第4話 メニューを考えてくれ!

片腕の無いおっちゃんに助けられた俺は――その後なんやかんやとあってから、何か作ってみてくれ。と言われたのだった。そして今は片腕の無いおっちゃんが先ほどまでいた厨房へと入っている。というか無理矢理入れられた。そして――。


「今はこれだけある」


俺の前に食材が置かれた。


「……謎な肉と。たまごか?デカいな。あと――この白い棒……ネギか?ネギにしては――太いというか――まあ異世界だから同じものはないか。そして後は――先ほど俺が運んできたなんかいろいろある――薬草か。ってこれだけ!?」


ヤバいな。

おっちゃんの料理の見た目もやばかったが――材料これだけで何を作れ?なんだよ。

てっきり食堂だからなんか材料はいろいろあって――適当に野菜炒めというか。そんなもの作って見せたら――まあおっちゃんは何か気が付くのでは?と俺は思っていたのだが――うん。材料がめっちゃ少なかった。


「収入無いからな」

「……だよな」

「だから溶岩が流れているような危険なところまで行って薬草集めてきたんだよ」

「そんなところ行っていたのか」

「グツグツだったからな。暑い暑い。でもこの町の人は熱々の物が好きだからな」

「熱々ね……って何を作れって――って。この卵?デカくねえ?」


俺は知っている卵の――10倍くらいの大きさのたまご?を持ってみる……って硬い。これ重いし殻が堅い気がした。うん。ずっしり感がヤバイ。するとおっちゃんが――。


「それはの。鳥の卵なんだがな。頑張って割っても、何か透明で黄色い物体が入ってるだけでな。普段は使わん。でもお前なら何か使うかと思って持って来てみた」

「……卵怖ないのか。ってか――」


うん。今の話を聞くと――目玉焼き作ったらいいんじゃね?と一瞬思った俺だった。いや、卵。美味いぞ?だからな。うん。あーでもここの世界の物だからな。俺が知っているものと――違うとなので。とりあえず。近くにあった石のお椀?に出してみることにした。


――ガン。


「……硬すぎるだろ」

「割るのが面倒でな」

「硬すぎるわ。何かハンマーみたいなのないのか?」

「これでいいか?」


俺が聞くと片腕の無いおっちゃんが石を渡してきた。

まあ――それでいいか。だったので俺が何回か石をぶつけると――。


ガンガンガンガン――バリッ。


やっと割れた。中身は――うん。デカいだけのたまごだった。あれだ。ダチョウの卵?に近いか。と俺が思い出しつつ思っていると。


「そのトロトロしたのは好まんな」

「……さっきの得体のしれないスープよりはるかにマシな気がするんだがな」


俺はそんなことを言いつつ――とりあえず石のお椀に出してみる。うん。デカいから量もすごい。石のお椀。3つほど必要だった。ってか――なんで石なんだよ。重いよ。だが――まあ異世界だからな。これが普通かと俺は思いつつ作業をする。


とりあえずデカい卵は黄身が速攻割れたため、勝手に混ざっている感じで3つに分けられた。


うん。卵はこのままにしておこう。

次に俺は――うん。あの肉はなんとなくわかっているからそのままにした。

ちなみに硬かったのは、あれを乾燥させたというか。置いておくと――まあ非常食?保存食になるらしい。

ってか。使える材料が次で終わりなんですが――多分俺が知っている物より。太くて。とにかくデカい。あと白い部分しかない。棒みたいなネギ?うん。ネギだと思うが――そんなことを思いつつとりあえず一口大に切ってみるっと――あれだ。大根の輪切りみたいな感じになった。香りは――ネギに本当に近かった。ってかネギだと思う。そういえば――はっきりとは覚えてないが――ネギって疲労回復とか。何か効果あるんじゃなかったか?気のせいか?うん。なんか風邪の時に――とかだから。こいつ――焼いてみたら――と俺が思っていると。


「それはかじっても辛いからな。普段は使わんな」

「なるほど――焼くことは?」

「辛いのに焼いても変わらんだろ」

「つまり――焼いたことないと」


うん。なるほどなるほどと俺は思いつつとりあえず鉄板の上に置いてみた。


ジュ―といい音がしている。でもまあ大きいので焼けるまでは、しばらくかかりそうだったので――次へと移った。


「ってか薬草って何があるんだ?」

「うん?これか?香り着けというか――まあいろいろ混ぜてて使うんだな。えっと――ちょっと待ってろ。最近調合したものがあってな。なかなかいい香りなんだよ。これだこれだ」

「……おっちゃんの調合は――心配だな」


俺がつぶやいていると――片腕の無いおっちゃんが棚から――黄色い粉?を持って来た――ってあれ?この香り――知ってる。


「なかなか香りはいいだろ?だがな。使い道がな」


片腕の無いおっちゃんがそう言いながら俺に見せてきた粉。うん。


「……これは、カレー」

「かれー?」

「いや、これ――カレー粉か?」

「かれーこ?ってなんだ?」


何言ってるんだ?お前。みたいな表情でおっちゃんに見られた。


「カレーはないのか。ちょっと一口いいか?」

「食え食え。ちょっとピリッとする粉だからな。たくさんは使えんなと思ってたんだが」


一口もらってみると――カレーだった。うん。ちょっとフルーティー?な感じで――最後に何かのピリッとしたものがくる。という感じだったが――うん。肉にこれをまぶして焼いたら美味しいんじゃね?と俺が思っていると――。


ネギがいい感じに焼けていた。


「なんだこれ――焼くと美味そうな香りに変わったな」


片腕の無いおっちゃんも興味あり。だったため。早速2人で食べてみると――。


「「うまっ」」


うん。甘くなっていた。そして溶けるような食感。うん、そのままでめっちゃうまいネギだった。


「なんだこれ……焼くだけで変わるのか――こんなに」


俺の横ではおっちゃんが衝撃だ。という顔をしていた。ってか片腕の無いおっちゃんよ。いい材料があるのに使いこなせていないという。

まあ料理素人の俺が言うのも――だが。

いや、咲くほども調理員ではないと言った気がするが。俺調理とかしてないからな?うん。でも1人が長かったからまあ簡単には料理をするくらいになっていたのだが――うん。俺でもできることをこの片腕の無いおっちゃん。食堂をしていたという片腕の無いおっちゃんは試さなかったのか――と思っていると。


「お前凄いな。いやマジで店のメニュー頼むわ。俺の明日がかかっている」

「……えー」

「頼む。何か珍しいもの作ってくれ。みんながあっと驚く。注目するようなものを」

「普通のじゃダメなのかよ……」


俺何に巻き込まれたんだろうな。でもまあ今ここにある材料というか。物から出来そうなものと言えば――カレー風味の何かなんだが。珍しいものにはならんような……と思っていると――。


ピンときた。俺だった。

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