東西うどん&かけ蕎麦のつゆ論争

風音紫杏

第1話

どうも、こんにちは。エッセイは三本目になります。新人エッセイスト、風音紫杏と申します。




 さて、今回の議題はタイトル通り、東西うどん&かけ蕎麦のつゆ論争の考察になります。


 そもそも、東西うどん&かけ蕎麦のつゆについての論争とは何のことでしょう。


 ハイ、皆様は既に察していらっしゃるとは思われますが、うどん&かけ蕎麦のつゆの色と味の系統について、長年にわたり東西の人間があちらこちらで火花を散らしている、あれです。




 関東のうどんつゆ及びかけそばつゆの色が黒っぽいことに対し、関西の(以下略)の色は黄金色っぽい、出汁本来の色をしています。




 違いをざっくり説明すると、関東のつゆは調味料(醬油・塩・砂糖)メインで、出汁はあくまで下味や風味付けといった役割。関西のつゆは、調味料は味を調えるために使うものであり、主役は出汁だというところです。




 何故、東西で味付けが違うのでしょうか。




 関東では鎌倉時代から鰹が好まれており、江戸時代に鰹節が生まれてからは、鰹出汁が定番だったそうです。そのため、蕎麦のつゆも鰹だしを用られました。また、肉体労働者が多かったこともあり、ささっと手早く、味の濃いものを食べる必要があったという理由もあります。


 一方、関西では、鎌倉時代に津軽の安藤氏が北海道産の昆布を出荷していたことから、昆布出汁が一般的になったのだとか。


 また、関東は関西に比べて火山が噴火することが多かったことで、土壌は石灰質が多いです。そのため、関東の野菜は、比較的筋が目立ちやすく、それに負けない濃い味付けが好まれるようになったそうです。


 関西は、関東と比べて赤土が多い土地が多数派のため、野菜が柔らかくなり、素材の味がそのまま伝わるように薄い味付け――出汁をベースにしたつゆが好まれたと聞きます。




 また、味も見た目も異なるこの二つのつゆですが、塩分濃度はほぼほぼ変わらないそうです。これは、知っていらっしゃる方も多いかもしれませんね。


 これについてはお店にもよるでしょうし、やっぱり東日本風のつゆの方が塩分濃度が高いという説もあるというので、そのことについて指摘などございましたら、是非とも教えていただけると幸いです。


 とりあえず、関西のうどんつゆの塩分濃度が低いということはないので、つゆを飲み干す派の皆様は、関西のうどんつゆなら飲み干してもダメージはまだ軽いよ~という言い訳はできませんよ!まあ、私もつゆを飲み干す派なんですけども(笑)




 ここからやっと本題です。




 東西うどん&かけ蕎麦のつゆについての論争についての双方の主張をまとめるとすると、




 東:「関西のつゆ、色うっすい割に塩味はちゃんとするじゃん。全然味濃いも料理あるじゃん。それ以外のはお湯かってくらいうっすいし。関東のつゆが黒い黒いってうるさいんだよ。上品ぶりやがって」




 西:「あんなに濃くて甘辛い味付けのつゆなんて飲めるか。ざる蕎麦のつゆをそのまま温めただけなんじゃないかと思った。大体あの真っ黒なつゆで食欲がなくなるんだよ。これだから田舎者は」




 といった感じでしょうか…?




 すみません。私の偏見のようなものが多分に含まれる可能性がございます。この台詞はあくまでもフィクションです。繰り返します。この台詞はフィクションです。


 特定の人物の言をコピペしたとかいうことはないです。


 完全に私の個人的なイメージです。あしからず。




 とまあ、上記の主張があると仮定して。




 率直に言わせてもらうと、子供っぽいと思いますね。




 双方の言い分は大体分かります。


 お互い、譲れないものがあるということも。




 実際、私は関西圏出身なのですが、初めて関東風の真っ黒なつゆを見たとき、やはり驚きました。


 知識として知ってはいても、自分が育った地域とは全く別物の料理を実際に見るということは、それだけ衝撃を受けるものです。




 また、ポジティブに見れば、「相手のつゆの色を否定する=郷土愛が強い」とも言えますよね。


 個人的には、その郷土愛を、攻撃以外のことに有効活用して欲しいところですが…




 いくつかの例を挙げましたが、やはり文化の違いうのはかなり大きな壁です。


 特に、食べ物に関してはどうしても譲ることのできない面があることも否定できません。




 黄金色の昆布出汁ベースのつゆに、甘辛く炊いた油揚げのきつねうどんが一番という人も、黒くて濃いつゆに芳醇な香り高い盛り蕎麦が最強だという方も。讃岐うどんがダントツだと主張する者も、趣向を変えてひもかわうどん!という人も。何なら、立ち食いの駅そばが好きだという方もいるでしょう。




 日本という国は小さな島国にも関わらず、地域や郷土によって、多種多様な文化が根付いています。




 それを、口論の種になりやすい厄介なことだと捉えるか、面白く、とても楽しいことだと捉えるかは、貴方次第です。




 ですが、覚えておいてください。




 この程度の違いが許容できないのならば、多文化共生はおろか、世界平和なんて、夢のまた夢だということを。


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東西うどん&かけ蕎麦のつゆ論争 風音紫杏 @siberiannhasuki-

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