大衆魚のハゼを使ったハゼ御前 大衆魚~高級魚に変貌してるw

近田 益貴

高級魚 ハゼの天ぷらとハゼ出汁の味噌汁

昔は大衆魚だったのに、現在では高級魚扱いする料亭も存在する魚が、ハゼです。ハゼを通年養殖をし常に出荷できる体制作りをするだけ価値が見いだせない魚だったのと、小さく佃煮等で食べる習慣がある地域も狭く流通量が少ないのが理由だろう。

 

 子供の頃、ハゼ釣りが初めての釣りの狙った魚種と言う人も居るだろう。簡単に釣れる魚の代表格。例外に漏れず私の釣りも最初はハゼから始まった。ハゼに始まり、ハゼに終わる。小さな魚であるがその小さな魚体には、奥深い魅力が隠されている。ハゼの特徴として、一年で死を迎えてしまう短命な魚です。お腹に吸盤を持っていて、岩等に吸い付いて流れが急な時にも流されないような身体の特徴があります。

食べておいしい。捌くのが小さい魚なので、慣れるまで包丁を全工程で使い捌くのは難しい。素人が捌く時には鱗を取り、頭を落としお腹を切り開き内臓を取り出す。取り出したら手で中骨を引きちぎり手で取り除く。可食部が残り、てんぷらにする下準備はこれでも大丈夫だ。(エラとヒレも切り取りましょう)

 釣りを始めたのは小学3年の時からでした。毎週休みに、釣りをしては、釣れたハゼを天ぷらにして貰い食す生活をしていた。食べ飽きる事が無い魚だったのは味がとてもよく、何よりも自分で釣り自力で食料を調達した達成感からだった?人間若くても中年でも狩猟民族だった血が流れているのでしょうかね?命を取り食材にしていく過程を自分で経験すると、自然に無駄にしては罰が当たると大切に命を頂いていた。今の時代職業の細分化と、専門分野が細分化され、肉はパックに入って売られてしまうので、動物の肉体から頂き食べている現実から目をそらしてしまっている人が多数いるのかも知れない。更に言うと、屠畜現場を目の当たりにする事もほとんどの人は無いはずだ。屠畜が残酷という人も居るが、それをしなくては肉を採ることは出来ない。有る程度の年齢に成ったらトラウマに成るかもしれないが、屠畜の現場を観る機会を与える事も命を頂く事を理解する上で重要な事かもしれない。 少々ずれてしまいましたが、話を戻します。中学に入っても釣りを趣味とし、釣りをしていた。堤防の内側では、人の目がさえぎられている環境のところでの釣りをしていた時の事、中年のオジサンが僕に釣れてる?と声を掛けて来たと思ったら、背後から僕の下半身を触って来て気持ち悪い行為をしてきた。

恐怖で声も出せずに固まってしまった僕は、抵抗出来ずに、そのまま成り行きでここには書けないような事をされてしまった。

それ以来、釣りをする事は当分なくなってしまいました。


 令和に成ってから釣りを再開させたのは、父が死んで父との思い出を追い求める様になって再開したのだ。

2022年2月28日は釣りをしてもさっぱり釣れなかった。

休憩を挟んで6時間も釣りをし釣果が無ければ諦めるしかない。

不漁だった時用に使う豊漁の時の「ストックハゼ」を調理する事に決めた。

 魚を冷凍保存する際、新鮮な魚をストックするよう心掛けてもらいたい。冷凍といっても、所詮家庭用の冷蔵庫だ。魚体にある水分が冷凍により抜けていき、冷凍焼けしてしまい味が落ちてしまう為、出来る限り早めの調理を心がけるべきだと思う。


 釣りが不漁で疲れた身体に鞭を打ち、冷凍ハゼを解凍。

流水解凍でなるべく早く解凍し天ぷらの衣を作りサツマイモと人参の天ぷらも付け合わせにする。ハゼと付け合わせだけでは、少々寂しいので、内田ザリガニも解凍、パスタを作ることにした。ザリガニを10分ボイル、ニンニクと市販されているナポリタンソースにザリガニを投入、ザリガニのゆで汁を少々追加、主食はこれで完成。


 天ぷらの衣は固めに作り、氷を少し入れて冷やしながら付けて揚げる。

これを天ぷらにするが、揚げ時間はごく短く、2分以内で取り出す。

長く揚げると、身が固くなりうまみが半減してしまう。

その他、付け合わせの天ぷらも揚げ、お皿に盛り今日の料理は完成、、、

おっとと、ハゼの出汁を取って味噌汁を作るのを忘れていた。

天ぷら用とは別に3匹のハゼを焼き網で焦げ目がつくまで焼く。焼き魚にしてから出汁を取ると魚独特の臭さを抑えられ、深みのある出汁が取れる。

29年前の15才の時に釣りをしてから殆ど釣りをする事がなくなっていた。成長したからでは無く、ゲイの爺にいたずらされてから、釣りをするのが怖くなってしまったのだ。

父がガンに侵され、戦いに敗れたのが令和元年6月3日。

父が居なくなり、父の味として僕の舌に味覚として残っていた味を再現して食べたく、恋しくなり釣りを再開させたと言う単純な再開理由。僕にとってそれは凄い決断の結果でした。釣りごときでと思う方もいるでしょうが、トラウマとして残っていたあの事実を克服する為にはものすごい精神的な壁を登らなくてはならなかったのです。

でも、父の味を求める力は、その壁も突き破るパワーを与えてくれました。父の様に旨い天ぷらを揚げるには、もう少し努力が必要だったようです。素材の味は良かったが、衣が少し多くて、味を殺してしまっていた感じがする。あの事を誰にも話せてませんが、もしかして父は天国でそれを悟り、僕にハゼの旨さを思い出させ、釣りを再開する力を与えてくれたのかも知れません。

 他人にしてみたら、単なるお爺さんだろうが、僕や妹から観るそのお爺さんは偉大なる父であり、追いかけても追いつけない存在。死んで身体は朽ちても、僕らに影響を与え続けてくれている存在なのです。

 父の肉体は滅びてしまっていますが、父の残した家とそれが建っている土地を兄弟で守り、子孫に橋渡しする事が父から課せられた最後の仕事だろうと思っています。懐かしい食事だけど、苦い経験も同時に併せ持ったハゼの天ぷら。そしてハゼの身を使った出汁にお味噌を溶いて、卵を回しかけ、卵入りハゼ出汁の味噌汁も出来上がり。

パスタとハゼの天ぷらと、味噌汁の晩飯を母と妹を呼び父の思い出話をしながら頂きました。



 

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