第2話少女救出編①仲間たち

 ~ワンボックスカー内~

 プルルルプルルル…

 ワンボックスカー内の数人の男の内身長が190cmほどの長身の男の携帯に電話の音が鳴り響いた。発信先は組織のボスだ。

「ナンバー006、ターゲットの誘拐には成功したのか?」

「はいボス成功しました。このままプランAを進めます」

「わかった、絶対に成功しろよ。今回誘拐したのは、軍事会社の一人娘、川井結だ。成功したら我が組織の軍事力はさらに向上する。それを抜きにしたとしても、この作戦に失敗したら上からどんなお咎めがあるかわからない。」

「わかりました。必ずや成功させて見せます」

ナンバー006は組織の制裁の怖さを知っているため、震えた声でこう言った。 

この時ナンバー006は、どんな手段を使っても作戦を成功させようと心に決めた。




 ◆1

「もしもし、どんな用事ですか」

 俺は何事もなかったかのように電話に出る。

「俺の連絡さっきも無視しただろ!」

 そう言って電話に出て早々、怒鳴ってきたのは、高見秀だ。

 俺の育った環境は特殊で、ブォルムのメンバーで世界最強の暗殺者だった父に育てられ、父が死んでからはブォルムの「触角」を受け継ぎ、まあまあ世界に貢献しているんだが、ブォルムのメンバーは一つの分野を極めているため、他のことは得意というわけではない。なので大半のブォルムのメンバーは、複数人でチームを組み、活動している。

 俺のチームは、情報員二人、執行助手二人と俺を合わせた計五人で活動している。

 高見は情報員のうちの一人である。高見は俺のチームに入る前、大手IT企業のシステムエンジニアをやっていたが、日本の軍事的思想に疑問を持ち、軍事行動を止めるべく、サイバー攻撃をしていたが、ある日、一緒にサイバー攻撃をしている仲間に裏切られ警察に捕まり、裁判で懲役5年と判決された。

 そして懲役を終えて出てきたが、仕事に就こうにも、前科者ということで採用されずにさまよっているところをスカウトしたのだ。

最初は、もう犯罪行為には手は出さないと誓ったといって、断られたのだが世界平和のためと言ってしぶしぶ最初のメンバーになってもらった。

 高見は28歳で少し髭が生えていて、眼鏡をかけているいかにも中年男性って感じの男だ。身長は180cmと高い。体系は運動などしてない割には、スらっとしている。

 高見の得意分野はサイバー攻撃だ。今までも、その技術力を駆使して

 監視システムを故障させたりなど、俺たちの活動を陰ながら支えてくれている。

「お前は太平洋連合っていう組織を知っているか?」

「あぁ知ってるぞ。武力こそ国を守る最大の手段と考えているとか何とかの組織だろ」

「まぁおおよそあっているが、その太平洋連合の日本支部の連中が最近過激になってきてだな。そして今回の事件なんだが」

「またなんかあったのか」

 日本では、つい最近まで平和思想が根付いていたため、国内で俺たちが関わらなければいけないような事件は少なかったが、最近になって増えてきた気がする。

「あぁ、誘拐事件だ」

「誘拐事件?そんなの警察にでも回せばいいだろ」

 日本の警察はとても優秀というわけではないが、誘拐事件を解決できないほど落ちぶれていないはずだ。

「いや、これはただの誘拐事件じゃない。俺が今調べている太平洋連合日本支部をハッキングしてみたら作戦書を見つけた。その内容がお前の学校に川井結っていうお嬢様いるだろ。」

「まさか、川井結が誘拐されたのか!?」

 そうか、さっきのワンボックスカーについていたステッカーに見覚えがあったのは、太平洋連合のだったのか。

「そうだけど、何かあったのか?」

「あぁ、すごい偶然なんだが目の前で川井結が誘拐された。」

「そうか誘拐されたのか…ってされたじゃねーよ!!お前がいたのに防げなかったのか?」

「あぁ連れ去ろうとしていた男はとらえたんだが、その後に来たやつが手練でな。」

 俺が気配すら気付けなかったんだ、相当強いだろう。今回の作戦は、割ときついかもな。

「まぁいい、作戦立てるからアジトで集合な」

そう言って、高見は電話を唐突にきった。

高見は結構怒りっぽいんだなと俺は思った。

俺はいったん学校に戻って、早退届を出して、直接学校からアジトに向かった。

俺たちがアジトと呼んでいる場所は、東京にあるビルの中の一室だ。

そこは表向きには、情報管理会社を経営しているが、裏では一般社会には出回らないようなの情報などを仕入れて、値段を付けて売るという、いわゆる情報屋的なことをやっている。

ちなみに俺の家からは歩いて三十分ほどかかるが、学校からだと十五分歩で着く。

というか、川井結を狙うなんて何が目的だ?お金だろうか?

でも、軍事メイカー川井と言えば、田舎の大学生であった、川井優作が友達数人と起業し、そこからだんだん有名になっていって、今では日本三大軍事メイカーと呼ばれるほどに成長した会社だ。誘拐するにしては有名すぎる。しかも、その一人娘を誘拐なんてしたら、いやでも注目を集めてしまう。

だったら武器類だろうか。でも一般の軍事メイカーがそこまで強力な武器を製造はしていないはず。

悩んでも仕方がないので、急いでアジトに向かうことにした。




本気で走ったにもかかわらず二十分以上かかってしまった。

高見には十五分で着くと言っていたので、これは怒られるに違いない。

「遅いですよ、葉狩さん!!」

オフィスに入るや否や高見の声とは違う声が耳に入ってきた。

「ごめんごめん玲、少し遅れてしまった。」

彼女の名前は、工藤玲。高見と同じもう一人の情報員で、高見の助手見たいな、存在である。黒髪のロングの小柄でかわいらしい見た目をしている。年齢は十五歳で、俺の一つ下である。彼女はいつも制服で過ごしている。彼女いわく制服じゃないと落ち着かないとのことだ。

「そんなことはもういいですからもうはやくいってください会議始まってますよ。」

と言いながら俺の背中を押してくる。

アジトは入ってすぐは手前に応接室がありその奥にデスクが並べられている普通の会社だ。しかし、デスクの奥の扉を開けると大きめのソファーが二つ向かいに並んでいて真中にテーブルがあり、その周りには、ハッキング用のパソコンがたくさん置いてある。このいかにも、アジトっぽい内装は、高見の趣味である。

アジトに入ると、手前のソファーに高見が座ってノートパソコンをいじっている。

おそらく作戦を立てているのだろう。俺が入ってきたのも気づかないほど集中している。

その奥のソファーには、志摩修也と浅木夏夜が座っていた。

志摩と浅木は執行助手を担当している。志摩は大学生で年齢は20歳、髪はしっかりと整えられたミディアムヘアで身長は170cm、体系は少しやせているクールな人という印象を受ける。浅木も大学生で年齢は21歳身長は170cmと女性にしては高く、顔が整っていて、モデル体形だ。可愛いというより、大人の美人さがある。

ちなみに高見以外の過去は俺も知らないが、一つだけ言えることは、信用できる仲間ということだ。

この五人メンバーたちが、俺たちと任務をこなすメンバーだ。

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暗殺者は今日も笑わない @toiton

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