第38話 おわるぞ。

-side アラン-




「きゃー!!アラン様ー!!」



 魔王に囚われていた悪役令嬢が一生懸命こちらを見て叫んでいる。



「多分だけど、それ自力で拘束を抜けれるくらい悪役令嬢って実力あるよな。」


「フハハハハ…!!そんわけないだろう!!私を倒さない限りは無理だ!」



「そうですわ〜。何故かわかりませんが、

 どれだけ魔王を倒しても生き返ってくるのですわ〜。

 拘束を破っても、その度に囚われてしまいますの〜。」



 お、おう。思いっきりそんなわけありそうだったじゃねえか。

 よくそんな平然と嘘をつけたな。


 というか多分だけど、ゲームでボスキャラを倒す時のめんどくさい部分をエミリーが全て請け負ってくれていた感じか。

 これは、感謝してもしきれないな。



「今鑑定した結果だと魔王を倒すためには、アランが必殺技を使う必要があるワン。」


「ちょっと待て。

 ………。何故そうなる?」


 嫌な予感がするんだが。

 せっかく、必殺技のことを完全に記憶から消し去っていたのに。



「本来はヒロインの必殺技で倒すはずだったワン。

 だけど、ヒロインなき今、アランしか魔王を倒す権利がなくなってしまったワン。」


「どういうことだ?」



「つまり、アランはこの物語の主人公ということだワン。

 はやく、必殺技を使うワン。」


「いつのまにか、変なもの押し付けられてないか?それ?

 あと必殺技使いたくないんだが。」





「そんなこと言われましても。」


「言われましても。」


「仕様ですのでだワン。」


 お前までそれ言い出したら終わるぞ。

 おい。




「はあ…」


 ほんっとに、ほんっとに使うことがないと思っていた。

 まさか、最後にこんな難関が待ち受けているなんてな。




「はやくするワン。」




「……………。はあ、わかった。

 ○ね!魔王!!

 君の瞳に乾杯ーーーーーー!!」



「ヴォ、ヴォエエエエエエ…!!」



 俺がそう必殺技の決め台詞を叫ぶと、魔王は叫びながら死んでいった。




「いや、叫び方」


「仕方がないワン。仕様なのだワン。」


「お、おう。」





  ♢ ♢ ♢ ♢ ♢





「やったな!アラン!」


「やりましたね!!」


 魔王が叫び終わって倒されたのを見届けたところで、周りをみると、

 悪役令嬢とウィリアム、エンジェル君がこちらに向かってきていた。



「やったな。」「やったね。」


 なぜか、わからないがリチャードとノアもいる。


「俺様のおかげだな!」


 さらにこちらもどっかから出てきたのかわからないが、リチャードもいた。




「いや、お前らどっかから出てきたんだよ?」


「いやあ、さっきまでモブ男主催のキャラ総選挙に出てたんだけど、

 急に足元に魔法陣が出てきてね。

 ここに飛ばされたんだ。」


「ちなみにこれも…?」


「仕様だワン。」


「……。」



 もう嫌だ…この異世界。




 こうして、俺たちは無事魔王を倒すことに成功した。



 その後、いろいろあって悪役令嬢と結婚したり、ウィリアムが王になった後、側近になったりしたが、

 それはまた別のお話ということだな。




----------------------------------

                -完結-



[一応あとがき]


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 ギャグに全振りした小説を書いたのは初めてだったのですが、作者はとても楽しんで書いていました。

 読者の方も楽しんで頂けたなら作者は喜びます。

 もしよろしければ、他作品も見に来ていただけると幸いです。ではまた!

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[完結]乙女ゲーの攻略キャラに転生したけど、気づいたらヒロイン無視して戦闘狂になってた話。 西園寺わかば @book_hobby

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