第11話 インド人は横たわる

 多くの横たわったインド人を見た。駅にとくに多い。いや、ベンチで寝ているのではないのだ。

 ベナレス(バラナシ)駅に電車のチケットを購入しに行ったとき、待合いロビーでインド人がところせましと横になっていた。50人以上はいただろうか。警官(警備員?)に棒でこづかれている人もいる。インドの警官は威張ることで有名だ。

 ベナレスに近いムガール・サライ駅では、列車を待つ人々がプラットフォームで横になっていた。布を敷いて横になる者、なにも敷かずに横たわる者。何十人も横になっている。そのプラットフォームを悠然と牛が通過する。糞を落としていく。

 ガヤー駅がすごかった。待合いロビーではベナレス同様スペースを埋めなければならないというようにインド人が寝ている。その数100人はいただろうか。ムガール・サライ駅同様、ロビーは牛が闊歩し、新鮮な糞を落としていた。プラットフォームにも寝ながら電車を待つ者が多い。

 ロビーで寝ている人たちは、乗客なのだろうか。家のない者が駅で寝ている場合もあるかもしれない。

 カルカッタはサダルストリートで、歩道で寝ている女性と子供を見かけた。屋根もない。布も敷いていない。20時過ぎだった。寝て、時間をつぶしているのではあるまい。彼女たちは、そこを今晩の寝床に決めていたのだろう。

 インドでは多くの人が横になっていた。彼らはどこでも横になれる。眠れる。私には到底無理だ。強いな、と思った。


(2006年の当時、私はインドでいろいろな犯罪が起きていることをそこまでは知らず、知っていれば別の想いを持ったかもしれません)

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インド旅行10日間 インドが私を呼んでいる! @sakosato

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