第5話 カレー風味はどこでも最強では?

何かデカい卵。

カレーみたいな粉

鶏肉に近いもの

多分デカいネギ。


ここからできるもので――珍しい。新しいもの。そして――まあ先ほど話を聞いていたら、ここは冒険に出る前や後にたくさん食べたい人が多いからすぐに出せるものがいいとか。注文が多いだった。

でもまあできるものは限られているので――。


「おっちゃん。石洗って、温めていてくれ」

「石?」

「そう。そこの火の中にでも入れて。熱々が好きなんだろ?この町の人」

「—―何するんだ?」

「いいから」

「まあ焼くだけだな」

「そうだ」


俺は先ほど卵を割る際に使った石を片腕の無いおっちゃんに温める。まあ焼くように言って――俺は大きな鍋に水を入れた。

そして火にかける。そして――そこにカレー風味の粉を投入。大量に投入した。どんだけ使ってもいいと片腕の無いおっちゃんは言っていたんでね。


「おいおい。そんなに入れたら食えなくないか?」

「試しだ試し」


うん。本当は野菜とかが無いと味が――な気がするが。今は風味というか。水に溶かすしか方法が無いんでね。

俺は適当に粉を入れた。うん。色はそんな風なものが出来たが――ちょっとシャバシャバか。でも――あの得体のしれない物から見たら――なのでそのままいくことに。


それから鉄板の上で肉を焼く。うん。一口大に切ってな。さらにその横ではネギも焼く。

ってか……多分この料理は、ネギにかかっているというか。本当はスープの入れて煮込む。方がいいのかと思ったが。焼いた時の甘さがあったので――うん。香ばしさむプラスされそうだったから。とりあえず焼いて――肉。ネギともに焦げ目が出来たら――スープに投入。うん。多分おっちゃんが作っていた物よりは大丈夫だろう。


色も――ちょっと薄めのカレースープというか。うん。むしろ薄いから綺麗かもしれない。そんなことを思いつつ俺は肉とネギを入れたスープを煮込む。その間に卵を混ぜて――。


「おっちゃん石どうなった?」

「激アツだな」

「じゃあそろそろか」


俺は片腕の無いおっちゃんの方を確認してから石の容器に肉とネギ。スープを入れて――。


「おっちゃん。石投入」

「どこにだ?」

「石の容器に」

「はい!?」


俺が言うと片腕の無いおっちゃんは驚きつつも石をトングみたいなので挟んで――容器へとほりこんだ。


グツグツブクブク――と、一瞬でスープが沸騰する。


「じ。地獄か……これは」


片腕の無いおっちゃんがつぶやいている横で、俺はグツグツしているところに卵をかけてみる。


「……うん。いいんじゃね?」


卵はすぐに固まっていく。そしてグツグツが少し収まって来ると――ってかいい感じの香りはしている。片腕のおっちゃんが作るよりか劣るのは……なのだが……うん。見た目はこっちの方がマシな気がするんだがな。料理って難しいな。うん。


「おっちゃん食ってみてくれ」

「マジかよ。火傷するだろこれ。グツグツじゃないか。熱々で美味そうだが」

「石は食べるなよ。あれだ。熱々を維持するためにだな」


俺が言うと片腕の無いおっちゃんは――スープから。って……。


「……なんだこれ。うめえじゃないか。香りはそこそこと思ったが。美味いな。ってか。なんだ。この卵。こんなにふわふわになるのか。美味いぞ。あとネギやっぱりうめー。っかスープやばっ!」


片腕の無いおっちゃんが騒いだ。うん。いやー、ここにある物を混ぜただけなんだがな……と俺が思っていると――。


「お前。これはお前のところの料理か?名前は名前は何という?使うぞ。ってかあちぃぃぃ!」


だから片腕の無いおっちゃんよ。石は熱いって。俺はそんなことを思いながら――。


「えっと――いや、名前はないというか。今の見た目から言うと――ずっとグツグツしているからなんだろう「身体ポッカポカ。地獄カレースープ」的な?」


適当に俺が名前を作ると――。


「そんなものがあるのか?」

「いや、今考えただけだ」

「なら――そうだ「元冒険者が作る。熱々地獄スープ」にしよう。売れる。売れるぞ。大量に作りやすそうだったしな」

「……カレー消えた。そして俺が作った。教えた要素も消えたか……まあいいが」


それから――数日。

俺はまだ片腕の無いおっちゃんところで手伝いとして働いていた。

というか行くところがないのでね。片腕の無いおっちゃんを助けたら元の世界に。ということはなかった。

なので、俺は帰り方が全くわからないが――今は、まあ忙しいしいいか。だった。


「おっちゃん。スープ5。その後さらに3」

「はいよはいよー。お前ー。卵の殻割ってくれ」

「……忙しすぎるのも問題だな」


あれからの事をザックリ言うと――石でできた容器を大量に作った。あと石を大量に探してきた。というか買ってきた。片腕の無いおっちゃん破産するんじゃないかというか。うん、まあ有金全て使ったというか。まあいいか。


容器が準備出来たら。仕込み。大量にスープなどを作った。鉄板では常に肉かネギが焼かれている。そうそう、肉にも粉をかけるになったな。うん。

そしてだ。しっかり焼けたら容器にはスープからの肉にネギ。そして焼いた石を投入。からの卵をかけてグツグツしているものをお客のもとへ。


最初はどうなるかと思ったが――まさかの大ヒット。こちらの世界の人はこの味付けが良いのか。珍しいのか。今のところリピーター続出中だ。まあカレーに近いからな。うん。俺も結構好きな感じだし。

あと、グツグツ最後まで熱々。というのがこの町の人にはよかったらしい。食べ終えた人は見な汗だくの笑顔で帰って行く。そしてまた食べに来てくれた。


とある人が言っていたことを使うと「癖になる」らしい。ってか。片腕の無いおっちゃんあれなんだよな。スパイス調合というか。薬草?を混ぜるのめっちゃ上手なんだよな。うん。これはそのうちまた何か発見。作るんじゃないか。って感じだったが――今のところは――このメニューが爆発ヒット中だからな。当面は考える余裕はないか。だった。


ってかな。みんな笑顔になるのはいい事だが――こっちの世界に労働基準法だっけか?そういうものはない。

うん。無いのだ。四六時中誰かが食堂へと来れば料理を作る。うん。片腕の無いおっちゃんも休む気がないのか。ホントずっと動いている。片腕の無いおっちゃん曰く。冒険者の時よりは、はるかに楽とか。意味わからん。うん。暗い時間の少し休憩があるだけでその他はずっと働いている感じだ。もちろん手伝いの俺もな。


ってか。俺に給料という言葉が無いんだが?いまだにこっちの世界にお金をちゃんと得たことは無いのだが……俺過労で倒れるのでは?と思いつつも――。


……でもまあ。


「おっちゃん!これ最高だわ!また来るわ。美味かった!大盛で準備しておいてくれ!」


そんなことをみんなが言っているこの食堂――雰囲気はとっても良かった。

ってか。みんな知っていたらしいが。片腕の無いおっちゃんの料理は独特だったらしい。うん。やっぱりか。だったが――うん。でも今回は何かすごいのを作った。みたいな噂が一気に町に広がったらしく――店がヤバイ。2人でやるには大変すぎる状態になっていた。


まあでも今のところ来る人が笑顔になっているし。驚いてくれたりと――うん。やりがいはあるんでね。何とか今はなっているが――この後どうなったかは――別の話だ。


「お前!卵まだか!?ってか焼くの手伝え!」

「……そういえば名前教えてなかったな……まあいいか。はいはい。割りますし。焼きますよ」

「これ5つ出来た」

「一気には無理だよ!?」


片腕の無いおっちゃんの食堂。俺みたいな部外者がちょっと何かをしてみたら――大繁盛となったのだった。


当面お店の外に片腕の無いおっちゃんが殴り書きのように書いた「元冒険者が作る。熱々地獄スープ」は消えることはなさそうだ。




(おわり)   

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どこの世界でも美味しい食べ物を作ればみんな喜んでくれる。 くすのきさくら @yu24meteora

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