15、光と黒の決別

 「さっ、終わった、終わった」


 そう言って、ヒーラが手を2回叩くと、ヒカリ達の体に力が戻った。


 「おっとっと」


 「直ぐには立たない方がいいぞ、少しずつ体を、、、」


 「えいや〜」


 ヒカリ達の体はヒーラの技によって動きを封じられてたことによって、技が解けても痺れなどが残っていたが、ココロの回復魔法でその痺れも取れて、ヒカリ達は身動きを取れるようになった。


 「おまえさん、やるじゃないか」


 「お褒めに預かり光栄で〜す」


 「あの!ヒーラさん」


 「なんだい?」


 「ありがとうございます」


 「おまえさん達を助けたわけではないが、素直に受け取っておこう」


 「レジェンドさんの方は大丈夫なのですか?倒れたまま動きませんが」


 「大丈夫だ、目的は果たしたんだし、ここで死んでも本望だろう」


 「えっ!?」


 ココロが慌ててレジェンドに近づき、回復魔法を使う。


 「すまないのうお嬢ちゃん、、、酷いのうヒーラよ」


 「はっ、無属性の魔力なんてもん使っといて生還するつもりだったのか、おまえさんは」


 「限界以上に魔力を使うのがあんなにヤバいとは思わなかったんじゃよ」


 「さっきそれで死にかけた奴を見たのにか?」


 「そうじゃ、そういえばあの爆炎の青年はおまえさん達の知り合いかのう」


 「もしかしてそれってヒートさんのことですか!?」


 「名前は聞いてないが、その青年が向こうの方で虫の息じゃぞ」


 「それは本当ですか!?」


 「本当じゃよ、ワシは風の魔法で生命力の声を聞けるんじゃよ、向こうの方にいるみたいじゃぞ」


 クロナはレジェンドとヒーラに礼を言うと、ココロを担いでレジェンドの指差す方向に急いで走って行った。


 「ちょっとおまえさん」


 「私ですか?」


 ヒカリもクロナ達の跡を追おうとしたが、ヒーラに呼び止められた。


 「おまえさんには必要ないと思うが一応言っとこうと思ってな、私達は既に引退した身だ今回は私等のケジメの為にこうしてきたが、もう2度とおまえさんや世界を助けに来ることはない」


 「えっと、、、こういう時に何て言ったらいいかわからないんですけど、そのお疲れ様でした!」


 「本当なら、おまえさん達、未来ある若者に全てを託すとか言いたいところだが、どうせ3年の世界だ、気楽に頑張るといい」


 「終わりませんよ」


 「んっ?」


 「世界はまだ終わらないですよ、、、世界はまだ終わらせません、、私が終わりにしません」


 「そうか私等はもう諦めているから手助けはしないし期待もしないが、、、まぁ心の中で応援しといてやる」


 「ありがとうございます!」


 ヒカリは改めてレジェンドとヒーラにお礼を言うとクロナ達を追いかけた。


 「ヒーラよ、現実を教えてやるのではなかったのか?」


 「文句があるなら自分で言え老ぼれ!」


 「嫌じゃよ、お前もあの目を見て言えなくなったじゃろ、あの世界が終わるなんて微塵も思っていないあの目を、、、もしかしたらナイトメアもあの目を見たから、、、」


 「それは流石におまえさんの考えすぎだろう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 クロナ達はヒカリが追いつく前に引き返してきた。


 「ヒートさんは?」


 「傷は治したんだけど〜お礼だけ言ってどっか行っちゃったんだ〜」


 「それと悪夢の茶会のアジトの場所も教えられた、子供達はおそらくそこにいるだろうと」


 クロナは連絡端末で自警団に今回の事件の些末を伝えようとしたが、、、


 「駄目だな、どうやら勇気の象徴ブレイブ・フォースの全滅が伝わっているらしい、おそらくファッジの奴の嫌がらせだろうな、自警団は今大混乱だ」


 「なら子供達はとりあえず私達で保護しに行こうか〜」


 「うん、そうしよっ!」


 ヒカリ達は子供達を保護するために悪夢の茶会のアジトの洞窟に向かう。 、、、その途中のことだった。


 「私はこれから単独行動をしようと思う」


 「それってどういうこと?」


 「ヒートさんが心配だからそっちを追いかけるってこと〜?」


 「そういう話ではない、私は今まで2人と一緒にずっと行動してきた、、だけどこれからは私は1人で行動する」


 「何で?一体どうして」


 「ヒカリ、私達が自警団に入団した理由を覚えてるか」


 自警団は人々が平和に世界の終わりを過ごすために結成された組織だ、ならば世界が終わらないと思っているヒカリ達が入団するのは少しおかしな話だった。


 「覚えてるよ私が言い出しっぺだもん、世界の終わりを何とかしても世界がめちゃくちゃになったら意味がないから、そうならないように私達で世界を守りながら世界を救おうって」


 「そうだ、だが私は今回の件で自分の力不足を嫌と言うほど痛感した。悪夢の茶会やナイトメアは今回の件で解決したが、まだ四大魔王は3人残っている、それに勇気の象徴ブレイブ・フォースが壊滅した今、更なる脅威が現れてもおかしくない」


 「うん、だから3人で協力して、、、」


 「それでは駄目だ、私はお前達と一緒ではもう強くなれない、私はお前達といればお前達に甘えてしまう、私が強くなるには、、、私は1人にならなくちゃいけない」


 「、、、クロナ」


 「それに、それにだ私は前から思っていたんだ、この世界で今世界を終わりから救おうとしてるのは、もう私達だけなんじゃないかってな」


 「そんなこと、、、」


 「流石のお前でも、ないとは言い切れないだろ、こんなことを考えたくはないが、もし私達が全員1つの方法や考え方だけで世界を救おうとして失敗すれば世界は滅んでしまう、だから私達は別々に行動して別々な考え方で世界を救った方がいい」


 「、、、」


 「安心しろ、もしお前達がいい方法を思いつけば協力するし、私がいい方法を思いつけば協力を求める、行動は別々だが私達はこれからも仲間だ」


 こうしてヒカリとクロナとココロの3人での最後の仕事に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アポカリプス・ヴィジランテ ねずみタイム @nezumitaimu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ