はい、終了ぉぉぉぉぉぉぉ!!!

 ポテトしかねーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!


「ミュウ……いじめてやんなよ」

「う、お……うん」

 

 ……しくしく。


「泣くなや……」

「いや、別にいじめるつもりじゃなくてさ……本国の状況を知りたくてね」


 本国──。


 ……あー。

 まぁ、酷いもんです。


「聞く感じだと酷そうだな。滅多に来ない補給でさえ、昔は高価なものが揃っていたんだが…最近はなー……」

「あー……過酷な任務っていうんで、かなり気を使った感じはあったけど、最近はねー……」


 なんだか上官二人は、下っ端のメニューを聞いただけで思い当たったことがあるようで、うんうんとしたり顔・・・・で頷いている。


 いいもん、

 食べるもん。


 ヤリたきゃやれぃ!


 と半ば投げやりな気分で鴨肉じゃがをすする。

 うん……美味い。


 汁っ気たっぷりで本当にシチューのようだ。

 あーだこーだと、言い合いしている上官を尻目に、ご飯と一緒に掻き込んでいく。


「ぉぃひぃ……」


 なんだろう。甘さの中にあるこの風味は…反発しあうこともなく、甘い調味料が混在したこの得も言われぬ一体感は……


 そうか……、

 

「これが醤油か……」

 そうだ。この風味は魚醤に近いものがある。

 あれも風味は豊かだが、少々生臭い……癖があるのだ。

 

 だが、この醤油──それがないのだ。


 故に風味が抜群で、……美味い!


「やっばい。涙出てきた」

 クソぅ……鴨肉じゃが、旨いよー! 旨いよー!


 こんな旨い物が食べれるなんて……!


 この狭い観測点の勤務だけど、

 案外悪くないかもしれない。


 ミュウの話を聞けば、レーションなるものはすごく種類があるみたいだし、コーヒーや紅茶もたくさん飲める──ときた。


 それにジュースは甘いし……!


 仲間も、まぁ──……。


 ミュウさんはガサツそうだけど悪い人じゃなさそう。

 きっと色々勉強になる。


 ビリィは──人間死ね。

 は、置いといて……まぁスケベらしいけど、悪人ではないだろう。

 人間なのが気に食わないけど、ご飯は美味しい。

 美味しいは正義。

 タダは最高。


 ……まぁ、悪人ではなさそうだ。

 少なくとも、飯をくれる人にそう悪い人はいないに違いない。

 せっかくだし、

 精々、人間とやらを見極めてさせてもらうことにしよう。



「ぷふぅ……ご馳走様」



 うん、美味しかった。

 ここの勤務もまだわからないことだらけだけど……。


 悪くないかもしれない。


 ミュウ曹長。

 ビリィ軍曹。


「これからよろしくお願いします!」


 あ……。外の風呂は絶対使わないからね。


「お、おう、よろしく美味かったか?」「結構食べたねー。美味しかった?」

「はい! とっても美味しかったです! レーション最高ですね!」



 ニカッとシェラ的に最高の笑顔を見せるが──。



 なんか上官二人は可哀想なものを見る目。


「あー……レーション最高とか言っちゃってるよ」

「今のうちだけだけどね…毎日毎日──」


 ん?


 突然、空気が冷える。

 ミュウとビリィがブツブツ言い始めたが──何なに?


 ブツブツ……。


 ブツブツ……!


 ブツブツブツブツ……毎日……!!



 毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日………。



「「こんなもんばっか食ってられるかぁぁぁ!!」」「???」





 ドカーン!!!




 と、魂の底から叫ぶ下士官二人。

 と、

 おいひぃよぉぉ、と先割れスプーンを齧っている一等兵。



 全く噛み合わない三人が、ここに揃う。



 がんばれ! 魔族。

 頑張れ三人!



 って言うか……いいのか?

 見てみたまぃよ。



 飯食ってる間に、ドラゴン航空師団が横を飛んでいったぞ?


 加熱剤をブクブクやってる間に、重装騎兵連隊が眼下を驀進していったぞ?


 コーヒー啜ってる間に──……特殊空輸小隊が巨鳥ガルダに乗って向かっているぞ!?




 大丈夫かこいつ等!?

 飯食ってる場合か?




 どうなるPZ-101───通称「鷹の目ホォォォクアァァイ





 デェン! デェン! デェン!

 

 テッテッテテテレテテ~♪



(脳内保管中───)




 デッデッデ♪


 デッデッデ♪


 デッデッデ♪


 


 シェラぁぁぁぁぁ・フェルドリン!!!



 ──アーンド



 ミュウ・ラウゼン!!!!






 ゲスト! 万丈未来!






 

 デェン! デェン! デェン!

 

 テッテッテテテレテテ~♪




 魔族戦線異状なし……

 PZ-101の観測点───



 ──【コンバット! レーション】───


 戦闘糧食Ⅱ型編、


(MRE編に続く……?)


   ~ とりま、完!! ~



─────あとがき─────


お読みいただきありがとうございます!


   ※ お願いごと ※


下記作品も含めて、3作を推しメンコンテストに応募しました!!


〇「突然ですが、仕事辞めます。なので、顔面が陥没するくらいパンチをしていいですか?」~騎士団長になったクソ幼馴染(男の娘)と決別しました~

https://kakuyomu.jp/works/16817330648918353111


〇異世界教師(中学1種免許:社会)

https://kakuyomu.jp/works/16817330648918605976


本作も合わせて、

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㍉飯召喚召喚 LA軍@多数書籍化(呪具師200万部!) @laguun

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