第3話 食堂へようこそ。

現在どういうわけでやって来たかはわかっていないが。異世界へとやって来た俺。ってか。奇跡的にというか。右も左もわからない俺はおっちゃんの助けにより何とか生きている。そしてその後勧誘?お手伝いにより。まあおっちゃんの家。あれだ。食堂へとやって来たのだった。


まあラッキーと言えばラッキーなんだよな。

あの時誰も居なかったら――ドラゴンに食われたか。または誰も居ないところで1人。だったのでね。


とりあえず現在は俺を拾ってくれた片腕の無いおっちゃんの食堂の中に居る

ちなみに再度となると思うが。片腕の無いおっちゃんの食堂がある町はかなり大きなところで、町の中に入ったあたりから。俺も珍しそうに?というか。まあ興味ありげに見てくる視線が多かった。まあ俺からしたら皆さんもなんですがね。はじめて見る人というか。いきものばかりでね。でもまあ片腕の無いおっちゃんの食堂がすぐにあったため。誰かに声をかけられるということはなかった。


それでだ。やっと初めに戻るというか。

俺が今目にしているのは、得体のしれない料理である。


何でこうなったかというと。俺が途中から持っていた荷物は――薬草というか。まあ食材。香辛料?だったらしく。おっちゃんが集めてきた物だったらしい。


それで何をしているかって?

料理だよ。料理。片腕の無いおっちゃんが。


片腕の無いおっちゃん曰く。


「元冒険者が作る。冒険者のための早飯丼」


というメニュー1本でこの食堂を開いていたらしいが――。


はじめこそ。町の人がいい香り。と言いつつ入って来て――食べてくれていたらしいが――あれだ。リピーターが居なかったらしく。数日後には誰も来なくなったとか。

これは――料理がダメなんだ。と気が付いた片腕の無いおっちゃんは研究のために――まあ今という事らしい。


そしてだ。何とタイミングのいいことにか。

異世界からやって来たとかいう奴と遭遇。異世界の人にも食べてもらって新たな料理。またはいろいろアドバイスやらやらと思ったらしく……。


とりあえず作るから待て。という感じで言われた俺はおっちゃんを見ていたら――まあその――いろいろやばいものが目に入ってきたということだ。

マジで――香りはいいんだがな。見た目がヤバイ。


ちなみにおっちゃんは冒険者の時はいつも自炊。料理を作っていたら自信はあると同じことを何回か聞いた気がする。

ってかまあ。何度も言うが香りはマジで良いが――見た目だよ。

うん。香り的には美味しいのかもしれないが――どうも見た目がね。ヤバイ。


俺が心配しつつ見ている間もおっちゃんはルンルン。楽しそうに料理をしている。

ちなみに片腕の無いおっちゃんは、器用に片腕だけで次々料理を作っていった。

鍋なども片手鍋ばかりで自分にあった形のものを作ってもらったのか。持っていたのかは知らないが――まあうん。危なっかしいことはなく。本当に料理に慣れているというのは伝わってきた。


それからしばらく俺が片腕の無いおっちゃんの様子を見ていると――どうやら完成したのか。皿?というか。石で作られた――どんぶり?容器に謎な色の液体に浮かぶ黄色い物体。肉?の料理が注がれて――うん。結局あれから煮込んでいただけだな。と俺が思っていると――。


「へい。異世界人さんお待たせ「元冒険者が作る。冒険者のための早飯丼」完成。さあさあ荷物運んでくれたお礼だ。食ってくれ」

「……う。うん」


ちなみスプーン。フォークぽいもの。いや。うん。スプーン。フォークと言っておこう。それはこの世界にもあった。

まあこの液体を飲むためにはスプーンみたいなの必要だわな。というのと黄色い肉?を食べるのに刺すものが必要か。だったからな。


ってか――これ食べていいのだろうか?いや、何度も言うが。香りは――野菜スープ?というのかいい香り。見た目だけがヤバイ。うん。でも、とりあえず異世界の料理なんて食う機会ないからな。俺は――まずスープを一口。恐る恐る……。


――――――ズッ。


……。


「—―えっ?」

「どうだ?」

「えっと――健康的?」


謎な液体を飲んでみての感想だ。

味が薄い。なんでこんなにいい香りがしているのに――というか。見た目のマイナスで味もぶっ飛んだか。という感じだったが――本当に何も味が無いというか。ほんの少し。何かスパイス?みたいな味……いや、でもほとんど無いような。うん。なのになんでこの色!?だったな。

そして黄色い――肉?も少し取って食べてみると――あっブヨブヨ。ブニョブニョ。からは変わり――あれだ。ささみかな?それに近い感じになっていた。

いやー。変わるんだね。と思いつつ一口食べてみる。


「—―」


……。

……。

……。


うん。鳥肉に近いかな?というののだったのだが――。


「素材の味なのか?」

「美味いだろ?俺がずっと食べていて、これ食べていたらずっと健康でな」

「……まあ見た目はやばいが。塩っ辛いとか甘ったるい。とかがないから――健康的というか。うん。わかった。なんで人が2回目来なかったか。見た目がやばい事と。味は――まあ風邪でもひいた時に消化の良さそうなものだが――冒険者がこの町には居るんだっけ?うん。どこかに行く。今から戦いに行く。って奴は――食べないだろうな。物足りない。元気にならないだろ」

「……マジか!?」

「気が付けよ!元冒険者なんだろ?ってか、むしろこんな謎なものというか――うん。まずくはないんだが……これで元気出たか?」

「俺は出た」

「……食堂は厳しいな」


俺がそんな感じで感想を言うと――。


「わかった。そこまで言うなら。お前。名前は聞いてないからお前だ。俺を助けてくれ。上手い食べ物。新しいメニューを作りたい!頼む」

「えっ?俺――料理人でもなんでもないんだが――」

「頼む。何かお前が作るのは何とかなりそうだ」

「何とかなりそうって――」

「とにかくお前。何か作ってみてくれて」

「……なんでこんなことに……」


異世界へと来た俺。

何か食堂のおっちゃんに料理を作れと言われました。はい。

えー、だよ。どうなるの俺?まあ――行く当てもなく。やることもないから役割。使命を与えてくれるのは嬉しいが――うん。どうしようかね。だった。

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