青天井希望
高黄森哉
三十六計逃げるにしかず
『三十六計逃げるに如かず。』と、叫んで、わっ、と通りに出たものの、やはり、天井が見える。また、四畳半に出てきてしまった。そして、テレビからは相変わらず歌謡曲が流れている。
だめだ、突飛なことをしても、ここからは抜け出せない。しかし、何か思いつくわけでもなく、やはり、さっきと同様、『三十六計逃げるに如かず。』と、部屋を飛び出す。―――――― また、天井だ。
いつまでたっても、道が見えてこなかった。抜け出せない、大変だ、という、焦りを尻目に歌謡曲は、また始めから再生し始めるのだ。ああ、彼女もまた、このループに囚われている一人なのだろうか。ならば、その売り文句に偽りなし、永遠の歌姫なのだ。
凝り固まった思考のループ。なにがいけないか、お題がいけない。『三十六計逃げるに如かず』、『歌謡曲』、『天井』で、世界を紡げるものか。まるで、カットアップされている。
結果、世界が展開しない。私の発想では、四畳半と、その天上、歌謡曲、先のフレーズを叫ぶ男、以外の世界を、想像できない。四畳半から先に世界が広がらなかった。
つくづく思い知らされる。ここらへんが、自分の能力の天井というわけだ。
青天井希望 高黄森哉 @kamikawa2001
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