4.終焉と「呪い」
優子さんと肌を重ねてから一年が経ったけれど、俺が望んだように彼女は変化しなかった。俺との会話は進路や大学受験等の事務的な話に終始するようになり、一緒に下校することもなくなった。学校ではどんなに話し掛けても一言だけで返事をして、用事があるとその場を去ってしまう。
結局、互いの溝が埋まらないまま卒業式を迎えることになった。
幸いにも、俺は偏差値の高い有名大学に進学することが出来た。
優子さんのお陰だ。奨学金を借りることにはなったが、彼女が両親に進学の支援をするように何度も訴えてくれた。
抱き合ったあの日。彼女は、ごめんなさい、と言っていたが、卒業してからようやくその意味を理解した。俺を拒絶したんじゃない。教師の立場を捨てたことに謝っていたのだ。
卒業式の後、高校に電話をすると優子さんは教師を辞めたと数学の先生に伝えられた。消息は誰も知らないらしい。
優子さんは一体、いつ頃から俺のことが好きだったのだろうか。少なくとも、俺が浮気をした元カレを殺すと言った時点では、俺達はただの生徒と教師の関係ではなかった。
大学に通っている今も、彼女を忘れることが出来なかった。恋人もつくったことがない。
それでも、一夜限りの関係は三回ある。
三人とも、艶のある長い黒髪で快活な女の子だった。
濡れた思い出 最上丑達 @takedeath47
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