第17話 ミッション

「クッソ暗い。」


 暇だからという理由で特に考えずに依頼を受けて、今が夕方であることに気がついた。

 全く見えないほどではないが、現代日本と比べて”明かり”が存在していないため、夕方程度の明るさはあるのだが、手元が見ずらいことには変わりがない。


 町に宿があるかも調べていないし、そもそもお金がジーンさんのミッション報酬の100リコルしか持っていない。

 手紙を届けるだけで手に入れたお金で宿に泊まることのできるお金を払うことができるとは到底思えない。


「早く見つけて帰りたいな。帰ってもすること無くて何したら良いんかよくわからんけど。」


 現代日本に戻ったところで、またこの世界に戻ってきた時に同じ時間であることには変わりないので、どうにかして夜を過ごすしかない。


「今町の外に出てるけど普通に危ないよな。さっさと終わらせて町の中に戻らないとな。」


 地面の草を引っこ抜いてはバッグに入れて、引っこ抜いてはバッグに入れてを繰り返して、ミチル草という文字が出てくるまで耐久をしている。


 ――バタバタ


「うわっ、ビビった。」


 鳥みたいなのが頭の上を通り、一瞬驚く。

 鳥が飛んでいった方向を目を凝らしてみると、鳥ではなくコウモリが数匹飛んでいた。


「このコウモリって血吸うのかな?狂犬病とか持ってそうだし怖っ。」


 さっさとミチル草見つけて安全な場所に戻りたい。


「おっこれ、ミチル草じゃね?」


 岩の隙間に緑の草に白色の花が生えていた。


「どれどれ?ドクダミ……違うんか。」


 ハート型をした葉っぱだったため、なんか回復しそう!と安直に考えたが、ドクダミだった。


「ドクダミのお茶って体にいいんだよな。六華に飲ますか。」


 岩に生えているドクダミを簡単に取れる分だけ採取し、バッグに入れる。




「これやっぱり山の中に入らないとミチル草見つからないやつ?」


 小一時間ほど探して、見つからなかったので、その可能性を考える。

 というかこんだけ探して見つかっていないのだからやはり、と思い目の前の森をみるが、行きたくないが勝ってしまう。


「普通に怖いし行きたくないんだが?」


 ホラーは苦手なんだけど。




「行くか」


 1時間ほどまた別の場所でミチル草を探して見つからなかったので、決意をして森の中に入ることにした。


 夜。一切の光はなく、真っ暗な中1時間以上探しものをしていたのもあるのか、夜目が効いていて森の中をうっすらだが見通すことができた。


 森の中に足を踏み入れたら一気にジメジメとした空気になり、若干重さを感じる。


 ―――――――――強制ミッション―――――――――

       ❖キルマクの森の悪魔❖

 ▶死なずに森から脱出する。


 リワード:郢ァ?ュ郢晢スォ郢晄ァュ縺醍クコ?ョ隴ス?ョ邵コ?ョ隰費スェ鬯イ

 ―――――――――――――――――――――――――


「え?」


『あレれー?ボクゥココに来たらダメってままにイワれなカッタの?』


「ヒッ」


『キュウニわたしがデテきたからびっくりしたノ?』


(これはダメだ。逃げないと。)


 慌てて目の前に現れた”なにか”から逃げるように背を向けて走った。

 真っ暗で顔を見ることもできず、どんな姿、どんな見た目をしてるのかも把握できなかった。

 唯わかるのはコレは”だめだ”ということ。声を聞くだけで脳が揺れ、どんな見た目なのかを認識しようとすると、気分が悪くなり……


『コレワスレモノだヨ?』


 全身に痛みが走り地面に倒れた。


「何……が……?」


『武器をワスレるなんてブヨウジンだヨ。アブナイでしョ?』


 何も理解できぬまま意識を失った。

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スキルでゲームの世界に行き来できるようになったのでストーリーを全クリしファンタジーな現実世界でも最強を目指します! 椿流生{つばきるい} @rui411

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