第8話 そして永遠に
みんなの話を聞きながら、俺はようやく自分もまだ、沙理のことを好きだと気付いた。沙理と別れてから、他の女と一度も付き合っていないのも忙しかったからではない。沙理以外と抱き合いたいと思わなかったからだ。
「俺、行ってくる……!」
俺は気が付くと、一人歩いてきた道をUターンして、走り出していた。今さら言っても遅いかもしれない、だけどこの気持ちをなかったことにはできなかった。結婚式場に戻ると、ちょうど沙理が1人でソファに座っていた。
「沙理!」
「えっ、優斗君!?」
「もう遅いってわかってるけど、言いたいことがあるんだ。俺は今も沙理が好きだ! 沙理と結婚したい!」
「優斗君……」
沙理は立ち上がり、俺の元へと駆け寄ってきた。
「この3か月間、いつだって沙理に言えたはずなのに、俺は鈍くて……。でも俺、沙理がどうしようもなく好きなんだよ」
「……私も、ずっとずっと優斗君だけが好き」
沙理はそう言うと、俺を抱きしめた。俺も沙理を抱きしめる。俺たちはようやく素直な気持ちを言い合えたのだった。その後、沙理はすぐに陽キャとは離婚した。陽キャは、うすうす感づいていたようで、あっさりと別れてくれた。その後、俺と沙理は1年間恋人として過ごし、結婚した。周りには迷惑をかけたが、俺はこの手でつかんだ沙理を一生話すことはない。永遠に。
陰キャがお互いに身体と心を貪る @tokyonishiakitani
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