とある男の死に、自らのバイタリティも削られ、これからの生き様にマイナス思考だった総一朗。
その男は、言いたいことを言わずにはいられず、お世辞も言えない。問題発言も多く批判も浴びることが多かった。しかし、世間からは「ぶれない政治家」として稀有な存在だった。犬猿の仲にも見えた二人でも、根底の部分には似たようなイデオロギーが存在し、言葉で交わさずとも互いを認め合ったところはあったと思う。そんな男が世を去った。熱量を失った原子力は再稼働が難しいのと同じ。意気消沈の総一朗がマイナス思考になるのも当然のことと言えよう。
しかし、そこへ強烈に灯を焚きつける一陣の風が吹いたらどうなるだろうか?
唯一無二と信じてきたはずなのに、あの男の他にも熱い心を持つ者がいた。そう信じれる存在を見つけたら、総一朗だって眠っているわけにはいかない。マイノリティだけど、そんな彼らがいるからこそジャーナリズムも活きるのだ。
確かな筆力で綴られる熱い文章は、読み手の熱量をも焚きつける。これを読まずして総一朗は語れない。そう思わせる強い強いインパクトがあった。
今は泉下に在るその男も、これを読んで「なぁに、くだらない企画やってんだよ」と満足気にニヤけながら悪態を吐いていることだろう。目をしばしばさせる癖も気づかずに――☆