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 ……そんなバカな話があるもんかって顔をしてるね?

 いいかい? ラヴィーナは魔女なんだ。魔女ってのは努力してなるもんじゃない。生まれついての才能なんだよ。

 小さなラヴィーナは無意識のうちに、ぬいぐるみに魔法をかけていたのさ。

 儀式としても条件が揃っていたんだろうね。対象に名前をつけ、肌身離さず連れ歩き、愛情を――魔力も注ぎ続けた。何より、友達が欲しいという切なる願いが、そこにあった。

 だからアタシは、ずっとラヴィーナのそばにいる。昔も今も、これから先も。このステキな魔法が尽きる、その時まで。


  そのラヴィーナはどこへ行ったのかって?

 それがねえ、あの子ったら新しい魔法の研究に余念がなくて、どっかで新しい術式が開発されたと聞いちゃふらりと出て行って、一月も二月も戻らないなんてことがザラなのさ。 今回は何だったかな、知り合いの魔女が近くまで来てるってんで、その魔女の開発した新しい魔法薬の作り方を教わるんだって張り切ってたんだっけ。

 ついていっても面白くないし、店を長く空けるわけにもいかないから、アタシが残ってるってわけ。

 なあに、ラヴィーナがいなくても、あんたの用事は済むだろうよ。 見たところ、あんたは薬を買いに来たんだろう?

 あんたの年で惚れ薬ってことはないだろうから、家族の誰かが熱でも出したのかい?

 ああ、心配するんじゃないよ。作り置きの薬はたんとあるし、なければすぐに調合してあげるからね。

 ……猫に薬が作れるのかって? お言葉だね。ここの看板を見なかったのかい?

 ここは『白猫魔法店』。放浪癖のあるラヴィーナに代わって、このペルルさまが一切を取り仕切る店なのさ。

 猫の手ってのは案外器用なもんでね。料理に洗濯、掃除に調合、ちょっとした魔具の作成なんかもお手のもんさ。ラヴィーナほどじゃないが魔法も使えるんだよ。

 さあ、猫の手も借りたいほどの悩み、このペルルさまに打ち明けてごらん!

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白猫魔法店 小田島静流 @seeds_starlite

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